第二話 列車の流れに乗り巡り会う運命
麗華!麗華!早い早い…何この乗り物…
(私は約三週間経過して足が動くようになってから、数日分の荷物を抱えて電車に乗り込み、あの街に向かい始めていました。あの不思議なお婆様とおじさまがいらした、父が2年間滞在していた街、かの地には何かがあると思った私は、あの街を離れる時に、実は不思議な声を聞いていました。それは霊的な声…。母も感じていた様です。そして精霊達は不思議と車内で大喜びしていました)
≪華やかな山々に守られし者達よ…其方等の父上には必ず会える。それまで、自らの生きる道を懸命に生き抜きなされ…我等清河町、海の恵みに生かされし者達より。其方等の事を見守っておる…≫
(清河町に私は向っていました。何故あの地に西野家が現れたのか、それがずっと気になっていました。そして私は精霊達に声をかけます)
これはね、電車って言うのよ…エメーリヤ?眠たい?
(窓に張り付いて外の景色を見つめていたエメーリヤに声をかけるも、返答がなかった為、私は彼女に手を伸ばして触れようとした瞬間、彼女は眼をぐるぐるとさせて倒れて来ました)
ふふっ…酔っちゃったかな?
(精霊達に声をかける私を遠巻きに見れば、独り言を呟いている危ない女子と見られていたでしょう。でも、そんな目線など慣れてしまった私は、周りを気にせずにエメーリヤの看病をし始めます。膝の上で膝枕をさせて休ませました)
あっ…見えて来た…
(窓の外には海に囲われた町、清河町が見えてきました。今回は私は父を探す為に来たのじゃない、あの不思議な町並みで感じられた、不思議な高揚感を再び得たく舞い戻って来たのです)
さぁ…皆降りるよ…
(荷物を抱えて電車の扉付近に近寄り、駅に到着して扉が開くと、風に乗った海風の心地良い感じと潮風が感じられました。そして駅のホームを降りて改札を出て、海貝庭に向かい始めようとすると、私の背に突如声をかけて来る男性の声がありました)
おい!!お前…東雲麗華だろ…何でまたこの町に戻って来た?
(この町の近くに会場があって、其処に見物に来ていた方なのだろうと思っていました。彼の次の言葉を聞くまでは…)
澪の親父は…もう遠くの街に行ったよ…
(無視していようと思いました。父の名を口にする迄は…。その名を聞いた途端に、私は振り返って彼を見つめ語りかけました)
お父さんの事を知っているの?あなた?…
(容姿からして私と年齢は変わらない、そんな彼が父の事を親父と呼んでは、実の娘として黙って居られませんでした。そして彼は名を名乗ってくれました)
俺は…名雲黎…お前の父親の南雲澪と同じ呼び名だよ…そしてあの人は俺の親父でもある人だ!!
(この人との出会いが、私の運命を大きく変えるきっかけとなります。それは昼下がりの駅前での出来事でした)
第二話書き終えました