4話 しゅっぱ〜つ!~絶叫マシーン2、向かうは東へ~
……なんだろ。この展開に対するデジャビュ感は。新しい世界に来て二日で二回気絶って。普通ありえなく無い?黒歴史フォルダ入りの昨日の夜と、紐なしバンジー~内蔵も浮くよ!~なーんて絶叫アトラクションも真っ青な恐怖体験。
……こっちの世界の刺激強すぎるだろ。
「…ン…んん……」
少しづつ目を開けて、状況の確認をする。どうやら俺は仰向けで寝ていたようで目を開いた先は見慣れたと言えるほどではないがお世話になってるテントの天井であった。
むくり、と起き上がってテントを出る。髪の毛がちょいちょい顔にかかってうっとおしいためチョイチョイと耳に掛けてやる。この仕草、女の子っぽくない?知らんけど。
外はもう夕方ぐらいになっていた。夕日が俺を照らしていて、白銀の髪が輝いてるみたいに反射してる。
「あ、ユア。おはよ。いやこの場合はこんにちは、か?」
ふと目を向けてみると修道服スタイルに戻ってるユアが焚き火の前で死んだ目をして座り込んでた。とりあえず話かけてみようと軽い気持ちで声をかけたら、グリンと音がするかのような素早さで顔をこっちへ向けてきた。いや怖。
「ディー!ディーッ!?ほんとごめんなさい私のせいで気絶させてしまってッ。」
「うわぁ!?ちょ、目が合った瞬間からジャンピング土下座とかホラー以外の何者でもないんだけど!?大丈夫、気にしてないから!ずっとごめんなさいの連呼しないで怖い!」
想像できるだろうか。急に土下座された後延々と「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」と呟かれてる状況を。すっっごく怖い。
「俺が悪いんだから気にしないで。話をしっかり聞かなかったりついて行こうとしたのが悪いんだから」
「で、でも私はディーを――」
「じゃあ命令!俺のことは気にしないでくれよ。ユアが落ち込んでるのを見ると俺も落ち込んじゃうんだ。と、友達だから、ね。」
やっぱり友達っていうと少しニヤケそうになってしまう。口角を表情筋で押さえつけて、ユアの方を見つめる。
自信はないが、今の俺は美少女の部類に値すると思う。そして今目が覚めたばっかりなので目ん玉が潤んでいるはず。美少女のうるうる眼は効くだろう!?(錯乱)
「ひゃ、ひゃいぃ……ディーは優しすぎます…ほんとに天使なんじゃないでしょうか…?」
頬を紅く染めたユアさんがなんか言ってらっしゃる。そんな訳が無いだろう。中身は男だぞぅ?
「と、そんなことより、俺達が行くとこも決まったよね。目標ができたんだし今すぐ行きたいとこだけど……今からだと夜になっちゃうし明日にしよっか。」
まぁ夜でもユアがいれば大丈夫だとは思うが、単純に夜の暗い森が怖いので寝ることにする。え?さっき起きたばかりだろって?眠るってのは一番いい暇つぶしの仕方なんだぜ。そして休日に遊ぶ友達のいなかった俺がそれを極めなかった訳がないだろ。一回寝た後で、もう一度寝ることなんて容易いことである。
それに紐なしバンジーの上位互換みたいな奴の衝撃がたった一回の気絶で治まるわけないだろうがッ!
「そうと決まれば寝ちゃおうぜー……ふわぁ、眠りたいと思ったらほんとに眠くなってきた……」
「分かりました。でしたら私は火の番をしてるのでディーはテントの方に―――」
「?何言ってんの?一緒に寝るでしょ?昨日みたいにユアが結界みたいなの張ってれば襲われないんでしょ。」
「はぇ!?」
因みにこれはユア自身が言ってたことだよ。俺がそんな魔法みたいなことに詳しいわけないからね!
にしてもユアは何を驚いてるんだ。友達同士で寝るのは普通のことなんだぞ。今日の朝学んだことだが。
「いい一緒にねても良いんですか!?いや私は拒絶するつもりはありませんし有難いのですがなんだか背徳的なことをしてる様な…」
「ハイトク?」
「何ッでもないです失礼しましたァ!」
「ユアは元気だなぁ……って、心の声が出ちゃってるんだもんね。聞かなかったことにするから一緒に寝よ、ね?ユアと寝るの、なんだか安心感があって好きなんだよね。」
「安心……好きって……ひゃぁぁ」
プシューッという擬音がつきそうな程に顔を赤く染めたユアがぶつぶつと呟いているのを見て、朝の立場とまるで逆転してるみたいで少し笑えてくる。けど、さっきの言葉は本音だ。ユアの心情がダダ漏れな以上、俺もできるだけ嘘は付きたくないからな。
「ユアー、ユアー?駄目だフリーズしてらぁ、押してくよー。」
動かないユアを無理くり背中を押していってテントの中に入る。これだけで少し息切れしてしまった。嘘、俺の体力、低すぎ……?
