【閑話】制作! あらたなる被りモノ!
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そういう諸々のいろいろが重なったタイミングなので久々に閑話です
「こ、これは……!?」
その日、ただの思いつきで知識箱に、被りモノについて調べていました。
深い理由なんて特にはなく、本当にただなんとなくです。
ですが、見つけてしまったのです。
私の中にあるコレクター魂的な感じのものに、ビンビンくる逸品を!
どうやら、知識箱と繋がっている『海』を通した向こう側の逸品のようで、恐らくはこの国はおろか世界を探しても見つからないことでしょう。
そうとなればやることは決まっています。
今、腰掛けているゲーミングチェアと同じこと。
つまりは、この箱の中で、魔力を使って作り上げる……ッ!
まぁ植物で編んで作ってあるようなので、作ろうと思えばこの国でも作れそうですが、そこはそれ。
勢いに任せて作ってしまった方が、楽しそうではありませんか!
……って、もしかしなくともサイフォン様に毒されちゃってますかね?
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「――と、いうワケでお披露目……したいのですが」
思わず一目惚れした被りモノを、魔力によって作り出したことを説明すると、サイフォン様はそれはもう楽しそうな顔を浮かべました。
「ああ。是非、見せてくれ」
サイフォン様のその笑顔とは裏腹に、サバナスもカチーナもなんとも言えない顔をしています。
「カチーナ、モカ様は被りモノが好きなのか?」
「かなり」
なんでサバナスはそんな微妙な顔をするんですかね?
いいじゃないですか被りモノ。
顔を隠せるし、サイフォン様には興味持って貰えるし、怖い人と向き合う為の気合いを入れるのにも使えますし。
「それでモカ? どんな被りモノなんだ? 見せてくれ!」
そわそわワクワクしている様子のサイフォン様に、私は箱の中でうなずきます。
「はい。では――」
新しく作ったそれを被り、私は箱の外へと半身を出しました。
次の瞬間……
「あはははははははは……ッ!!」
――サイフォン様が大声で笑い始めました。
……あれ? そんなに面白いですかッ!
「すまないモカ! 動物などの生き物型を想定していたから、まったく想定外のモノを出てきて耐えられなかった!」
眦に滲む涙を拭いながら、サイフォン様は謝罪してきます。
「それはいったい何の被りモノなんだ? 背負い籠を逆さにして被っているように見えるんだが」
「これはですね、実は私もよく分からないのですが……」
「分からない?」
「異国の神官――キョムソーという職務の方が被っているという、天蓋や深編笠と呼ばれるモノだそうです」
一応、ここの部分は網が緩くなっているので外が見えるんですよ――と、説明すると、サイフォン様は興味深そうに顔を近づけてきました。
……というか、近いです近い!
いや、キスとかしてるので近いことには馴れてきたつもりなんですけど、やっぱり近いです。近いとサイフォン様の良いお顔の輝きにやられてしまうというか……いやいやいやテンガイの窓にくっつきそうなほど顔を近づけないでください! 心臓に悪いです!
……いやまぁこういう時のテンパってる顔や真っ赤な顔を隠せるという点においては、やっぱり被りモノ最高って感じではあるんで……
「あ」
……唐突に、サイフォン様がテンガイを持ち上げられ私の顔が白日の下に晒されてしまいました。
「油断したな?」
「え?」
唐突に、ほっぺたに唇を落とされて、再びテンガイをかぶせられました。
……えーっと、何が起きたのでしょうか?
パニックになっている間にさらっとキスされてしまいましたよね!?
「モカ、真面目な話。その被りモノ――テンガイだったか? 通気性などはどうだ?」
「わ、悪くありません……。草を編んだものですので……」
何事もなかったかのように質問されて、私は困惑したまま答えます。
いやなんであんなさらっと口づけを……。
「日差しを遮り、通気性は良く、多少の丈夫さもある、か……。
意外と騎士団の遠征の時に使えそうだと思わないか?」
「お言葉ですが殿下。さすがに遠征中の騎士団全員がそのテンガイを被ってる光景は少々不気味です」
「楽しそうじゃないか」
リッツの言葉を、楽しそうの一言で返すサイフォン様。
いつものことながら、リッツが頭を抱えて天井を仰いでいます。
「殿下。テンガイは、異国の神職の方が被るモノなのでしょう?
この国では馴染みがない存在とはいえ、そのような神聖なモノを騎士団やら軍隊やらに採用するのは、失礼が過ぎるのでは?」
「……む。それを言われるとそうか」
サバナスの言葉に、サイフォン様は少し真面目な顔をして腕を組みます。
その様子をなんとなく見ていると、いつの間にやら背後にやってきたカチーナが、私からテンガイを外しました。
「お嬢様。このテンガイも被りモノ保管庫へしまってきてください」
「もっとつけてたいのだけど?」
「サイフォン様がよろしくない方向で思案を始めているようですので、サバナスの胃の為にも是非に」
「……うん。そういうコトなら」
カチーナも深刻そうに言うものだから、私も素直にうなずいて、箱の中に戻ると、中にある被りモノ保管庫の中へとテンガイをしまうのでした。
「……しまってしまうのか、勿体ない」
「殿下」
まぁ外のやりとりを聞く限り、サバナスには胃薬が必要そうなのは間違いなさそうです。
前書きでも書かせて頂きましたが、
小説&漫画の書籍シリーズ60万部突破٩( 'ω' )و
そしてコミカライズ最新6巻は5/30発売!
さらにコミカライズがアプリ:マガジンポケットにて配信がはじまりました!
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これからも応援してくださる皆様、
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そして、箱入令嬢とはいろいろと毛色が違いますが、
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皆様、今後ともよしなにお願いします!!






