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不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
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39話 海を渡る方法

「さて、選択肢は4つあるわ。盗む、作る、借りる、買う。」

「盗んじゃだめでしょ・・・。」


ルルとリリムとシールの三人はウアル連合国へと向かうため、スフラの町へ船を探しにきた・・・のだが到着早々物騒なことを言い出すルルにさすがのシールもあきれ顔だった。


「そもそもの話、ここは漁師町だから小さな漁船はいくつかあっても、大きな船ってなるとそうそうあるもんじゃないわよ。」

「最悪あなたに乗っていくという手段もありますね。」


乗せるか!と叫んだ少女は以前出会ったコロンという少女・・・によく似ているエリアスである。


エリアスは基本的に人に変身する際見た目をある程度自由に出来るらしく、外部の人間が訪れても誤魔化しが効くようコロンの姉という立場に収まっているらしい。町民からもエリーという愛称で親しまれているらしく、竜神と一般人がこれほど距離が近いのも珍しいとシールが驚いていた。


「まあこれでも瓦礫の運び出しとか建築資材の運搬とか、結構手伝ったからね。今は怪我した人を治したり、コロンに勉強を教えたりしてるのよ。」


元通りとまではいかずとも、活気を取り戻したスフラの町を案内してもらいながら話をしている。だがやはりウアル連合国まで届くような大型の船はこの辺にはないらしい。


向こうの大陸では航海術などの発達も数段進んでいるため、こちらへ来ることは問題ないらしいのだが、逆にアガレスでは自国内や同大陸内で十分な暮らしが出来てしまう分、他大陸へ渡る手段が乏しい。


「そもそも、こっからウアルまで行くのなら、魔霧海域を超えることが出来る船か、大きく迂回できる船じゃないとダメだし、迂回するにしても大波に耐えることができなきゃ沈むわよ。まああんたたちなら死なないから平気だろうけど。」


いくら死ぬことがないとはいえ、余計な苦労はしたくないし海に沈められるのも遠慮したい。


魔霧海域とはその名の通り、魔力濃度が非常に高く霧のように感じることからそう呼ばれている。当然それだけの魔力濃度があるのであれば大型の魔物や協力な魔物も出現するため、基本的には大きく迂回する海路を取ることになる。


だが、迂回するにしても荒波を超えなければならないため、小さな漁船程度じゃとても超えることが出来ない。2か月に1度くる商人の船に上手く乗ることができれば問題ないのだが、つい先日きたばかりで次にくるのは2か月後だと言われてしまった。


「海を舐めていたわ・・・。漁船に適当に魔力を補充しながらでたどり着けると思っていたのに。」

「この大陸に来た時は商人の船に乗ることができましたからね・・・。」


やはり目の前の竜神に乗っていくしかないと呟いた瞬間、エリアスが走って逃げ出してしまった。


「僕が竜化して運べなくもないけど・・・疲れるし、大騒ぎになるよね。まあそれはエリアスに乗っていっても同じだけど。」


竜麟の民が竜の姿になることが出来るのは連続した時間ではせいぜい1日分程度であり、竜神はもう少し長く変身できるが、それで渡り切れる保証はない。エリアスのように純正の海竜種であるならともかく、竜麟の民であるシールには難しいかもしれない。


「しかたがないわ。一度王都へ戻って情報収集をしましょう。もしかしたらグラたちの方に動きがあるかもしれないし。」


そういって三人は来た道を戻り、王宮を目指すのであった。




そして王都に戻ってみたら"王妃が病に倒れた"という噂でそこら中がざわついていた。命に別状はないが、治癒魔法でも治らないような病を発病してしまい、暫く表には出てこれないということらしい。


「そして、同様の病が他国で起きていないか確認し、治療法を探している最中・・・という設定のようですね。」


食事を取りながら噂話に関して集まった情報を確認し合う。国民を騙すのはどうなんだろうとも思うが、敵を欺くにはなんとやらって話もあるくらいだ。傭兵所にも、万能治療薬の提出依頼が出ており、報酬はかなり破格の値段ではあるが、まあ提出できるような冒険者はいないだろう。


「とりあえず、グラにそれとなく私たちの居場所が伝わるようシール君にお願いしているし、もし動き出すのなら・・・。」


言い切る前に店の扉が開かれ、現れたのはグラとシールと、眼鏡をかけた黒髪の召使だった。

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