魔術師の初恋-1
少女は世界を嫌った。
——どうして、
少女は生きているものを嫌った。
——どうして、アタシだけを、
少女は自身さえも嫌った。
——どうして、アタシだけを置いていくの……!
△△△
雪山
それは一面の白の世界。前を向いても白、後ろに振り返っても白、右を見ても白、左を見ても白、白、白、白、白、白いだけならよかっただろう。
「さむい!!!」
ユーリの叫ぶ声が白い世界に吸い込まれ響くことはなかった。
ユーリとダンは、アンポス村を出発してクリスに教えられた雪山を突き進んでいた。雪山はまるで世界から隔絶されたように白く美しい。しかし、二人は生きているもの感じさせない冷たさにじわじわと心が、体が、追い込まれていくのを感じていた。
「はー寒い、寒いけど吹雪いてなくてよかった!」
「山の天気は変わりやすいから、いつ吹雪いてもおかしくない。早く洞窟を見つけないとな」
吹雪いたり、このまま陽が落ちてしまえば二人はこの美しい世界に殺されてしまうことだろう。次の瞬間、ユーリとダンを認識したかのように突然吹雪いてきた。雪山は二人を殺すという意思があるかのように強さを増していく。
「あったぞ!」
ダンが叫びながら指をさした先には洞窟があった。
「ユーリ!急げ!!」
洞窟に飛び込んだダンがユーリを急かす。
「わかってる!」
ユーリが洞窟へ向かって足を踏み出した、その時。
「———」
すぐにユーリが温めるように焚火を起こしたダンが外を見た時、
「ユーリ?」
そこには誰もいなかった。