「ハッ!私は一体…ってぇ、いつの間にかもう寝る体勢に!?」
「にへへ、おやすみー」
友達と一緒に寝るのは当たり前のこととはいえ、ちょっぴり気恥ずかしくてはにかんでしまった。ふぁあ、明日は色々とやらなきゃだし大変だなぁ…………。
翌日へと思いを馳せながら穏やかに眠りへと落ちていったディー。一方、無理やりテントに連れてこられ訳の分からぬままディーの少し照れた笑顔を直視したユアはというと―――
「ア゛ッ」
無事昇天していた。
◇◇◇◇◇
「ひょわぁぁあああ!!!」
翌日、俺は聖騎士姿のユアにお姫様抱っこされて森の中を爆速で進んでいた。結界を応用してるらしく木は俺たちに当たる前に弾かれてへし折れていく。
でも、視界的にめっちゃ怖いんだよねぇ!
「もうすぐですよォ〜ディー!」
呑気だなァ!!とツッコミたいところではあるが実はこんな状態になっているのは俺が原因なのだ。
―――遡ること数時間前。
起床して出発の準備を整えるまでは、起きてきたユアが若干フリーズしていたという珍事はあったが、特に問題は起こらず平和なものだった。
「よし、ではしゅっぱ〜つ!」
「アァかわええんじゃ〜…」
「……ユア?」
「どうされました?」
なんかさっきユアが溶けてた気がしたんだが、この何かを隠してるのかってくらい完璧な笑顔からすると俺の気の所為なんだろう。
気を取り直してユアに先導を任せて森の中を歩くこと数分……
「ディ、ディー?大丈夫ですか?」
ゼェハァと息を切らしてる少女がそこにはいた。
うん、この体貧弱すぎねぇかなぁ!?幾ら異性の体に変わったから、元より年齢が幼くなったからってここまで辛くなるもんなの?
「ごめっ……ユア……ハァ、ちょっと、待って……」
体力が極端に落ちていることのショックに加えて、友達を心配させてしまったことに涙が出そうになる。俺こっちで何回泣いてんだよ。
「フゥ……ごめんね、ユアに迷惑かけちゃって…」
胸に手を当て冷静になるよう念じる。流石にこんなに早く泣きたくはない。幸い、ユアには涙目になってる所を見られてはないっぽいしこのまま誤魔化せるかも。
「私は全く気にしてませんが……そうですね。ディーが嫌でないのなら私がディーを抱いて行動してもいいです?」
うぅ、まぁそうだよな。今の俺はひ弱な少女だ。ユアが俺を抱えて進んだ方が効率的にもいいと思う。けど…… 自分でお願いするのって恥ずかしいんだよなぁ…
「ディー?やはり嫌でしたか?」
「ち、違う!いやじゃない……けど…」
あああユアが困ってる!ついさっき困らせたばっかりなのに何やってんだ俺はァ!!この際俺の羞恥心なんて問題じゃあない!男は度胸だ!今女の子だけど!
顔が熱いのは分かる。体も緊張して震えてる。それでも、これ以上友人を困らせる訳には行かないと口を開ける
「えと、ユア…俺を抱いて……?」
「あああああもうこの子はぁぁああ!!!」
な、なんだ!?突然ユアが木に頭打ち付け始めたんだけど!?
