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(仮題)無自覚総受け誘い受け系TS娘の冒険  作者: 幻想大好きおじさん(仮名)
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3話 転生二日目~浮上する記憶、かけられるG~

「んっん〜〜〜……はぁっ。良く寝たぁ」


横になっていた体を起こした。若干寝付きが悪かったのは横になってたからかと気づく。凝った体をほぐす為に伸びをする。こうやってグッ〜〜、と体を張ると分かるがめっちゃ柔い。筋力の代わりに柔軟性を手に入れた俺の体。寝癖で跳ねてる鬱陶しい白銀の髪もついてるぜ?めっちゃ邪魔。

ワンチャン今までの出来事は全部夢で起きたら元通りとかあるかななんて思ったけどやっぱりここは現実であった。

夢の中で寝るなんて普通起こりえないしな。

ま、この世界が嫌って訳じゃあない。俺自身が女の子になったのはショックだが自分が可愛いてのは(まだ体に慣れてないからかもしれないが)目の保養になってくれる。

転生直後に酷い目にはあったものの、これからはユアが守ってくれるんだし安心できる。

そう、ユア。俺の初めての……友達。


「くふ、くふふっ…」


この世界に転生することでようやく叶った俺の願い。友達ができたんだ。スキルのせいで設定上は従者(サーヴァント)扱いだが友達になっていいと、ユアから言って貰えたのだ。スキルなど些細な問題だろう。

ああヤバいな。笑いを抑えられない。だって友達だぞ?前世で一度も縁のない存在だ!ラノベを呼んでいて陰キャ設定の主人公が「こいつは〇〇、俺の数少ない友人の一人だ。」とか言い出してキレてた俺に!友達ができたんだ!

今までの出来事は全て夢なんじゃないかと思った。事実だ。夢であれば滂沱の涙を流して悲しみに暮れてしまうという意味ではあるが。


「そうだユア。どこに居るんだろう?友達なら朝の挨拶ぐらいするよな?」


ユアは自分のことを人間より精霊に近しいからと言って一人外で火の番をしていたハズだ。なら外にいるだろうと視線をテントの出口側に向けて―――俺はフリーズした。


俺の横で、金髪の修道女っぽい服を着てる絶世の美人さんが横たわっていた…………

はい。どう見てもユアさんです本当にありがとうございます。


「な、なんでここにいるのぉっ!?」


頭が過去一で混乱してるのが分かる。体は錆びた機械みたいにギギギとしか動かないのに対して内側は大暴走だ。俺の頭はどうしてこんなことになってるのか必死に考えるが当然思いつかないし、心は一緒に寝るのは友達のラインを越えていやしないかと驚いてバクバク脈打ってる。多分今の俺の顔、すっごく赤い。

ユアさん貴女自分で寝なくていいって言ってなかった?てかどうしてこんな状況に!てかてかもしかして俺の寝てるとこ見られた!?

咄嗟に口元に手を当てる。……どうやら涎を垂れ流すなどという恥は犯してないらしい。白目だったり歯ぎしりだったりしてないかすっごく心配だが今は確認する術がない。どうか変な寝かたしてませんように!


「と、いうか…友達と添い寝って普通するものなのか?流石に友達の域を越えて―――いや待てよ?友達同士でのお泊まりイベントなんてよくあることなんじゃないか。少なくとも漫画にはそう書かれてたし。」


曰く、アニメや漫画、小説といった類のものは酷く現実から離れないようにするらしい。日常の中に非日常を混ぜる。そういう、人が内容を楽しみながらも寄り添える作品が比較的ヒットしやすいのだそうだ。

例えば、人が空中を歩けるとしよう。空を際限なく駆けることもできるし、宙に浮き続けることもできる。人間の誰しもが一度は憧れたであろう世界を創るとする。だが、それが当たり前の世界に住む一般人が物語の主役を担ったとしてそれが面白い作品と言われるのかは疑問である。

必ずといっていい程空を歩けない人との対比を描写しているし、仮にそれが当たり前の世界であったとしても主人公は歩けなかったりと、どこか受け手がわが共感できる部分が組み込まれているはずなのだ。

つまり!!!漫画やアニメは必ずしも虚構じゃあない!!必ず現実に添った考えに基づいてるはずだ!!であれば!!!漫画に描かれていた『友達と一緒に寝る』という行為は友達であれば当たり前のものである!!!!

