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不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
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65話 闇の祝福

「ふぅ・・・どうにも・・・ままなりませんね・・・。」


現在、自分自身との闘いは今までにないほど苦戦を強いられていた。相手の攻撃はなんとか凌げてはいるが、こちらの攻撃も一切入らない。消耗するのはこちらがわばかりで、敵のリリムは一切消耗した様子が見えない。


「表情が無いのは私を投影しているからでしょうか?あるいは・・・!?くっ・・・。」


速度は同じだがいかんせん隠密の力が邪魔すぎる。あれのせいで攻撃の気配が一切読み切ることが出来ず、今まではそれでも自身の速度を持って後の先を打てていたが、自身が相手となるとそれも出来ず、時折体を傷つけられていた。


「それでも、この呪いまで真似されなかったのは幸いでしょうか。」


先ほど的のリリムの頬につけた傷、かすり傷程度だがそれが未だ回復していない。こちらも同じように傷を負うことがあったが、呪いが全て回復してくれていた。


この呪いは、体力の消耗も魔力の消耗も無く自動で修復してくれる上、失った体力まで回復してくれるのだから、人生においては呪いでも、戦闘中に関してだけなら祝福のようにも感じる。


「とは言え、これ以上時間をかけるわけにもいきませんね。」


結界の外を見ればフェロンはこちらを観察するように戦いを眺めており、突破する術がないと判断したのか、繭の進行を進めていた。


最悪、シール君が止めてくれるだろうという希望はあるが、彼の戦闘能力に関しても実はよく知らないでいる。何せ出会ったときからこちらに好意を寄せており、一度として本気で戦ったことがない。まして彼はまだ子供・・・その辺の生き物よりかは長く生きているものの、いざという時の戦闘経験などもまだまだ浅いだろう。


「仕方ありません・・・姉様のいない所でどれだけ制御できるか・・・。」


ふぅ、と息を吐き、脱力したように腕をぶらんと下げ目を閉じる。その隙を敵のリリムが逃すはずもなく襲い掛かるが、左足の斬撃を腕で止め、弾き飛ばした。







「・・・随分と強いようだけど、さすがにこれは勝てないでしょうね。」


結界の中で同じ背格好の二人が戦っているのを見ながら、そんなことを呟く。今までも何度か同じようなことをしたことあるが、誰一人としてこの状況を突破できた者はいない。彼女もまた然り。


「それなら、今のうちにこれを運んでおきましょう。静かに王城へ忍び込む方法がなくなってしまったのだから、せいぜい騒がしく、堂々といきましょう。」


わざわざ王都に近い領主を洗脳し、顔を売ってから新領主となったまではよかったのに、いざ王子と結婚へ向けて手を打とうとした矢先に精霊の小娘に先を越されてしまった。


妙な美意識やらのせいでこんな面倒くさい自体になったのだから、それを反省し醜くても目的を果たすことを最優先とすべく、なりふり構わずにここまで運んできた。


「あの王子様は可愛らしいから、生きていたら奴隷にでも貰おうかしら?・・・あら?急に動きが止まったわね。」


ふと結界の中を見れば、片方が項垂れたようになっている。ぱっと見ただけではどちらがどちらか分からないため、頬の傷を残しておいて見分けていた。項垂れているのは傷が無い方だから相手側の方だろう。



そして、何事かと見ていれば、傷のある方が仕掛け、そして吹っ飛ばされていた。そして、結界の端に当たったかと思えば、防御すらままならないほどに攻撃を受け続けていた。


「なっ!?何故・・・何を仕掛けた・・・?」


まったく同じ力を持った状態で、片方は隠密の力と私自身の魔力を加えている。多少の攻撃は受けても、これほど圧倒的に蹂躙されることなどありえない。核を破壊されたか、あるいは魔力を封じられたか・・・。


そして、結界を力づくで突破しこちらへ飛んでくる彼女は、体を黒く染めており、闇に包まれていた。












「闇の祝福よ。我に力を。暗夜へと誘う狂宴を与えよ!」


本来ならば竜神程の制御力を持たねば使用を禁じられている奥義-祝福-。何百年と研究を続け、使用方法まではわかったものの、いざ使用したら自分で止めることは出来ず、制御もままならず、姉様に無理やり止めてもらってなんとか事なきを得たほどの力。


その効果は、上級闇魔法の一つである増力をさらに強化したもの。己すら食い殺す闇へ身を委ね、破壊衝動の赴くままに近づく者へ攻撃を続ける。


敵の自分がこれを投影できているかはわからないが、仮に出来ていたところで使用すれば一瞬で闇に食い殺されてしまうだろう。


本来ならば私もそうなるはずなのだが、それを止めているのが呪いの力だった。身体の変化を許さない呪いは、闇に食い殺されてしまうことすら止めるほど強力だった。


速度も威力も桁違いに増力した一撃は、敵を一瞬で破壊し、結界を力づくで打ち破った。


そのままの勢いでフェロンにも襲い掛かるが、わずかに間に合わず、一撃を入れることはできたものの致命傷には至らず転移魔法で逃げられてしまった。


「後は・・・この・・・繭を・・・破壊・・・ハカイ・・・。」


意識がわずかに薄れる。衝動の赴くままに繭へ攻撃をし続け、塵一つ残さず破壊には成功した。




だが、これをどうやって止めればいいかわからず、視界は完全に暗転してしまい、指先の感覚なども次第になくなっていき、何とか体が動かないように自身に束縛の魔法を打ち止めているが、これもいつまでもつかはわからない。






だが、それは唐突に終わりを迎えた。唇になにやら暖かな感触を与えて。

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