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ありきたりな物語に花束を  作者: 梅木しぐれ
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近衛兵の後悔-9

アンポス村 丘の上


 陽が落ちてきたせいか、少し冷たい風が吹いていた。

 ダンはとある石の前で歩みを止めた。

「クリス、お前がレイの墓を作ってくれたんだな」

「お前の為にできることは、それぐらいしかなかったから……」

 ダンは今までのことを思い出していた。レイが死んだ日。クリスの顔を殴った日。兵に志願した日。ひたすらモンスターと戦ってきた日々を。

 ダンはクリスに頭を下げた。

「あの時、顔を殴ってすまなかった……!」

「!?」

「本当は、私は私自身に怒っていた。でも、弱い私はそれを認めることができず、お前にあたってしまった」

「いや、レイが死んだのは俺の責任だ!だから」

「違う!クリスの責任じゃない、私が自警団に入れなくても自分の身を守る方法を伝えていれば……体を鍛えることはできたはずだ、それを怠った俺の責任だ」

 ダンは顔を上げて、まっすぐにクリスの瞳を見た。

「なにより、レイはお前を守れて悔いはなかったはずだ」

 クリスはその言葉で視界が歪んでいくのがわかった。ダンは笑いながら震えるクリスの体を抱きしめた。自慢の息子が守ってくれた友人を強く抱きしめた。

 ダンは空を見上げた。

 星が輝き始めていた。


「あぁ、今日も星が綺麗だ」



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