「耐えろ耐えろ耐えろ耐えろ私耐えるのよ私ディーが言っているのは私にディーを抱き抱えて欲しいというものであって決して私が想像したものではあああ!!いやでも私の提案を呑んでくれたということは実質を私を許容したも同じでは?なら私がお願いをしたらきっと受け入れてくれるはず、だって私とディーは友達だからッ!あああああ意味わかんない理屈捏ねてんじゃねぇ!!!消え去れ邪念!!!!!」
ズウゥゥウウンッと木がたおれていく。えぇ……頭突きで倒したんだけど……。
一体何があったのかは分からないが、ユアは怪我して無いのか?そう尋ねたら妙にスッキリとした顔のユアがこちらに向き直り、笑顔を浮かべながら答えてくれる。
「私のことは心配いりませんよ。ですがありがとうディー。それでは、失礼します。」
ユアがゆっくりと近づいてくる。多分俺を抱き抱えようとしてるんだろう。その豊満な体が段々と迫る。でも、大変申し訳ないのだが、正直に言うとちょーっとだけ俺には刺激が強い。どのような形であれ、その体を密着されるというのはほんとにちょっぴりだがアレなのだ。……なんかヤバい!
一緒に寝てるから大丈夫じゃないかって?そんな訳あるか!あれは隣で寝てるだけであって触れ合うものじゃあなかったし、何より時間帯も夜だったり夕方だったりと明確に体の輪郭が分からない時であったため直視しなくて済んでいたのだ。今は朝!太陽の光が森林に遮られていてちょうど良い光ではあるが夜などに比べりゃ普通に明るい。つまりヤバい!!
「ユ、ユア……あの、鎧の姿になれない?その方がユアも転びにくいだろうし?」
故に俺はあの聖騎士さんモードを提案したのだ。これならユアのボディを気にしなくてすむから。因みに、ユアが転倒する心配はあまりしてない。この数分の間、全く呼吸すら乱さず動いてたからね。いつも通り原理は分からない。
「……ええいいですよ!〘守護者の誓い〙 接続 第三章〘誓いの鎧〙」
魔法陣が地面に表れ、次の瞬間には聖騎士モードのユアさんがいた。やはりこの姿はカッコイイ。俺の内なるチュウニズムが騒ぐぜ…!
そうやって内心はしゃいでたら、改めて失礼します。とユアに言われて抱き抱えられた。
「ゆ、ユア……俺を抱き抱えんのはいいんだけど、お姫様抱っこは流石に恥ずかしいってゆうか……」
むず痒い気持ちが広がって、なんとはなしに髪の毛をいじいじしてしまう。
「フーッ……落ち着け本能、働け理性。初めてはイチャラブがイイッ!!」
「………いちゃ、らぶ?」
「何でもないですよーディー!さぁ行きましょう進みましょう!目的地までの道のりはままだ遠いですよォーッ!」
な、なんでもない割には声が上擦って早口だった気がするのだが……まぁ、ユアがそう言ってるんだし、ほんとに何でもないんだろうなぁ。やっぱり心の声がダダ漏れって大変だな。
俺はユアにお世話になってばっかだけど応援くらいはしたい。こんな代償を背負っても俺を助けようとしてくれた友達なんだもん。
「なぁ、ユア」
「ん?どうしましたディー?」
「えっと、俺を抱えて歩くの大変だろ?や、俺の体力が無いのがいけないんだけどさ。だから……無責任な言葉になっちゃうけど、が、頑張ってッ……!」
「……ディー……私たちの目指す場所は街ですよね?」
「そうだよ、どうした……の?……」
瞬間、ユアの踏んだ地面が沈む。……おっけー、心の準備はできた。嫌な予感に冷や汗がでるけど極力気にしない方向でいこうそうしよう。
「そのぅ……や、優しくして…?」
ユアが地を踏み締めたのはあるひとつの感情によるものだった。想い人から応援された。これに応えないものがいるだろうか?いいや、誰しも自身の最善を尽くそうとするだろう。今のユアがその状態である。
鎧を纏った状態であるため認識されずに済んだが、今にもユアは涎を零しそうな勢いでディーを見つめていた。
そこに優しくして発言である。幾ら前世で会話の経験が少ないとはいえ、お前もうちょっとセリフ考えられなかったのかと問い詰めたいところだ。これにはさすがに我慢強い(自称)ユアさんでも耐えきれない。感情メーターが振り切れ自身の思いの丈を叫ぶため口に息を吸い込む。
疾走を開始する瞬間、ユアは叫ぶ
「うちの子可愛すぎだろぉぉおおお!!!!」
こうして、爆走ユアさんと悲鳴をあげるディーの構図が出来上がったのである
◇◇◇◇◇
はいっ、回想終わり!
