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不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
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49話 竜鱗と純血竜種

「ふははははははは!我こそが風の竜神シルフィード!脆弱な人間ども。死する前に我が姿を見ることが出来たこと光栄に思うがいい!」


窓の外の霧が薄くっていき、完全になくなったのを確認してから外へ出た。そしてそこにいたのは船の何倍も大きく、少し離れた所からこちらを威嚇するように空を飛んでいる竜だった。


発した言葉からこの竜が風の竜神シルフィード、つまりはシールであることはわかったし、彼は竜鱗の民であると言っていたから変身して竜になっているのも理解できる。そして彼が船を持ちあげ霧の外まで飛んで運んでくれたというのも理解できる。


分からないのは、彼の喋り方がおかしな点くらいだった。


「くっ・・・。まさかこんなところに風の竜神がいるなんて・・・。だけどここで死ぬわけにはいかないのよ!みんな!力を合わせてあの竜神を退治するわよ!」

「かしこまりました。」

「ちょちょちょ!待って待って待って!」


突然芝居がかった台詞回しをし出したルルと、竜と化したシールを四方から挟むように魔法陣を展開しだしたリリムを見て、慌ててシールが変身を解き甲板へ戻ってきた。直後に元居た場所に光やら炎やら氷やら岩やらが飛び交うのを眺めて、シールがリリムへと文句を言い出す。


「あんなの喰らったらさすがに死ぬんですけど!?旅の窮地を救ったのにひどくない!?」

「大丈夫です。殺すつもりは少しもありませんでしたから。殺すつもりは・・・ね。」


淡々と言うリリムに背筋が凍り付くのを感じる。だがルルはあっけらかんと"昔っからこういう遊びをしてたから問題ないわ"と言っている。せめてもう少し心臓に負担のかからない遊びをしてほしいものだ。


「さきほどのが彼の本当の姿ということか?彼は竜鱗の民だったのか。すごいな。」


おおよその事情を察したノエルが目を見開きながら呟く。竜鱗の民は短い時間だが竜に変身することが出来る。もちろん純血ではないため一度変身するとしばらくは変身できなくなるそうなのだが、特に問題はないとのことだ。


「正直言って、竜の姿になって得するのって範囲攻撃をしたり長距離移動したり、さっきみたいに大きな物を運ぶときくらいだからね。竜の息吹とかは使えるけど、竜神までいくと得意魔法で普通に攻撃したほうが強いからねぇ。」


竜になることで単純に大きくなり質量が増える点では有効な部分も多いが、それ以外はせいぜい物理的な攻撃力と防御力が上がる程度だそうだ。それでもただの人間にとってはとんでもない脅威ではあるが・・・。


「竜鱗の民と純血の竜種とを見分ける方法はあるのだろうか?」


ノエルがシールに質問するが、純血の竜種にはほとんど合ったことが無いらしく、正確なことは分からないと前置きした上で答えてくれる。


「まず、元の姿が人なのが竜鱗の民、竜なのが竜種だね。生まれた時や死んだ時はそっちの姿になるんだ。あと、寿命の長さとかも竜種のほうが遥かに長いかな?あと、竜種にとって人の姿は仮初だから、自由に見た目を変えれる分幻惑を見破る魔法とかで看破されちゃうね。見分けるってなるとそのくらいしかないかな?」


実力などに関しては個々次第だそうで、しっかり鍛錬を積んでいない竜は案外簡単に倒せるとルルが補足してきたが、はたしてそれが一般人に通じる話なのかは不明だ。


「竜神は大抵竜鱗の民か竜種のどっちかがなるんだけど、精霊族とかでも極めている人は竜神の称号を得ることがあるんだ。あ、ちなみに竜神に選ばれるかどうかは、そういう試験をしてくれる人たちがいてね。試験に合格すると認められるんだ。」


竜系統の長のような人が、試験を決定しそれに合格することで竜神を名乗る資格を得るそうだ。まさかそんな仕組みがあるとは思ってもいなかった。話を聞くと過去には色々な竜神がいて、食に関する魔法を極めた竜神なんかもいたらしい。世界中のあらゆる料理を作ることができ、しかもどんな食材を使ってもとても美味しい料理を出せるのだとか。


なんとなくその竜神の試験内容は想像でき、少しばかり笑ってしまった。


「まあ普通に生きている中で竜とか竜神と出会うことなんて滅多にないし、出会ったとしても何もなければ気が付かないと思うよ。」


尤も、その滅多に出会うことのない竜神がすでに2人知り合いにいるのだから、改めて数奇な人生になってきていると実感する。




さて閑話休題。まずはここがどこなのか確認する必要がある。シールは適当に真っすぐ飛んできたと言っていたため、場所まではわからないとのことだった。


「地図で確認したところ、魔霧海域の北西あたりね。ここからなら、少しだけ北に向きつつ東の方へ進めばスーレ領の港へ着くことができるわね。」


「船首が西を向いてしまってますね。動力炉に魔力を流して方向を変えましょう。」


そういってルルとリリムはそれぞれ動力室と船首の方へ向かい、船の方向が変わったところでシールが風を吹かし始めた。


「こういうとき、私たちはやることがなくてもやもやするな・・・。といっても、彼女たちの手伝いなどやれることがないだろうし・・・褒賞を与えるくらいしかないか。」


そういってノエルが何枚か金貨を取り出したが、三人とも受け取らず、何か欲しいものが見つかった時に頂くとだけ伝えてきた。だが、シールは金貨こそ受け取らなかったがご褒美はいますぐ欲しいと言い出し、リリムのほうへ向きとてもいい笑顔でこういった。


「僕はキスがいいな!熱々の!」


わかりました。とだけ言って船内へと入っていくリリム。






この日の夕食はとてもおいしい天麩羅だった。

もしかしたら竜鱗の漢字を間違えていたかもしれないです。

正しくは"鱗"なので他の漢字になっていてら報告をお願いします。

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