信奉者の宝物-11
教会 門前
「本当にコイツを連れて行くのね」
リリーはロイを連れて行くのは一晩経った今も反対らしい。
「うん、ロイのお姉さんと約束したしね」
「それに神父殿にも、頼まれているしな」
二人の言葉にリリーはロイを一瞥し、大きな溜息を吐き出した。どうやら、ロイが旅の仲間に入ることを渋々ながらも認めたようだ。当の本人は素知らぬ顔で立っている。
「同行の許可を感謝する。だが以前も伝えたように、ロイはきっと君たちの役に立つことだろう」
神父はそっとロイの肩に手を置いて、自慢げに笑っている。
「具体的に何ができるのよ?」
「剣術を少しと魔術だ」
「それだけなのかしら?」
リリーは神父の返答に肩をすくめた。
「ちなみに彼は世界では珍しい、回復魔法を行使できる」
「本当!?」
ユーリは神父の言葉に誰よりも反応し、ロイの手を握りしめ「ありがとう!本当にありがとう!!」と泣きながら感謝した。その姿にロイは「……離して……ねぇ、離してよ……」と嫌そうに眉を寄せて手を解こうと頑張っている。
「ほら、落ち着けユーリ」
「はーい」
ダンの静止の声でユーリはロイから手を離した。ロイはユーリの態度が恐ろしかったのか「……こわかった」と溢した声は震えていた。
「それじゃあ、気を取り直して出発しますか!」
ユーリが声を上げると同時に後ろから「待ってください!!」と制止する誰かの声と、足音が聞こえてきた。振り返ればそこにはロッタがいた。
「ま、待って…待ってください」
「ロッタ、とりあえず息を整えなさい」
「は、はい」
神父の言葉にロッタは深呼吸を数回した。ロイはその姿に誰にも気づかれないように、いや本人も気づかぬうちに一歩下がった。
落ち着いたロッタはロイを視界に入れて、眉を寄せてロイに近づいていく。その顔は十人中十人が怒っていると思うだろう。ロイは何故、ロッタが怒っているのか分からず。その場で目をあちら、こちらに向けている。
「ロイ!!!!」
「!!!??」
ロッタの腹から出した声に神父とダン以外はその肩をびくつかせた。名前を呼ばれたロイにいたっては、その顔を青くさせている。ロッタはロイの前で止まり、ロイに手を伸ばした。ロイは自分に向かってくる手に恐怖で両目を瞑った。




