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不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
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95話 リュフカでの再会

「ノエル様からの伝令でーす!グラさん!お久しぶりです!」


「アルル!?何故ここに・・・?」


母上が連れ去られてから3日、アガレスの東方軍はリリムの活躍ですっかり戦意喪失して下がっていったシトリ軍を追い払いリュフカの奪還に成功していた。


現在はリュフカの再興を補助しつつ、陛下やノエル様からの指示を待っていた所だ。兵士たちは母上を失った動揺こそあれど、己が為すべき事をしっかりと理解し戦ってくれた。


そして、ノエル様からの伝令兵が到達したと聞き、えらく早い到達だなと思いつつ会ってみれば、そこにいたのはウアル連合国で出会った犬の混血種にしてレオナの臣下のアルルだった。


「この戦争にウアルとしては力添えすることは出来ないんですけど、レオナ様たちは個人的に支援したい気持ちがあって、それで私たちが来たんです!」


「名目上は休暇を頂いて好きな国を巡り見聞を広めるため・・・ってことになっているんですけどね。」


上空からも声が聞こえ見上げれば、同じくレオナの臣下である天馬のセインが降りてきた。二人はそれぞれノエル様と陛下の伝令兵を乗せて各拠点を飛び回っているらしく、陸地を早馬で行くよりも遥かに早く伝令を送りあうことが出来ているようだ。


「伝令兵さんはあっちで将軍さんに報告してます。西の方はかなり苦しい状態ですね。ウォレウォルの戦士たちも向こうに集中してるみたいですしあっちが本命なのかも?」


「一概にそうとも言い切れないな。こちらに出てきている召喚獣たちはノエル様の軍勢なら楽に戦えていただろうし、逆にウォレウォルの戦士たちはこちらの軍なら勝つことすら出来ただろうし。」


対物理の軍勢をノエル様の方に、対魔法の軍勢を母上の方に中てられてしまったからこそのここまでの苦戦なのだろう。事前にどちらにどういった軍が来ているか分かっていればよかったのだが、まあそこは仕方がない。


それよりもここからレゾンの、元シトリとの国境まで取り返しに行く方法を考えなければならない。最終的な決定は母上に代わって軍を纏めている将に委ねられるが、この先リリムが暫く戦闘に参加できないのだから多少は慎重に行動しなければならないだろう。


「リリム様戦えないんですか?ま、まさか大怪我をされたとか?」


大怪我はしたといえばしたが、そちらは特に問題はない。問題なのはリュフカの現状だ。想像通り町は荒らされ、畑がぐちゃぐちゃにされてしまっていた。


リュフカの名産である砂糖の畑が壊滅的な被害を受けてしまったのを見て、リリムは半日寝込んでしまい、目覚めたかと思えばひたすら一人で畑を耕し続けている。そして、砂糖が無事収穫できるようになるまでこの町を離れないとまで言い出してしまった。


元々自由参加というか、協力してくれているだけなのだから彼女を強制的に動かす権限など誰も持ち合わせておらず、置いていくしかないんじゃないかと話をしていた。


「大丈夫よ。さすがに進軍の時がきたら首根っこ捕まえて引きずってでも連れて行くから。」


遺跡の調査に出ていたルルとシールが丁度戻ってきたようで、リリムはちゃんと連れて行くと宣言してくれたので一安心だ。


遺跡の方もこの町を訪れた冒険者以外特に入った形跡もなく周辺も荒らされてはいなかったらしい。遺跡の制御室にまで行って確認したところ、未だに僕らの後に最後までたどり着いた人はいないらしい。だがそれでも、いくつかの宝は持ち出された形跡があったため多少の収穫はあるようだ。


「気になるのは遺跡周辺に血痕が少し残っていたことくらいかな?周辺の魔物にやられた冒険者が何人かいたらしいし、たぶんその人たちのものだと思うけどね。」


そういってシールは、その血痕の近くに落ちていたという槍を振り回して遊んでいる。そして、アルルがそれを避けたりして一緒に遊んでいたのだが、横からの薙ぎ払いを避けきれないとふんだのか思いっきり弾き飛ばした結果、シールの手元からも離れ僕のすぐ脇を掠めていった。


「危なっ!?・・・ったく、遊ぶのもいいけど周りを危険にさらすな・・・。」


様になっているようで様になっていないシールに槍を返し、平謝りを続けるアルルに大丈夫と伝えて元の場所に戻る。この位置は丁度南の門が見える位置なので、町の外にある傭兵所を拠点として軍議を行っている将軍たちが入ってきた時にすぐ確認できる。


「とんだ不幸だったわねグラ。怪我はないかしら?」


体に痛みはないし、少し確認した所服なども特に切れた様子はない。問題ないことを伝え、シールとアルルの模擬戦のようなものを見物しながらルルに一つ確認をしてみる。


「魔王が母上を連れ去るように命じていたって話だけど、その理由に心当たりは何かある?」


「心当たり・・・ねぇ・・・。正直、ありすぎて逆に分からないわ。私たちへの牽制に使うのか、アガレスの戦力低下を狙っているのか、あるいは単にアガレスの魔法神に興味があるのか・・・。」


「魔王は度々賢者を集めては神話の遺跡へ挑もうとしてますし、エレナもその一人として呼ばれたのではないでしょうか?」


気が付けばリリムが畑仕事から戻ってきており、農家の人から借りた服を泥だらけにしながらも満足そうな顔をしている。どうやら畑を耕すのは終わったらしい。


「ま、わからないことをぐだぐだ考えるのは辞めましょう。今はアガレスを取り戻すことが優先でしょ?ほら、将軍さんがこっちにきたわよ。」


ルルに言われて門の方を見れば、将軍とその臣下が小走りでこちらへ向かってくるのが見える。どうやら今後の作戦がまとまったらしい。

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