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不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
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85話 対立する竜神

「氷の蛮人・・・どこかで聞いたことあるわね。」


昨晩シールを襲ったのは幻術世界でお世話になった二人に加えて、死神のような見た目をしているという男がいたそうだ。


そして、その男の力とミスフィの力を合わせて僕らを幻想世界ごと氷漬けにして監禁していたらしく、どういう理屈かはわからないが現実世界との時間の流れにズレが生じ、一年半ほど時間が過ぎていたようだ。


もっとも、何故そんなことをしたのかは不明なままだし、今後どこでどう関わってくるのかもわからない。もしかしたら今回の戦争に関与している可能性があり、ルルとリリムをアガレスに近寄らせないための行動かもしれない。


「とにかくあいつはすっごい危険な奴だから、今後は僕とリリムとグラっちは単独行動禁止ね!」

「私は?」


ルルはまあ大丈夫だろう。相手が氷の竜神を冠していたという情報と、ミスフィとガイムさんが敵に回っていることさえ分かっていれば不意打ちで驚かすことくらいはできても、傷一つ与えることすらできないだろう。


「随分と私の評価が高いみたいだけど、私だって不意打ちで氷漬けにされたらどうなるか分からないわよ?」


その不意打ちで氷漬けにするのが不可能だと思ったが、よく考えてみればルルは案外不意打ちを食らって問題を起こすことが多い気もするので、一応単独行動は慎んでもらうようにしよう。


「頼みの綱はグラっちかな?とにかくミスフィが厄介なんだよ・・・。気配が全く読めないから僕とリリムじゃ太刀打ちできるか分からない。」


純粋な戦闘能力だけなら問題ないが、隠密独特の戦闘方法を取られると確かに厄介な存在だ。だが、僕で対応できるかと聞かれると不安しかない。言ってしまえば相手は僕の上位互換みたいなものなのだから・・・。


「現状、最優先事項はアガレスの戦争です。氷の蛮人が出てきたらその時対応するとして、はやめにスフラへ向かいエリアスと合流したほうがいいでしょうね。」


「そうだね。フェロン殿、この使い魔はフェロン殿の方から連絡を取る際にも使えますか?」


椅子に座って休んでいるフェロンに訪ねれば、一応可能ではあるが距離が離れすぎると繋がらない場合もあるらしい。アガレス・ウアル間くらいなら大丈夫なので、何かあったら互いに連絡を取ることにしてウアルの地を後にすることにした。








「・・・それで、私たちがアガレスへ向かうのがよほど都合が悪いみたいね。」


町の外に出たところで、ミスフィとガイムの二人が待ち伏せしていた。もう一人いるはずの男の姿が見えないが、おそらくはミスフィが隠しているのだろう。なんとなくではあるがその居場所は掴めている。


「そうだねぇ・・・。グラ少年だけなら帰してあげてもいいんだけど、君ら三人がこの戦争に介入されるとやっかいなんだよねぇ・・・。」


ミスフィが頬を掻きながらそう伝えてくる。それならば何故シトリ教国の魔法陣のことやらを話し、僕らが帰りたくなるような情報を与えたのかと問えば、単に口が滑っただけだというのだから厄介な性格をしている。


「ま、失敗は誰にでもあるもんだよ少年!それより、どうしてもアガレスへ向かうっていうのかい?」


口調はいままでと変わらないが、威圧感が今までとは比にならないほど増している。体が震えているのを感じる・・・何度も死線を潜り抜けてきたつもりだったが、これほどの恐怖心は味わったことがない。


だがそれでも、どこか安心している部分もあるのは、ルルが一切怯んだ様子もなくいつも通りの不敵な笑みを浮かべているからだろうか。


「アガレスへ向かったらまずい理由を教えてくれるなら、考えてあげなくもないわ。それか、地面に頭をつけて命乞いをするなら・・・ね!」


ルルが目の前の二人を挑発したかと思えば、爆発したかのような音を残しながら地面を蹴りミスフィへ間合いを詰めた。そしてミスフィの顔面に向けて高密度の炎を放つ。術式自体は中級魔法程度のものだが、桁違いの威力の炎がミスフィを包みこみ火柱となって空中に浮いて待機していた見えないもう一人も巻き込む。


そして、一人炎を免れたガイムさんはというと、同じく飛び出したリリムに切り捨てられ右腕が体から切り離された状態で倒れていた。


「相手は・・・竜神・・・なんだけどなぁ・・・。」

「今更だろ・・・。」


たったの一瞬、一撃で決着がついてしまいさすがに少しばかり二人に同情してしまう。しかもミスフィは火達磨のまま悪戯に蹴り飛ばされたり殴られたりして本当に命乞いまでし始めてしまった。


「ガイムさんは・・・地面に首から上が埋まってるけど・・・息できるの?あれ?」


リリムはリリムで無駄に追い討ちをし続けていたらしく、すでに首から上は地面に埋め込まれ、左腕まで切り飛ばされた挙句背中を踏まれて身動きがとれなくなっているようだ。










「熱い・・・痛い・・・死ぬかと思った・・・死ねたほうがマシだった・・・。」


地面に伏したままピクリとも動かず、泣きながら呟くミスフィに捕縛魔法と魔封じの呪印を刻み、抵抗できないように抑え込んでおく。竜神相手にどれほど効力を持つかは不明だが、何もしないよりかはマシだろう。


ガイムさんの方は腕はくっつけたがその代わりにフェロンの蛇が何匹も噛みついており血を吸い続けているようで、青白い顔をしながら座り込んでいた。


「それじゃ、時間もあまりないしサクっと拷問・・・じゃなかったわ。尋問といきましょう。」


ミスフィの髪を掴み顔を無理やり上げさせ、首を軽く締めながらルルが質問を始めた。嘘をついたり誤魔化そうとしたら首をへし折るという意思表示だろうか・・・いつもと変わらない笑顔で尋問をしているルルに若干の恐怖を覚えた。

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