旅立ちの日-3
ジェレペトゥ王国 王都 北門付近
ユーリたちはポーションをしっかりと買い。今まさに出発しようとしていた。そんな、二人を見送るためか国中の人間が後ろから二人の様子を見守っている。そこにはエーリックとミーヤもいた。
「それでは、我が王よ。行ってまいります」
「あぁ、気をつけていくのだぞ」
エーリックの言葉にダンは深々と頭を下げた。
ユーリもダンに続いて、エーリックに声をかけようとしたときミーヤがユーリの手を両手で握った。
——え?
ユーリは人生で家族以外の女性と手を握ったことはない。幼いときは手をつないだことがあったかもしれないが、覚えてないからノーカンである。
「あ、あの?ミーヤ様?」
ユーリはどうすればいいのかわからず、意味なく名前を呼ぶことしかできなかった。
「どうか、どうか……無事に戻ってきてください」
それは細く弱弱しい声だった。ユーリの手を掴んでいる両手が確かに震えていることに気づいたユーリは強く、自分という存在を刻むように握り返した。
「ミーヤ様。絶対に魔王を倒して、あなた様の許へ戻ります」
「はい……その日を楽しみしております………」
ミーヤはユーリの力強い言葉を信じたのが一度だけ強く握り手を離した。
「ここから北にずっと進んだところに、とても優秀な魔術師がいるらしい。もしかしたら力になってくれるかもしれぬ」
「北ですね、わかりました!」
そしてユーリは集まってくれたみんなに聞こえるような大きな声で「いってきます!」と叫びペコリと頭を下げた。
ユーリの声に答えるように「おう、頼んだぞ!」「気をつけてね!」「いってらっしゃい」と
声が降り注ぐ。
「さぁ、行こう。ダン」
「あぁ」
二人はみんなの声援を聞きながら門をくぐっていった。
決して、二人は振り返ることなく進んでいく。
ミーヤはユーリの背中が見えなくなるまで、ずっと見つめていた。




