ロイ先生のねーちゃん講座
自分の先を歩くダンとリリーの背中を見てから、横の並ぶロイを見た。少しだけ暇だったからロイに「お姉さんってどんな人?」とユーリは聞いた。
「………ねーちゃん」
——うん。
まさか「どんな人?」とい聞いて「ねーちゃん」と返ってくるとは思わなかった。
「あー……なにか得意なこととかあるの?」
「……剣術」
「すごく、かっこいいね」
ユーリの言葉にロイは嬉しそうに頷いた。
「お姉さんは、ロイくんと同じように魔法は使えるの?」
ロイは首を横に振る。そして「……傷つけられる前に、相手を倒せば関係ないから」ぼそりと呟かれた言葉にユーリは「そっか……そっかぁ」と視線を下に向けた。
——この世界の戦う女子は、みんな脳筋なのかな???
ロイは気持ちが沈んだユーリに気づいていないのか言葉を続ける。
「……だから、ねーちゃんがもし怪我をしたら、俺が治してあげるんだ」
その柔らかな声色にユーリの胸は温かくなった。ほっこりとしたのも束の間で、ロイは突然前を歩くリリーに向かって歩く速度を上げた。
「え?ロイくん?」
ユーリが静止の言葉かける前にロイはリリーの肩を掴み、足を止めた。
「な、なによ?」
突然肩を捕まれたリリーは困惑したようにロイを見つめる。ロイは腰からナイフと取り出して、リリーの手に握らせた。
「……護身用に持ってて」
それだけ残し、ロイはユーリの隣に戻った。リリーは理解が及ばないのか、ナイフを持ったままとりあえず足を動かしだした。その姿に隣のダンがリリーに何かを話していたが、ここではどんな話をしているのか聞こえなかった。
あまり表情の変わらないロイの顔をちらりと見てみたら、少しだけ嬉しそうに口元を緩ませていた。
——珍しいものを見れたなぁ
ユーリの口元も緩んでいることは誰も気づかなかった。




