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ありきたりな物語に花束を  作者: 梅木しぐれ
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エピローグ-5


「おめでとうございます!」

 女の声だ。どこか馬鹿にしたような、軽蔑するような声を混ぜた女は目の前で座り込んでいる男に向かってわざとらしく祝福するように拍手を送った。

「え!!?」

 ユーリの目はぱちりと開き辺りを見渡した。自分は確かに部屋で入眠したのに、いつか見たよくわからない空間にいた。

 夜を思わせる艶やかな髪の毛を、後ろ三つ編みでまとめ、真っ黒なスーツ。腰から太もも、そしてお尻のラインがくっきりとわかるタイトスカート。ストッキングも真っ黒であり、履いているパンプスも黒い。上から下まで黒で統一されている。その効果なのか女の肌は雪のように白く見えた。けど、一番目を引くのは女の紅い目だ。こちら見ているような、今ではないもっと先を見ているような目———フローリアである。

「ユーリ様」

「は、はい!」

 紅い瞳に見つめられ背筋を伸ばしたユーリに、クスリと笑った。

「わたくしとの契約の通り魔王をたおしてくださり、ありがとうございました。これから先の人生はあなた様のお好きなように生きてくださいませ」

 ニコリと笑ったフローリアは「それでは、ごきよう」と手を振る姿に慌てて引き止める。不思議そうに首を傾げるフローリアにユーリは頭を下げた。

「俺をこの世界に転生させてくれてありがとうございました!」

「それが契約でしたから」

「だとしても、前にいた世界よりもっと、ずっと、楽しかったんです」

 はにかむユーリに「本当に異世界人は不思議ですこと」と呟いた。

「さて、と。これで本当にお別れですわ。二度目の人生をどうか謳歌してくださいませ」

「はい!もっと世界に関わって生きていこうと思います!」

 ユーリの言葉に笑みを深くし、フローリアは姿を消した。





 ユーリが眠る横には、労るように一輪の花が添えられていた。






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