表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
38/139

38話 姉妹の都合

「うーん・・・私たちはウアルに行こうかなって話をしてたのよね・・・。」


離宮へ戻りことの次第を伝え協力を依頼したが、返ってきた返事は今一つだった。


ルルとリリムが探している竜神の財宝に関して、もしかしたら長生きしている竜神なら知っていることがあるかもしれないと思い、探してみることにしたそうだ。


そして、竜神の一人が"霧の里"と呼ばれる場所に住んでいるのをシールが思い出し、地図で色々調べていたところ、ウアル王国内にあることがわかったらしい。


そしてそこに向かう算段を考えている最中だったようで、彼女たちの行動を強制するわけにもいかず、どうしたものかと悩んでいた。


「前にも言ったけど、私たちが持つ力は強大だわ。それこそ私一人で国の一つや二つ相手にしても大丈夫なくらいにね。だからこそ、戦争とか、政治とかには出来る限り関わらないようにしているのよ。もちろん多少の協力はするし、私たちが動くことで平和に・・・、多くの命が救われるというのなら手出しもするのだけれど、今回の件に私たちが首を突っ込めば多くの命をこの手で奪わなくてはならなくなる。できれば、それは避けたいわ。」


彼女たちの預かり知らぬところで戦争が起きたのであればともかく、前線に立って自ら多くの命を奪うということは、できればしたくないというのは彼女たちはもちろん、誰しもが同じ思いだろう。


「我々はバエル王国にもウォレフォルの民にも少しですが恩義があります。一方に加担することは一方への背信行為になってしまいます。せめて何かしら大義名分があるのであればまだ動きようはあるのですが・・・。」

「ウアルへ行く用事の方なら、護衛とか協力はできるかもしれないけどね。ごめんねグラっち。」


今この瞬間に戦争になれば、彼女たちはアガレスの民を守るために多少は動いてくれただろう。だが、そもそもの話としてウォレフォルの脅威などはこちらの一方的な想像に過ぎず、戦争になるかもわからない状態では手助けのしようがないのだろう。


「戦争に協力は出来ないけど、情報提供くらいなら出来るわ。まず、今のウォレフォルにいる者たちは主勢力は陸種、狼だったり猫だったり狐だったりとの混血ね。ただ、水棲種もそこそこの数がいるから、戦争になったと仮定したら、東の海から攻め込まれる可能性すらあるわ。そして鳥翼種は当然空から攻撃できるし、竜種に至っては空も海も移動できるし、転移魔法を使える者もいるから、どこから現れるかすらわからないわ。」


「そしてウォレフォルの民は義を重んじます。バエルに多くの恩義がある以上、ほぼ全ての戦える民が戦争に参加することでしょう。」



数人程度ならエレナやアルマの実力があれば勝てるが、さすがに一軍相手になると厳しい上、竜麟の民も結構多く住んでいるらしくそんなものを相手にしたら一軍どころか国が壊滅的になるかもしれない。


「ただ、彼らも罪の分別くらいはつくはずよ。アガレス王国がバエル王国と睨みあっている理由次第では、協力しない可能性もあるわね。もちろん、バエル王国の国土まで攻め入ってしまったら、防衛に協力はするだろうけどね。」


睨みあっている理由はいくつかあるが、客観的に見てバエル王国に非がある部分が多いため、攻め込んでくる際はウォレフォルは積極的には動かないと見ていいと言う。


だが、攻め込まれて、追い返して終わりにしなければ異種族が動き出すため、どうにもこちらが不利な状況になっている感がある。


普通の戦争ならば、攻め込まれてた後追い返すことができたのなら、状況次第ではあるがそのまま追撃し、確かな形で勝利を残さねばならないのだが、それをしようものなら逆にやられてしまうのなら、防戦一方になってしまう。


「てか、そもそもまだ戦争になってるわけじゃないんでしょ?それなら王妃様をこっそりウアルへ送って、結婚式に参加して問題が起きる前に帰ってくればいいんじゃないの?」


シールの言うことは尤もだが、問題はアガレスとウアル王国王都との距離だ。海上の旅は何日もかかる上に、向こうの大陸に到達してから王都までさらにどれだけかかるかわからない。日程が分からない以上余裕をもって行動しなければならず、一月と少しは国を空けることになるだろう。


もちろんその間何もしてこない可能性もある。バエル王国内でもそこまで好戦的な流れにはなっていないようだ。


「例えばさ、王妃様は病気を患ったから一月くらい表には出れませんってことにして、こっそりウアルに行くっていうのはダメなの?」


その方法は考えなかったわけではないのだが、その際は情報漏洩を防ぐため、殆ど護衛も付けることが出来ずに見知らぬ土地を行ってもらわなければならなくなる。単純な戦闘面なら多少は問題ないが、ノエル自身は隠密行動や野営の類の経験が少なく、難しいだろうと却下されていた。


「とりあえず私たちはスフラの町にでも行って船を調達してくるわ。船の操作はしたことないけど、知識ならあるから余計な人は乗せないようにすることも出来ると思うわ。」

「念のためこれを渡しとくよ。」


ルルの言葉はつまり、秘密裏に行動するのであれば護衛として協力してくれるということだろう。ともかく彼女たちの回答と、教えてくれた情報を持って再び執務室へ向かう。そこで最終的な決定をすればいいと、歩みを進めた。





ちなみにシールに渡された物は髪の毛の色を変える玩具だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