最後の戦い:魔術師-9
命の色ではなく、命を奪う色が二人の視界を覆う。
「——————————」
リリーとモールトは、炎に包まれた。熱いなど生ぬるい。じりじりと焼けていく肌は白色へと変色し、そして爛れていく。皮は捲れ肉が剝き出しなり、また燃える。燃え盛る身体は炎の熱さよりも、襲い来る痛みを主張した。
「~~~~は、離しなさい!」
「絶対に離すものか!あんたが死ぬまで離さないわ!!」
ごうごう、ぼうぼう、ごうごう、ぼうぼうと唸り声を上げるように燃える。赤く、赤く、燃える。命を奪う―――美しい色。
「カット!」
「え……?」
気が付けばモールトの腕を掴んでいた手首は切断されていた。そしてお腹に衝撃。
「ぐっ!」
モールトはリリーのみぞおちを蹴り、燃え盛る炎の中から脱した。
リリーがモールトを視認したときには、すでに指先はリリーの身体を捉えていた。
「ペネトレイト」
見えない何かがリリーの足を貫いた。
「あ、あ、」
「燃えるなら一人で燃えてくださる?」
赤い花弁が散るように倒れるリリーを、モールトは興味なさげに見下げた。
「パイル」
床に倒れたリリーの上に4つの黒い杭が現れた。
「ずっと横になっていてくださいね」
ニコリと笑ったのと同時に、杭はリリーの手足を貫いた。
「あぁあああぁぁぁああぁぁぁぁぁあぁぁ!!」
その叫びは痛みより悔しさからか、重く重く響いた。喉が焼けて声を出すことさえ困難なはずなのに、声は止むことない。
リリーの叫びが聞こえていないのか、興味がないのかモールトは爛れ剥がれた皮膚を見て、胸に刺さったナイフを抜きながら溜息を一つ溢した。憂さ晴らしにもう一度ペネトレイトを放とうと指先をリリーに向けた時、モールトの指先がピクリと動いた。
「………うそ?」
モールトは踵を返して「ジャンプ!」と叫び、姿を消した。