QED.証明完了

フッ。またひとつ、世界の謎を明らかにしてしまったぜ……


という、第三者が聞けば十人中十人がンなわけねえだろ!と叫ぶような内容をディーは考えていた訳である。一応弁明するとディーは隣で初めての友達というディーの中で大事な人ランキングがあるなら確定で1位をもぎ取ってくるような人と添い寝したという状況に錯乱してしまっただけであり、普段からこのようなアホ極まりない思考をしているわけでは…ない……はずである。多分、きっと、めいびー。


「ふぁ……私は、いつの間に寝て……」


そうこうしている内にユアが起きたみたいだ。結局ユアがなんで寝てんのか分かんないし、丁度いいから聞いてみるか


「ああ……そうか昨日…マジであれは死ぬかと……」


「おはよユア。なぁ、なんでユアは一緒に寝てるんだ?確か昨日、火の番をするから寝ないっていってなかったっけ?」


「はぁ?あ、主様が一緒に寝ようと誘ったのではありませんか!」


昨日の夜を思い出し悶えていたユアにそう問いかけるディー。ユアは当然困惑する。貴女の方から言い出したことではないか、と。だが普段の彼女であればその発言はしなかった事だろう。主を一番に考える彼女が主の忘れていたことをわざわざ思い出させる意味は無い。

だがしかし寝起きである。一番理性の働かない寝起きに、しかも思ったことをそのまま言ってしまう、力への世界が求めた代償が魂に刻まれた状態だ。……結果は、語るべきでもないだろう。


「俺が…誘った…?…………あ。」


瞬間、ディーの脳裏を今まで忘れていた記憶が駆け抜ける。悪夢に魘されユアに縋り着いたこと。メンヘラと言われても仕方ないぐらい重い、側にいて発言をしたこと。離れていくのが寂しくて添い寝を強制したこと。はてなぜ朝横向きに寝ていたのか?当然である。自分がユアを誘ったのだ。裾を引っ張り行かないでと懇願した。

ディーに致命傷を与えている過去の出来事のなかで、極めつけは自分が言った言葉である。前世では齢18にすら達していた男が


「えへへ……一緒に、ねよ…ねぇ」


などとほざいたのである。流石に、ない。


「あヤバ、プレミった。」


ユア、自身の過ちを悟るが時すでに遅し。

顔が、いや全身がトマトやリンゴなど比べ物にならないほど赤くなったディーが息を吸う。

カヒュ、と息を吸う喉から音が鳴る。奇しくもそれは昨日の夜ユアに喋りかけたときと同じ音色であった。静寂に包まれた小さい空間の中で、少女の絶叫が木霊する。


「今すぐその記憶を忘れてくれぇぇえええ!!!!!!!!」




◇◇◇◇◇


「でぃ、ディー?少しは落ち着きました?」


心配そうな声音でユアが俺に聞いてくる。今は焚き火の跡の近くに俺とユアが座っている状態だ。赤い顔を見られたくなくて俯いていた顔をチラとだけユアに向ける。鼻梁が高くツリ目気味の、頼れるお姉ちゃん感のある顔が情けなく歪んでいる。俺を心配してくれているのだと直ぐに分かる表情。だけど、俺の自業自得だと分かっていても。思い出したくなかった黒歴史直行な記憶をもう二度と忘れられないよう刻みつけてくれた存在に、恨みがましい眼を向けられずにはいられない。


