表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
70/139

70話 新たな旅立ちの日

「ふふふっ・・・どうかしら?少しは自信もついたかしら?」


月夜に照らされて妖しく笑う彼女は、少しばかり耳を赤くして再び隣に座ってきた。


「私は・・・あなたのことが好きよ。人として、仲間として・・・男性として・・・ね。あなたと、もっと共に旅をしたい・・・だから一緒に来て欲しい。あなたは私が守るわ。望むのならあなたの家族も・・・アガレスも。」


手を繋ぎ、僕の肩に頭を乗せながらそう囁くルルは、横目で見てもとても美しく、可愛かった。だが、何を思ったのか急に手を放し青ざめた表情へと変わっていった。


「あぁ・・・なんだかとんでもないことを言った気がするわ・・・。忘れて頂戴。レオナに中てられて、お酒も相まって酔ってただけだわ。」


そういって慌ててこの場を去ろうとするルルの手を掴み抱き寄せる。さすがにこの状況で、ここまで言ってもらって何も返せないほど朴念仁ではないつもりだ。


「僕の、ルルへの気持ちは・・・憧れとかのほうが強いと思う・・・。だけど、それでも、こうしてずっと抱きしめていたいと思うほどには君が好きだ。僕はこれからも君たちと・・・ルルと共にいく。」


しっかりと、彼女の耳に届くように話し、今度はこちらから唇を重ねる。普段は冷静なルルでもこれだけ取り乱し、涙を流すことがあるんだなと笑ったら、ふてくされてそっぽを向かれてしまった。













「それで、その後どこまでしたんだい?お義兄さん。」

「姉様は殿方との経験はないでしょうが、意外とうまかったのではないですか?お義兄さん。」


翌朝、共に向かう意向を二人に伝え、今だ寝むりこけて起きてこないルルを待っている間ひたすらからかわれ続けた。


どこから聞いていたのかわからないが、二人とも昨夜は空高くから見守っていたとかで、一部始終を見聞されていたらしい。


とりあえず二人とも好意的であることには安心するが、お義兄さんと呼ばれるには色々と早すぎるし、鳥肌が立つから止めてもらった。


ちなみに宿に戻ってからは、ルルが普通に寝てしまったために何も起きなかった。お酒も結構飲んでいたようだし疲れもたまっていたのだろう。後で聞けばルルはルルで、結構悩んでいたらしいのだが、レオナに色々と相談して決意を固めたらしい。


寿命の差など正直まったく考えていなかったが、確かに普通に行けば間違いなく僕が先に逝くことになる。こればっかりはどうしようもないので、せめてルルに、この先ずっと僕のことを忘れずにいてもらえるように努力するしかない。


「姉様はあれで生娘ですし、今まで興味を持たなかった分知識が乏しいと思うので夜は主導権を取れると思いますよ。なんでしたら、姉様の弱点も教えて・・・」

「私の何を教えるのかしらぁ?リリムちゃぁん?」


いつの間にか起きてきていたルルが、リリムの背中から首元を軽く握り、普段より声色が低く、粘っこい喋り方で話しかけてきた。突然の出来事に反応できず、リリムはみるみる青ざめていき冷や汗をかいていた。


「まあその辺はゆっくり進めていくよ。情報収集は得意分野だからね。」


正直、リリムの情報には興味が尽きないが、それを自分で調べるのも醍醐味というものだろう。一先ず、朝からするには不適切であろう会話を打ち切り、これからのことについて話を進める。


「フェロン殿が言うにはこのあたりは元々、300年前は雪山だったらしいんだ。だが神話の地図が間違っているとも考えにくい。ルルたちは何か知らないかい?」


「正直、私たちはそんなに地理や歴史に明るくないのよね・・・。自分たちで見聞きした分程度しか分からないわ。」


「僕も詳しくは知らないけど、霧の竜神が自分の領域を隠すために幻術を掛けているって可能性が一番高いかな?たぶんそのくらいのことは出来るし、300年前っていうと、確かそのくらいの時期に住み着いたって噂が流れ始めたころだったと思う。」


霧の竜神というのは隠密・幻術を極めているようで、2つ以上の名を冠する唯一の竜神だそうだ。そして、雪山を砂漠に見せかけているのではなく、雪山周辺に幻影世界への門を置き、幻影砂漠に送り込んでいるのではないかとのことだ。


「もしそれが本当なら、まずはその門を見つけて、どうにか超えるしかないわね。」


神話の地図ですら砂漠を示していることに関しては、おそらく地形を判別するために放たれている魔法がその門に飲まれ、砂漠へと到達しているからだろうと予測が出来る。


ただの幻術なら見抜くことができるだろうが、竜神相手となるとどこまで自分の力が通じるのかがわからない。今までならそれで後ろ向きになってしまったが、今はどちらかというと、自分の力がどこまで通じるのか試してみたいという気持ちの方が強い。


愛の力・・・などと簡単に結論付けるつもりはないが、ルルに自信をつけてもらったからなのは間違いないだろう。


未だ残る唇の感触を親指でなぞり確かめたところでルルと目が合う。ただそれだけで笑みが零れるし、ルルは耳を赤く染めていた。


「姉様、グラさん。愛し合うのは構いませんが時と場所は選んでくださいね。さすがに目の前で事を始められると困ってしまいます。」


リリムに揶揄われて慌てて反論しようとしたが、それより先にルルが"まだ我慢できるから大丈夫"と言い放ったため言葉が出なくなってしまった。






我慢できなくなったらどうなるのだろうか・・・さすがに露出の趣味はないからその辺は自重して欲しいのだが・・・。


旅の目的とはまったく無関係な不安を抱えて、四人旅が再び始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