第40箱
告知でござりまする٩( 'ω' )و
本作が、書籍化&コミカライズするコトになりました
詳細は後日となりますが、よろしくお願いしますッ
ルツーラ嬢の拘束が終わると、あとはカチーナとサバナスを待つだけです。
その間に、事の発端とその顛末を私が語れば、サイフォン王子はルツーラ嬢へと冷めた眼差しを向けました。
それから、マディア嬢へと向き直ります。
「マディア嬢。その腕の傷については同情しよう。
だが、ルツーラ嬢について回っていた其方の自業自得の面もある。
いつから其方が、彼女の魔法の影響下にあったか知らないが、見極め切れなかった其方の落ち度でもあるからな」
サイフォン王子からそう言われてしまえば、彼女は何も言えないでしょう。
いささか可哀想だとは思いますが、一方で貴族と貴族の付き合いとはそういうものでもあります。
付き合いが深すぎると、このように巻き添えを貰うことも珍しくはありませんから。
「さて、サバナスたちがまだ戻りそうにないなら、いくつか聞いてもいいか?」
「はい、何でしょう?」
私がうなずくと、サイフォン王子は箱に寄りかかる二人の症状について色々と質問をしてきます。
詳細を語るのは別の場所でと断りをした上で、ざっくりした部分を私は答えました。
熱中症と呼ばれる病気であるということ。
主に、夏の暑さが体内に溜まって発症するということ。
症状が出たら涼しい場所で休むこと。
症状が出たら身体を冷やすこと。
症状が出たら水分を摂取すること。
重篤化すると命に関わること。
その辺りのお話をしていた時、一番に反応したのが、王子の護衛をしている騎士のリッツです。
真夏の訓練中に、似たような症状を出す騎士の方々が多いというお話に、サイフォン王子も難しい顔をしていました。
それがどのように解消されるかは、まぁ王子たちの判断によるものなので、私は特に口だしするつもりはありません。
口を出さないと言えば、周囲にいるご令嬢たち。
私が王子たちと話をしている間、特に何も言ってきませんでした。
ちょっと魔力の消費は増えますが、『箱』から放つ冷気の範囲を広げたのが良かったのでしょう。
あるいは、ここで話を聞いておいた方が得だと判断されたのか。
そうでなければ……私がここであった出来事を王子に説明されたら困るという意味で、緊張しているのかもしれません。
気にしすぎなくて大丈夫なんですけどね。
誰かが我慢できなくなって、私に聞いてきたりしない限りは、特に言う気もありませんので。
……などと、口にも表情にも出さず考えていたのですが……。
「あ、貴女はッ、殿下たちに報告するんでしょうッ!?」
「はぁ……」
思わず嘆息が出るというもの。
わざわざ話題に出さず、王子とやりとりしていたのですけど。
「報告? 何をだ、モカ嬢?」
「お二人の処置と、熱中症に……関する説明に、必死で、すっかり……忘れて、おりました。わざわざ……思い出させて、頂いて、ありがとう、ございます」
瞬間、多くの令嬢たちから、迂闊な令嬢へと殺気の籠もった視線が向けられます。
それだけで、サイフォン王子はざっくりとは状況を理解したのか、私にだけ見える角度で笑みを浮かべました。
面白がる笑み――というよりは、嘲笑に近いようなものに見えましたが。
とはいえ、王子からは特に何も言われないので、素直に報告したいと思います。
「先ほども軽く説明しましたが……ルツーラ嬢が、わざわざ助けて、下さった……のですよ。
成人会の会場で、『箱』を見た、コトがあった……ので、同じものが、荷物と一緒に……置いてあったから、勘違い……されて連れて、こられてしまったのかと、思われたようで」
「ああ、それでこのサロンに連れてこられたと言っていたな」
「はい。そこで多くの、方に歓迎して……もらいまして、その途中に……お二人の、様子が、おかしいコトに……気づき、今に至ります」
「なるほど」
うなずき、ニッコリと王子が笑いました。
「ルツーラ嬢、其方がモカ嬢をこのサロンに連れてきてくれたのか?
寝たふりをしているようだが、騎士ほどでなくとも気配は読める。答えろ」
どうやら、いつの間にかルツーラ嬢は目を覚ましていたようです。
騒がないのは頭が冷えたからか――あるいは、状況を完全に把握できていないのか。
ともあれ、ルツーラ嬢は渋々といった様子でうなずきます。
「ええっと、その……はい」
立場上、私が客人である以上、共に置いてあった荷物に関してどうこう言えない部分がありますが、王子は違います。
サイフォン王子であれば、あの場にあった私以外の箱に関して言及することもできる立場にいるのです。
「そうか。
理由があって、モカ嬢には荷物に紛れて登城してもらったのだが、それが逆に、君を勘違いさせてしまったようだな」
「…………ッ!
よもやそのような方法で登城するなど、思いも寄らず、ご迷惑をお掛けしました」
歯ぎしりするように顔を歪めてから、ルツーラ嬢はうなずきました。
神妙に謝っているようですけど、本心ではないでしょう。
まぁ、本心から謝っていたとしても、そんなもの関係なく王子は彼女を追いつめていくのでしょうけれど。
実際、王子は彼女の謝罪に対しては何のリアクションもせずに、問いかけを続けます。
「ところで、其方はどうやってモカ嬢を見つけたのかな?」
「どう……とは?」
「運び込む際に、モカ嬢の『箱』を目撃したというのは理解できる。問題はそのあとだ」
「そのあと……ですか?」
そうなのですよね。
冷静になってみると、そこを狙えたのですよね。
状況が状況だったので、私もだいぶ慌てていたようです。
「運び込まれた空き部屋を、君は開けたのかな?」
「え、ええ……。モカ様をお助けするには、そこを確認しなければなりませんし……」
「そしてモカ嬢の『箱』を確認して運び出した……と」
「はい。それが何か……」
「そうか」
確認するところまでならば問題ありませんでした。
まぁ空き部屋とはいえ、勝手に扉を開けたことも多少は問題です。でも道を間違えたとか部屋を勘違いしたとか、そこはいくらでも言い訳ができる範囲です。
なので、問題はその次。
ルツーラ嬢が、『箱』を運び出したことにあります。
「君は王家宛の荷物を勝手に運び出した自覚はあるかい?」
「え?」
前書きにも書きましたが、
書籍化&コミカライズしますッ
続報は後日になりますが、皆様
よし٩( 'ω' )وなに