「あぁ、ジト目は、ジト目は死んじゃうぅ…可愛い、かわいいよぉ」


「っ!また、可愛いって、ッ〜〜〜!!もう!」


別に可愛いって言葉自体は特に思うことはないはずなんだ。元男だからな。だがまァそれは平常時の話、である訳だ。

ここに至るまで、命令しての記憶の消去まで考えていた俺に、ユアが昨日の俺が可愛かったから消したくないと具体的に語り始めたりしなけりゃ、簡単に可愛いなんて単語受け流せただろうさ。俺がその後また黙りこくってしまって今に至る。という経緯の上にこの会話がある訳で……


「はぁー……まぁいい。過ぎたこと言っても仕方ないし、俺の自業自得なんだもんな。ごめんねユア。八つ当たりみたいなことしちゃって。」


「いえいえ別にいいんですよ結局終始可愛くってもう一度一緒に寝たくなったりもしましたしそもそも話を掘り返してしまった私が悪いと言いますかディーが可愛いといいますかつまり何が言いたいのかと言いますと―――」


「ユア…それ以上言ったら、泣くぞ?恥も外聞もなく泣くからな?」


「ヒッすいません!」


ユアに赤面させられたとき知った。怒ると主張するより、泣いてしまうと弱った方が効果的だ。怒るといったとき「ありがとうございます!」と言われたのは意味が分からなかったが。怒られて嬉しがるのはどういう理由だ?

……いっか。知っても得しない気がする。


「とりあえず、これからの事を話ときたいんだ。俺は何か目標がある訳ではないけど、流石にここでの生活は無理があるじゃん?」


「十分可能ですよディー。」


「へ?」


「あ、それかわいい……いえ、飲水は私の魔法で出せますし近くに川もあります。住む場所も魔法で良いですし、食べ物だって昨日の内にここに野生動物がいることは確認済みですので心配要りません。ここでの生活は何不自由ないレベルで可能ですよ。ディー。」


「………」


おおう。綺麗に返されちまった。いやまぁここで二人でクラスのも楽しそうだけどさ。せっかく新しい世界に来たんだ。色んなところを旅してみたいって思うだろ?あぁ、そういやいいのか。


「あのーほら、昨日言ってたけどさ、俺ってこっちの世界に来て一日とかなんだ。それで、もし良かったら一緒に色んなところを回ってみたいなぁって……」


「分かりましたそうしましょう。いつ行きますか何処に行きますかもうすぐ行っちゃいましょうか!」


「お、落ち着いて!えっと、近くに街とかあればそこを最初は目指してみようかな。」


なぜか急に興奮気味のユアに若干引きつつ、自分の要望を答えておく。やはり人と触れ合うということは大事だ。こっちの世界でもコミュ障拗らせるとか絶対にあっちゃいけない。


「あ、ねぇ。空を飛べる大きな生き物とかってさ、俺の能力で呼び出せないかな。そしたらすぐに街を見つけられるし楽に移動でき―――」


「私は空を飛べますよディー!」


「へ?え、そうだったの?でもユアに負担をかけすぎるのも良くないと思うし……」


「いえいえ負担なんて全くないです!なのでほら、新しい従者を呼び出す必要はありませんよ!」


ユアがそこまで言うなら大丈夫か。能力の検証もしてみたかったんだが、まぁいいか。それにしても、ちょっと焦ってた風に思えるのはなんでだろうな。


「ユア、飛べるんならさ。悪いけど俺を持ち上げてくれないか?俺も大体の街の方角分かっといた方がいいだろ?」


「えぇ、分かりました。少し待ってて下さいね。…………ふぅー危ない。危うく私とディーの二人だけの時間が奪われるところだった。いや分かってる、安全を考えたら仲間は多い方がいい。けどやっぱり少しでも長くディーと二人きりのこの状況が続いて欲しい……」


「ユア、どうした?」


「いえいえなんでもありません!」


やっぱり様子がおかしいような……。精霊でも体調が悪くなるのか分かんないけど、後で確認しておこっと。


「ふー……

守護騎士の誓い(ガーディアンズハート)〙展開

接続(コネクト)

