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クラシック音楽業界の闇

プロローグ


 音楽は偉大である。聞く者の心を揺さぶり、楽しみを倍加させ、悲しみを半減させる。音楽とは奏者と聴衆がお互いの魂を奏で合うものに違いない。

中国の太古において「楽」は君子の必須科目であり、詩・書・礼・楽・易・春秋の六経の一つに納まっている。かの孔子様も音楽は文字や言葉より強く思いを伝えるとして、その共鳴性を論じ、「楽」の効用を説いている。


 月影に浮かぶ蔦で覆われた古い洋館からブラームス作曲のピアノ四重奏曲第一番ト短調の第一楽章の旋律が、かすかに響いてくる。

静かな始まりから徐々に力強くなり、心に沁みてくる。これが共感だろうか? この現象はどんな時にでも起きるのだろうか?

例え奏者と聴衆が悪魔に魂を売り渡して、邪悪な夢に浸っているとしても……。


 モスクワ

9月半ばでも日本人にとっては肌寒い。周囲のモスクビッチ達はTシャツにジャケット姿。半袖もいる。

 地下鉄フィリョウフスカヤ線の車内。朝夕の通勤時間帯は相当な混雑であるが、昼下がりの車内は比較的空いている。ベージュのコートを着た黒髪を無造作に束ねた若いスレンダーな女性が座席で大事そうにバイオリンケースを抱えている。


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