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ありきたりな物語に花束を  作者: 梅木しぐれ
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近衛兵の後悔-1

「この調子でいけば、明日には村に辿り着けそうだな」

 王都を出発した二人は道なりに進んでいた。ひとまずの目標を隣町と定め歩いている。刻々と夜に近づいているのか空には星の目が覚め始めている。

「辺りが暗くなってきた、今日はここで野宿をしよう」

「わかった。じゃあ、木を集めてくるよ」

「一人では危険だ。一緒に行こう」

 二人は道から外れて、雑木林中へ足向けた。


 その時、それは現れた。


 背丈はおおよそ腰ぐらいあり、その肌は植物であれば美しいと思える鮮やかな緑色だ。

「ゴブリンだ!」

 ダンは背負っていた剣を抜き戦闘態勢に入った。

 ——わぁ、本物だ!

 初めてユーリは生きているモンスターを見た。漫画やゲームの中ではなく生きているモンスター。そこにはモンスターに対する恐怖はなく、ただ胸を占めるのは『本当に自分が異世界転生』をした事実の喜びだった。

「ボサっとするな!来るぞ!」

 ダンの厳しい声がユーリを現実へと戻す。ユーリは自身の腰から下げていた剣を抜いた。

 ——これは、チュートリアルってことかな?

 ゴブリンは3体で、こちらは二人だ。数は不利であるけれどユーリの頭の中には負けるなんて考えは一切なかった。剣技に自信があるわけでもなく、ただ自分が『この物語の主人公』というそれだけの理由だ。

 ゴブリンが一斉にこちらへと走り出し、ダンも同じく走り出した。

「おらぁ!!!」

 その声とともにダンは剣を横から振り抜きゴブリン2体を同時に、上半身と下半身へ分けた。

「いや、すごすぎでしょ……」

ダンの剣技とゴブリンの末路を見て、ユーリは渇いた笑みが出た。

「じゃ、俺も頑張りますか!」

 気合を入れなおし、自分のもとに走ってくるゴブリンを迎えるように、剣の切っ先を向け走りだした。そのままの勢いでゴブリンのお腹を突き刺した。

 そして、3体のゴブリンは黒い塵となって霧散した。ユーリとダンは戦闘終了を確認して剣をしまった。

「王国一番の兵士にかかれば朝飯前ってな!」

 ——まさかの勝利ボイスですか!?

 ガハハハッと笑っているダンを思わず凝視したが、本人は気付くことなくゴブリンの死体があった場所でなにかを拾い始めた。

「金貨、18枚か」

「それだけあれば、宿になんとか泊まれそうだね」

 そうだなとユーリに言葉を返しながら、ダンは金貨をしまった。

 ——モンスターを倒して、お金がドロップするなんて本当にゲームの中みたいだ。

「さて、辺りはすっかり真っ暗だ。ささっと木を集めるぞ」

「あ、そうだった」

 二人は野宿の準備を再開した。




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