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不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
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43話 レゾンを襲った影

「おはよう。昨夜は随分と盛り上がっていたみたいだね。」


翌朝、昼前に出発するために準備をしていた所に寝起きのルルがやってきたので声を掛ける。予定が無い時はいつまでもだらだら寝ているルルだが、今日は早くに起きてきてる。だが随分眠そうだった。


「・・・ノエルとリリムがちょっと盛り上がっていてね・・・。巻き込まれたわ・・・色々と。まあ気持ちよかったからまだ幸いなほうね・・・。」


昨夜隣の部屋の明かりが随分遅くまで付いていたというのは先ほどシールから聞いていた。なぜ彼がそんなことを知っているのかはわからないが・・・。


「申し訳ないんだけど、道中に少し眠らせてもらうわ。眠い状態だと集中力が落ちてしまうから危ないのよね。」


よほどのことが無ければ道中の安全はほぼ保障されているので特に問題はない。予定では夕刻にレゾン近くに到着し、そこで早馬に乗っていった伝令騎士と合流し色々と情報を得るつもりとだけ伝えておく。


王族用の馬車は揺れが少なくなるように設計されているため、ルルは毛布を掛けて並べられた椅子の上で横になって寝ている。反対側に残り全員で座り道中はルルの寝顔鑑賞会となっていた。






そして夕刻、レゾンの町の外に馬車を止め騎士がくるのを待っていたが、そこに現れたのは伝令に向かった騎士ではなく、町の警備騎士だった。


何があったのかと話を聞くと、これから乗る船が何者かに襲撃され操舵士も航海士も大怪我を負ったり、船の動力源でもある魔石が破壊されてしまったという。

そしてその中で交戦している際に伝令騎士も含め数人の騎士が命を落としてしまったという。


「現在は鎮圧し敵の生存者は全員捕縛しております。ですが、船を動かすことができなくなってしまい・・・申し訳ございません!」


悔しそうに頭を下げる騎士に向かって魔石が壊されただけなら問題ないと伝える。


この国の船は魔石から魔力を流し込み動かす船と、帆を貼り風を受けながら動かす船とがある。そして今から乗る船はそのどちらも採用されている船であるため、片方が壊されてももう片方の力で進むことができる。


「確かに帆を始め船そのものは死守することが出来ましたが、船の中に一人入り込まれてしまいその際に魔石が・・・。あれがなければとてもウアルまで到達することなど出来ません・・・。」


風の力は強大であるとはいえ、ウアルまでの長い航路を行くためには常にそちらへ風が吹いていなければならない。普通ならそんなことはありえない話であり、魔石が壊れた時点で航海を中止せざるを得ない。


「まあ、その点は問題ない。こちらにも秘密兵器があるからね。それより船の操縦方法などを彼女へと伝えてもらえないだろうか?僕たちは予定通り夜に発つ。それまでに町の情報を纏め王宮へ情報を届けてほしい。それと僕は少しばかり町の様子を見てくるから、夜になったら彼女たちを船着場まで案内してあげてくれ。」


そういってグラは隠密魔法を展開し姿を消して町の中へ入っていった。騎士は呆気に取られていたがすぐに正気を取り戻し、船の操縦方法などをルルに伝え始めていた。





襲撃があったのは昨日、自分たちがリュフカに泊まっていた頃のことで、どうやら狙われたのは船だけらしく、町の中は多少の不安は漂っていたものの特に騒ぎが起きていたり被害がある訳でもなかった。


明らかに出航を阻むための襲撃だがその意図が読めない。出航を阻止したところで多少ウアルとの関係は悪化するかもしれないが、事情を説明すれば納得してくれるだけの信頼は築いてきたはずだ。


あるいはもっと別の狙いがあって、それを達成するために船の存在が邪魔だったのかもしれない。狙われた船は商人用の船ではないため、海上探索などをされることを嫌ったか?


そしてなにより、襲撃者の服装は黒の衣を纏い夜と同化し、有体に言えば暗殺者のような恰好をしていたという。バエル王国の手の者というのが本命だが、もし他の国の者だった場合、その国とも対立するようなことになるため、国が疲弊し続けてしまいかねない。


途中、警騎士所にも立ち寄り、牢屋の中を覗きこむ。牢屋の中にいる暗殺者はこちらに気付くこともなく座っている。もしかしたら何か特徴的なものでもないかと思ったが、見た限りではどこの組織の人間かはわからなかった。


それならば、昨日聞いた情報の確認も含め、シトリ教国との国境を少し確認してから戻ろうと思い走り出す。あまり時間はかけられないため簡単な調査になってしまうが、何か得るものがあるかもしれない。


町中を進み続け、シトリ教国との国境付近までやってきた。確かに見えている兵の数も多くなっている。内部を確認するため隠密の上級魔法で姿や気配を完全に消し去り、国境を抜けシトリ騎士の集う砦の中へと進入をしようとして思わず足を止める。


元々は多少大きい程度の砦だったはずの建物は、明らかに巨大化しており、行く手を阻む城壁の如く縦にも横にも壁を伸ばしていた。

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