そんなこんなで木々をなぎ倒しながら森を抜け、街道を土埃をもうもうと立ち上げながら爆走し、街の門前に到着した……訳なのだが……
「き、貴様ら!動くんじゃないぞ!!一歩でも近づけば突き殺す!!」
門番らしき人が二人、槍をこちらに構えている。一人はまだ若く、もう一人は中年程だ。なんだろ、先輩後輩的な?幸い二、三メートル程距離は離れている為直ぐに攻撃はされない、とおもう。
いやもうどうしてこうなりますのん……
「ディー!到着しましたよ!」
ユアー?門番さん見てないねぇー。ずっとこっち見てるねー。あれかな、褒められるのを待つ犬かな。鎧に犬耳と尻尾の幻覚が見え始めたぞ?
んー、だがこんなに褒めてオーラを感じてしまったら無下にはできない。ごめんね門番さん。ちょっと待って。
「うん、偉い。偉いね。ありがとう。じゃあ、俺を一旦降ろしてくれるかな?」
はい!!!!とめっちゃ元気に返事された。おお、幻覚の尻尾がブンブンと振られてる。モフりたいな。
「き、聞いているのか!!貴様ら何者だ!新手の魔物か!?」
若い門番さんの方が更に俺たちに声を上げる。いやごめん。喜んでるユア見てたらなんか和んじゃって。
「アナタたち、ディーへ槍を向けるということは敵対したということで宜しいのですよね?」
さっきまで大喜びしていたユアの態度が様変わりする。冷徹で無慈悲な声音。これが殺意というものなのだろうか。直接向けられたことのない俺でも分かるこの濃密な圧。実際に向けられている二人の心境など考えたくもない。現に、若い門番さんはめっちゃ体がガタガタ震えてるし、中年の人も槍を握る手に力を入れているのが分かった。このままじゃ、ヤバい。
門番さんとユアの間に入り、ユアの方を向く。
「ユア!一回ストップ!この状況は俺たちが完っ全に悪い。ちゃんと説明するのが先だよ!」
「ですがアイツらはディーを…」
「ですがもかかしもないのっ!考えてみてよ。街道を爆走する鎧とか、恐怖以外の何者でもないからね!?だからその殺気鎮めて!分かった!?」
言葉にしてみたら分かるけど実際マジで怖ぇよ。俺だったらパニクってるって絶対。逆に対処できてる門番さん方に尊敬の念を抱きつつあるよ!とりあえずしょんぼりしてるユアは後でフォローするとして。次は門番さん達を説得しなきゃ。
「あ、あの!お騒がせしてすみません!ええっと、俺たちは……旅、旅人なんですけど、ここを偶然見つけまして寄ってみたんです!俺のこと見て下さいよ。こんな格好の魔物なんていると思います?」
「……いや、記録には君のような姿をした魔物はいない。勿論鎧の方もだ。リビングアーマーはいるが、奴らは夜にしか行動しないしな。それに奴ら喋らねぇし。まぁ、鎧の中に誰が入ってんのかってのは知りたいがなァ。っと、今は関係ないな。
や、すまない。俺たちが早とちりしてちまったんだ。本当に悪ィな。おいダブ、いつまで槍引っ掴んでやがる。入門手続きだ。」
「は、はぁ!?そんなっ、不明瞭なとこが多いのに入れるんですかテキテさん!」
いけるかな?と思ったらこれだよちくしょう!いや、立場的にはダブさん?の方が正しいんだけどさぁ!
「面倒くさいですね……やはり黙らせた方が」
「ユアッ、次それ言ったらもう一緒に寝ないからね!」
「へぇ!?わ、わかりました絶対口にしませんのでそれだけは止めて下さァい!!」
隣から不穏な言葉が聞こえてきたので釘を刺す。小声だったから良かったもののもし門番さん達に聞こえたらと思うとゾッとしない。
「―――……だぁから対応は考えてるって言ってんだろ!頭が硬ぇんだよ手前は!大体俺お前の先達だぞ!!言うこと聞け!」
「ええ!良い事は聞き入れますとも!ですが悪いところまで見習う必要はないと考えます!…………テキテさん、大丈夫なんですよね。」
「くっそ……入隊したての頃はまだ可愛げがあったってのに…。仲間に嘘つくほど落ちぶれちゃねぇから安心しな。」
あ、テキテさんが手招きしてる。話は終わったっぽいな。門の中について行くと門と街との間にある部屋に連れてこられた。ここで入門手続きってのをするんだろうか。
「あー、椅子は二つしかねぇんで君がそこに座ってくれ。鎧のはスマンが立っててくれや。」
そう言って君テキテさんは机を間にして向かい合うように置かれた椅子の右側に座る。俺も席に座ると説明をされた。
「取り敢えず、イニジオへようこそ。早速で悪いが君はギルドカードはもってるかい?」
oh……知らねぇよそんなの。それ持ってなかったら入れないとか、お金が必要なのかな。ラノベで見たぞ。でも俺森の中に突然居ただけだから無一文なんだよなぁ。
「持ってないです……あのぅ、もしかしてそれが無いと中に入れないとか……」
「あ?いや、んなことはない。その場合二週間の滞在証明書が発行され、銀貨二枚を二週間以内に払ってもらうことになるな。だが、ギルドカードは基本的にどこでだって使うんだ。作っといて損は無い。商業、冒険、錬金術のギルドがこの街にはあるが……一番簡単に取れるのは冒険者ギルドカードだ。明確な個人情報がいらねぇからな。冒険者ギルドはここ東門から真っ直ぐ進んだ先の十字路を左側、北門の方へ進んだ方にある。先ずはそこを目指すといいだろうな。」
テキテさんめっちゃ良い人やんけ。心の中で仕事を適当にしたる人とか思ってたことを詫びておく。本当はめっちゃ親切な優しいおじさんでしたっていうね!
