リリー先生の魔法講座
「魔法について教えてください」
ユーリのその一言から始まった。
ユーリはこの世界の人間ではないから、この世界の魔法は使えない。しかし、この世界で生きているダンも魔法を使えない。
「まず魔法は魔力が無いと使えないわ。その魔力がないあんたが何で魔法を教わりたいのよ?」
リリーの質問は至極当然である。聞いたところで使えるようになるわけでもないのに、なぜ知りたいのか。なにか高尚な理由でもあるのだろうか?と首を傾げる。
「だって、気になるから」
ユーリの答えは酷く子どもじみたものであったが、それ以上もそれ以下もない理由にリリーは教えることを了承した。
「魔法が使えるのは魔力がある人間。それで使える魔法は本人の生きてきた経験、そして願いによるわ」
「生きてきた経験と願い?」
「そうよ。その人間がどういう生活をしてきたかによって経験も願いも変わる。それに影響を受けて使える魔法も変わるのよ」
「じゃあ、自分が使える魔法が世界で一つだけの魔法の場合もあるのか……」
「もちろん、ありえるわ」
「かっこいいね!」
ユーリの賛辞の言葉に顔を背けながら「そ、そうかしら!」と声を上げる。
「ちなみに、リリーは回復魔法を使えたりする?」
ユーリの質問にきょとんとして「使えないわよ」と返す。
「え、なんで?」
——雪山に住んでたから何か回復系の魔法があると思ったんだけどな
「だって、やられる前にやればいいだけの話じゃない」
リリーの言葉にユーリは目を丸くして口を自身の手で咄嗟に抑えた。
——の、脳筋だ!!この人!!!!
不思議そうにユーリを見つめるリリーは「あ、そうだったわ」と何かを思いだし、手を自身の首に後ろに回し、何かを外した。
「これ、アンタにあげるわ」
投げ渡されたものを慌ててキャッチし、確認をすればそれはロケットであった。
——え、こういうのって確か写真とか入ってるやつだよな??
戸惑うユーリに目もくれずリリーは口を開く。
「私の魔法と願いを込めておいたわ。魔法が発動するかどうかはわからないけど、お守りとして首から下げてなさい」
早口で捲し立てるリリーに笑って「ありがとう」と伝え、ロケットを首から下げた。
「どう似合ってる?」
「知らないわよ!」
リリーがふんとそっぽ向いたとき、さらりと赤い髪が揺らめいた。




