4~視線
おばさんたちがヒソヒソと噂話をしている。女の子の手をひいた母親が急ぎ足で逃げていく。すれ違う男たちが身構えている。携帯電話を手にした若者が通報している。誰もがボクを捕まえようとしている。
視線が恐い。空気が重い。息が苦しい。圧しつぶされそうだ。こうなってしまったからには、もう生きていくことは出来ない。
いずれ捕まって、そして、ボクは……。
マコは大丈夫だろうか、あの後どうなったんだろうか、今、どうしているだろうか。
何もしてあげられない自分が悔しくて、悲しい。もう話しも聞いてあげられない。
ねぇ、ばあちゃん。悲しいよ……辛いよ……苦しいよ……。
もう一度マコに会いたい。笑顔を見たい。それが出来たなら、マコの笑顔を胸に焼き付けて、想い出を胸にボクは……。
街を彷徨っていた。鋭く刺すような視線に怯えながらも、歩き続けていた。辛い記憶に胸が圧し潰されそうになる公園にも、マコがいることを祈って何度も行ってみた。あのベンチで会えるのを期待しながら待ったりもした。
でも――マコの姿はなかった。
マコに会いたい。
天に向かって、言葉を送る。
沈黙の空はどんより曇っている。吹き抜ける冷たい風が心を締め付ける。