近衛兵の後悔-2
二人は、その後モンスターに出くわすことなく野宿を始めた。
「おいおい、そんなに上を見ていたら首を痛めるぞ」
ダンは焚火の向こう側に座るユーリに声をかけた。
「空におもしろいものでもあるのか?」
「いやー……星空が綺麗だから、つい見ちゃうんだよね」
「星空なんてどこも同じだろ」
ダンは呆れたような声を出したが、ユーリと同じく空に顔を向けた。
そこには数多の星の輝き。己の存在を誰かに気づいてほしいというように輝いている。
ダンにとっては、見慣れた光景だ。しかし、ユーリにしてみれば星がこんなにもたくさん輝いているこの空は見慣れない光景であり、なによりも美しいものだった。
——まるで、宝石箱のようだ。本物の宝石箱なんて見たことないけど。
「そういえば、ダンにお願いしたいことがあったんだ」
そんなユーリの言葉に、ダンはキョトンとした表情で見つめ返した。
「私に頼み?」
「俺に剣技?とにかく剣の使い方を教えてほしい……です」
恥ずかしいのか声がどんどん小さくなっていた。
「そのぉ、とにかく剣を持てるようにですね。はい。筋トレをしまくった結果。持てるようにはなったんですけど、肝心の使い方がわからないんですよね。はい」
恥ずかしさを誤魔化すように捲し立てるユーリにダンは懐かしい姿を見た。
「あっはっはっはっ!!いいとも、私でよければ教えよう!」
「本当に!」
喜びを隠しきれないユーリの声にダンは首を縦に動かした。
「やった!!!」
「さて、夜も深くなってきた。明日も早いから、もう眠ろう」
「そうだね!あ、約束だからね!!」
「わかった、わかった」
もう寝ろと言うようにダンはユーリに向かって手をぷらぷらと振った。それを見たユーリは寝転んだ。
「おやすみ、ダン」
「おやすみ、ユーリ」
すぐにユーリから穏やかな寝息が聞こえてきた。慣れない旅で疲れていたのだろうか、その寝顔は寝息から想像できたように穏やかなで、夜でもモンスターに襲われるなんて微塵も考えていないような顔だ。
ダンはユーリの顔を見た後、空へと顔を向けた。
「……レイ………」
その声は後悔か、懺悔か、それとも両方か、確かに鉛のように重たいものがその声に乗っていた。
天に輝く星だけがその声を聞いていた。




