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風吹く時  作者: ゆらゆらゆらり
4/9

4~視線

 おばさんたちがヒソヒソと噂話をしている。女の子の手をひいた母親が急ぎ足で逃げていく。すれ違う男たちが身構えている。携帯電話を手にした若者が通報している。誰もがボクを捕まえようとしている。


 視線が恐い。空気が重い。息が苦しい。圧しつぶされそうだ。こうなってしまったからには、もう生きていくことは出来ない。

 いずれ捕まって、そして、ボクは……。


 マコは大丈夫だろうか、あの後どうなったんだろうか、今、どうしているだろうか。

 何もしてあげられない自分が悔しくて、悲しい。もう話しも聞いてあげられない。


 ねぇ、ばあちゃん。悲しいよ……辛いよ……苦しいよ……。


 もう一度マコに会いたい。笑顔を見たい。それが出来たなら、マコの笑顔を胸に焼き付けて、想い出を胸にボクは……。


 街を彷徨っていた。鋭く刺すような視線に怯えながらも、歩き続けていた。辛い記憶に胸が圧し潰されそうになる公園にも、マコがいることを祈って何度も行ってみた。あのベンチで会えるのを期待しながら待ったりもした。

 でも――マコの姿はなかった。


 マコに会いたい。


 天に向かって、言葉を送る。

 沈黙の空はどんより曇っている。吹き抜ける冷たい風が心を締め付ける。


 

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