「ありがとうございます!」
「や、感謝されたくていってんじゃねぇんだ。二週間過ぎれば俺はこの街から嬢ちゃんを放り出さなきゃいけねぇからな。君みてぇな幼い子をほっぽりだすのは胸が痛いんで言っただけだからよ。」
そう言ってテキテさんは席を立ち、俺たちを促して外に出る。外ではダブさんが門番の仕事をしている。
ちょっぴり、お嬢とか幼いとかって言葉が効いたが気にしない。っと、そうだ。
「テキテさん!ダブさん!色々ありがとうございましたっ。俺はディー!こっちはユア!できるだけ早く会いに来ます!」
よし、行こう。とユアを促して街の中へ入っていく。凄くワクワクしてきた!
ディー達が見えなくなった頃、ダブがテキテに小声で話しかける。
「テキテさん。本当に彼女達が旅人だと思うんですか?」
「ハッ、な訳ねぇだろ。旅人ならギルドカードは絶対持ってるハズだ。色んな国巡るのにどんだけ金かかるか知れねぇ。」
「ならなんで入れたんですか!万が一があったら……」
「わぁってるよ!だがここでごたついて見ろ。直ぐに住民に見つかってそれこそ大騒ぎだ。新種の魔物が出た!か、門番が子供を襲ってる!かは知らんがな。安心しろ。もう諜報班には連絡を入れてある。監視はされているさ。お前もあそこの強さが半端ねぇことは知ってんだろ。」
「そりゃ知ってますよ。……テキテさんって妙なコネ有りますよね。それと、あの子にすごく肩入れしてたような気が」
「タダの腐れ縁さァ。あと、肩入れはしちゃいねぇ。ただ幼い子供とっ捕まえて外に投げ出すのを想像したら胸糞悪くなっただけだ。」
それもそうですね、とダブは答える。あの子、ディーと言ったか。彼女が振り返って微笑んでくれたことを思い出す。そんな彼女を追いかけて街から閉め出すというのは確かに堪える。そんなことを考えていたらテキテがダブへと話しを振る。
「そういや、色々ありがとうって嬢ちゃんはいってたが、俺は冒険者ギルドへの道を教えたとして。お前はただ槍向けてただけだろ。もしかしたら皮肉混じりだったんじゃねぇか?」
「出た。テキテさんのからかい癖。はいはいそーですねー。」
適当に駄弁る。あくまで自然に。ディーを話題の元に話しは発展して行くが、二人はユアのことは喋ろうとしなかった。あの聖騎士然とした風貌からは考えられない程の鋭い氷のような、はたまたドロリとした粘着的な殺意の感触がまだ消えない。テキテは思う。もしディーだけでここへ来ていたら、俺は適当にあしらうだけだっただろう、と。
「ったく、あんなんバケモンじゃねぇか…」
「テキテさん?」
なんでもない、と答えたテキテの脳裏にディーの笑顔が浮かぶ。嬢ちゃん達とは、戦うようなことにゃなりたくねぇなぁ…。ユアの殺気と、ディーの笑顔が浮かぶ。ああ、戦いたくねぇ、それは胸糞が悪すぎる。
大分遅くなってしまいすいません。区切りも微妙なんで明日中にはすぐ投稿しときたいと思ってます