第三章〘誓いの鎧(ガーディアンズメイル)


ユアが詠唱を終えると、魔法陣が出現してユアの体を正面から後ろへ通って消えていった。そして気がつけば初めてあったときの白を基調として金色の装飾が付けられている聖騎士の姿になっていた。


「かっこいい……!」


うん、はしゃいでもいいと思うの。だってロマンなんだから。


「あれ、でもどうやって飛ぶんだ?見たところ、翼とかはなさそうだけど…」


「それはもう魔力でバビューンと。」


へーそういうことできるのか。流石ユア。略してさすユア。


「それでは、私の背中に捕まって下さいね。」


俺がユアの背中にひっつき、俗に言うおんぶの姿勢になったとき。ユアの足元から魔法陣が発生した。と、そう思った時――


ゴオォォオオオッ!!!!


耳を劈く轟音が響き渡る。咄嗟に目をつぶった為状況を詳しく把握する事はできないが、上から物凄く風が吹き付けてくることから恐らく飛んでいるんだろうと予測する。


「〘コントロール・エア〙

ディー、ディー?目を開けないと方角が確認できないですよ。」


これだけスピードがでてるのに音が最初の1回から聞こえない。ユアの声は聞こえたし鼓膜が破れた訳じゃあない。ユアが何かしたんだろうか?とりあえず俺は恐る恐るだが目を開けてみることにした。


「うっわぁ……すごいなぁこれ!」


予想は違わず、俺は空を飛んでいた。正面。遠くに見えるとてつもなく大きい山脈、西は俺たちがいただろう森林が少し続いたあと平原が広がっていて、東には目当ての街があった。

柄にもなく目を輝かせる。人の手が加えられていない豊かな大地に、人間は強欲に土地を増やそうとすることなく大地に息づく一種の動物として共存していた。


果てを見据える。あの地平線の向こうに何があるのかと期待が膨らんでいく。その期待に答えようと地平線がどんどん丸くなっていき…………………………ん?

()()()()()()()()()()()()

なんだか、息がしずらく感じてきた。


「ねぇ、ユア……止まらないの?」


「え?あはは、ホバリングは無理ですよ。魔力で飛んでいるので、噴射をやめれば地面に真っ逆さまでお陀仏です。」


ケチらずにさっさと能力使っとけばよかったぁぁあああ!


「上に行き過ぎても人は死ぬんだよォオオ!!!」


「はぇ!?そうなんですか!!??すぐ戻ります!」


「えっちょ―――」


魔法陣が足元から頭上に移動した。サーッと血の気が引いていく感じがする。俺は分かるぞ…、今俺が涙目になってるのは女の子の体になったからとかじゃない、ぜっったい男の体でも泣いてた!つか泣く!チクショォォオオオオ!!!


ヒュッゴオォォォオオオ!!!!


Q.大量の魔力を空中で頭上の空気に叩きつけたらどうなりますか?

A.逆方向にぶち飛びます


「ひゃわぁぁあああ!落ちる落ちる落ちちゃうからぁッ!?」


「ここっ!〘スロウ〙多重起動ッ!」


地表まで残り数十メートルというところで、鈍色の魔法陣が地面まで何十と展開された。

魔法陣の輪を通るたびにグンッと減速する。


「ひぐっ!?」


内蔵が浮く感じが連続で…!これだめだヤバい!


ガゴォッン!!!


「ディー!地上に着きました!すいません、昨日情報の修正をしたはずですがまだ不十分だったようです!呼吸はできますか!?」


背中に捕まっていたちっこい手が離れる。もう力は入らないし腰もぬけたみたいでどうにもできない。


「きゅう…………」


「え、ディー!ディー!?一体どうされたんですか!?」


残念ながら答えることはできずに、俺の意識は闇の中に消えていくことになった。

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