信奉者の宝物-4
ロッタの言うとり、神父はすぐにユーリ達の前に現れた。
「待たせたね」
神父は若く、20後半から30前半のように見える。脇に分厚い本を持っており、穏やかな表情だ。しかし纏う空気は、神父というよりは歴戦の戦士のような鋭さが見え隠れしていた。
ゆったりとした動作で椅子に座る神父に、ダンは一歩前に出て王からの遣いで教会に来たことを告げた。
「遠路はるばるすまなかった。実はお願いしたいことがあるのだが、いいかな」
「お願いしたいこと、ですか?」
ユーリは神父の言葉を、繰り返した。神父は「そうだ」と肯定し口を開いた。
「この教会には少年がいるのだか、もう1年近く部屋から出ていない。そこで、君たちと旅に出てもらおうと考えている」
——1年も部屋から出てない人と旅を?……無理では???
なんてことなく願いを口に出した神父に、いち早く反応したのはリリーであった。
「あのね!1年も引きこもってたやつが、いきなり旅に出られるわけないじゃない!」
リリーは雪山に30年間引き籠っていたため、特大ブーメランなのだが、この事実を知るものはこの場には誰もいないせいか「お前が言うな」とツッコミをする者もいなかった。
「なに、心配することはない。きっと、君たちの力になるだろう」
神父はユーリたちに、口ではお願いをしているが、その言葉に「拒否は許さない」という明確な意思があった。そして、やはり言葉通り、その少年が三人の力になることを確信しているようだ。そんな神父の態度に、リリーは口を閉ざした。
「一緒に旅に出る、出ないは置いておいて……神父、その少年に会わせてほしいのだが」
「あぁ、もちろん。いいとも」
ダンの提案を神父は、快く受け入れた。
「こっちだ」
4人は、引きこもり少年の部屋へと向かった。




