近衛兵の後悔-3
アンポス村 広場
翌日、二人は何度かモンスターと戦闘をしたが無事にアンポス村に辿り着いた。
「村に着いたし、時間もそろそろ昼時だ。久しぶりのまともな食事といこうじゃないか」
ダンのその言葉にユーリが口を開く前にそのお腹が「ぐうううううぅぅll」と盛大に返事をした。ユーリの顔はみるみるうちに赤く染まっていた。
「そうか、そうか!そんなに腹が減っていたか」
ニヤニヤと笑いながらダンはユーリの背中を叩いた。
「違う!いや、違わないけど!やめろ、叩くな!笑うな!」
——ヒィ!死ぬほど、恥ずかしい!!
二人はじゃれあいながら食事処へ向かった。
「ん~~~~~~うまい!」
「そいつはよかった」
二人は久しぶりに柔らかいパンと温かなスープに舌鼓を打った。村にたどり着くまでは固くなったパンや木に生っていた果物を食べていたからお腹の中から温まる体に自然と肩の力が抜けていった。
夢中で食べていたが、お皿に影がかかったことによりユーリは顔をあげた。そこに立っていたのは少しくたびれた顔をした男だった。
「お前……まさか………」
——誰だ?このおじさん。
「ふぁんへすか?」
「ユーリ、口に食べ物を入れたまましゃべるんじゃない」
ダンに注意されたユーリはゴクリと口の中のパンを飲み込んで、改めて男に話しかけた。
「おじさん、なんですか?」
「ダン、なのか……?」
「え?俺のこと無視?」
——酷くない?この物語の主人公だよ、俺……
ユーリの言葉なんて聞こえていないのか男はダンに詰め寄っていく。
「お前、本当に王国の兵士になっていたのか……あれから連絡も寄こさないで、ずっと心配していたんだぞ!」
「ほら、ユーリ速く食べろ、剣を見てやる」
「あー……うん、わかった」
——え??ダンも無視するの??
ユーリは男とダンを交互に見て、気にはなるが諦めてダンに言われた通り食事を再開させた。そんな、ダンの態度が気に入らないのか男はダンの肩を強く掴んだ。
「おい!聞いてるのか、ダン!!」
ダンはゆっくりと男と目を合わせた。
「手を放せ」
一言。ダンが男に返したのは、その一言だった。ただ事情を知らないユーリにもその一言に自分には計り知れないほどの感情が乗っていることに気づいた。気づいてしまった。
「っ……すまない、」
男はこれ以上話しかけてもダンの態度が変わることがないことを悟り、ダンの肩を掴んでいた手を惜しむように放した。
「こちらも、すまない」
ダンは立ち上がって、お代をテーブルの上に置いて店を出ていった。ユーリは慌ててダンの背中を追った。
店を出る直前、ユーリは男を見た。男は下を向いていて表情はわからなかったが、肩を静かに震わせていた。




