エピローグ-1
港町 リヤン
帰ってきた教会にロイは傍目からも楽しそうだ。ミレイは気まずそうに視線をあちらこちらに彷徨わせている。ユーリとダンの二人は目尻を下げて笑っており。リリーは呆れたような顔をした。
ロイが扉を開けようと手をかけたら、中から扉が開きゴンッと鈍い音がなった。どこかで見た光景にユーリと、ミレイは「大丈夫?!」とロイに近づき、ダンとリリーは声出して笑っている。
「え!わっ!?大丈夫ですか??!」
あの時と変わらぬセリフにユーリは笑みを浮かべた。中から出てきた男はロイを視界に入れ息を飲んだ。男が何か言う前にロイは、以前男がそうしてくれたように抱きしめる。
「あ?……へ?」
目を白黒させる男に少し笑いながら言葉を紡ぐ。
「……ただいま」
「まったく……帰ってくるのも突然ですね」
呆れた声にロイは眉を寄せる。男——ロッタはロイの背中に腕を回し「おかえりなさい」と目を伏せた。それからロイはロッタから体を離し、こちらを見ているミレイの腕を掴みロッタの前に連れてきた。
ミレイを見たまま黙ったロッタに、ミレイは冷や汗が止まらない。いっそのこと怒鳴ってくれた方がどれほど楽かわからない。
「ミレイさん」
「は、はい!」
ロッタはそわそわしているミレイを、ロイと同じように抱きしめた。ミレイはロッタの背中に腕を伸ばすことができず固まる。
「ミレイさん、おかえりさない」
ミレイはロッタの優しい声に胸がいっぱいになった。
「……言ってくれないのですか?」
不安げなロッタの声に、ミレイはそっと背中に腕を回し「た、だいま」と消えりそうな声で囁いた。
「はい。おかえりなさい」
その声にミレイはわんわんと泣き。その姿にみんな目を丸くして、声を聞いた神父も出てきて温かな教会の中へみんなで入った。
その夜はみんなでどんちゃん騒いだ。少しだけしんみりしつつ一つの部屋で雑魚寝をした。
「本当にありがとうございました」
翌朝ロッタは、ユーリたちに頭を下げた。後ろではミレイは恥ずかしそうに、ロイは気にした様子もなく立っていた。ユーリは「気にしないでください」とロッタの行動に苦笑した。ユーリの言葉に頭を上げたロッタは初めて屈託のない笑顔を見せた。
「また、遊びに来てもいいですか?」
「もちろん、来てください」
ロッタの言葉にユーリは「やった!」と声を出して喜んだ。
「心配は不要かもしれないが、気をつけて行くんだぞ」
神父が声をかける。
「ありがとうございます」
ユーリは神父に頭を下げて、それから「行ってきます」と声をかけ三人で教会を後にした。
小さくなる姿にロッタと神父はその背を見つめ。ミレイは手を振り。ロイはそんなミレイを見ていた。




