ダン先生の剣術講座
今日もユーリはダンに剣術を教わっていた。
「そろそろ素振りを止めて、次にいこう」
「はい!」
ダンの言葉にユーリは、飽きてきた素振りから解放されることに喜んだ。
「俺とじゃんけんをしよう」
ダンはにこやかに笑った。しかし鼓膜が拾った言葉にユーリは首を傾げた。不思議そうなユーリの顔にダンはいたずらが成功した子どものようにニヤっとする。
「これからじゃんけんをして、私とずっと相子にできるようになってもらう」
「えっと……じゃんけんって運だから無理じゃないかな?」
ユーリの言葉にダンは「俺は今のお前相手なら絶対に勝てるぞ」と宣った。
「言ったな!じゃんけんしよう!」
「そうこなくては!」
二人は声を合わせ「最初はグー!じゃんけんぽん!」とお互いの手を出した。
「なっ!?」
「言っただろ。今のお前相手なら絶対に勝てるぞって」
ユーリはチョキを出し、ダンはグーを出した。
「もう1回!」
結果同じでユーリが負けた。そのあと幾度も「もう1回」を繰り返したが勝敗が変わることはなかった。
「いいかユーリ。相手の動きをよく見るんだ」
「動き?」
「そうだ。指が勝手に動くわけじゃない。脳から伝達が送られ、肩、肘を通って指先へ。そして手の筋肉の動きを読むんだ」
「よ、読めなくない??」
ダンの言葉にユーリは戸惑いを隠すことはできない。
「こればかりは慣れだ。だから素振りをある程度したら、そのあとは私とじゃんけんをする。そうだな、連続10回相子にできたら合格にしよう!」
「じゅ、10回!?」
——できるきがしない……
「これは相手の動きを予測して、行動をする訓練だ」
ダンの真剣な声にユーリは口を閉じた。
「少しでも慣れてきたら、初めて戦う相手でもある程度は避けることができるようになるだろう」
その言葉からは、ユーリへの心配が乗っていた。ユーリは手を固く握りしめ、ダンを真っ直ぐ見た。
「絶対に、連続で相子にしてみせるよ!」
先ほどとは違う反応に目を丸めたが、ダンは嬉しそうに笑った。




