33話 攻略完了
「グラっちグラっちー。この遺跡どうするの?封印する?」
遺跡内の宝は回収していない物も沢山あるだろうし、封印するには少しもったいない気もするが、リュフカの近くであることを考えると魔物があふれ出てしまう可能性がある以上放置するわけにもいかない。
「そうだね・・・。魔物が外に出てくる心配がなくなれば、まだ封印しなくてもいいんだろうけど・・・。」
「完全には無理ね。所詮魔物だもの、制御しきれない部分もあるわ。」
「出てくる魔物を獣系のみに設定し、獣が嫌がる臭いを入り口付近に漂わせるのはどうでしょうか?」
いくつか方法はあるようだが、やはりどうしても無理が出てくるみたいだ。それならば遺跡をどうこうするより、警戒網を敷いたり、リュフカの町に防壁を作るほうがまだ現実的だろう。
そんなことを考えていると、シールが呆れたような目を向けながら話しかけてきた。
「あのさ・・・鍵付きの扉つければいいんじゃないの?」
「「「あっ・・・」」」
どうにも魔法に頼りっぱなしな生活を送っていたがために、普通の解決方法が思惑の外に出てしまっていた。確かに鋼鉄製の扉ならばそうそう魔物に壊されることもないし、指定の魔術式を流すことで自動開閉するようにすれば出入りにもそれほど困らないだろう。
ついでにルルが扉の強化も行ってくれるらしく、ひとまずはそれで決定にした。
帰りは罠などを全て無効にし、リリムに追跡魔法を付けて先に外に出てもらい、その後で遺跡の機能を復活させ魔剣の転移魔法で全員外に出た。何気にこの脱出方法は便利かもしれない。一人で先行出来る人がいるのならばの話だが・・・。
「それじゃ、扉を作るわね。・・・そろそろ手持ちの鉄も少なくなってきたわ・・・」
ルルの収納魔法はそれ程収納量が多くないため、ベッドと調理器具と鉄しか入っていない上に、鉄もそこまで多く持ち歩いていないらしい。というか、衣服の類は持ち歩いていないのだろうか?
「姉様の衣類は私が管理しています。私の方は二人分の衣類に食料や調味料で埋まってますね。」
武器や薬の類を持ち歩く必要がないからこその中身なのだろう。ちなみにお金は特殊な収納魔法が掛けられた麻袋を持っているらしく、そこに全てしまっているそうだ。一体いくら入っているのかと問えば、国家予算ほどは持っていないから大丈夫とだけ返された。
「シール君はこの後どうするのかしら?私たちは一応依頼主に報告に行かなきゃいけないのだけれども・・・。」
遺跡の扉も無事につけることができ、リュフカの町で一泊した後、宿を出る前にルルが尋ねた。
シールは確か天空都市で何かを研究している最中に落っこちてきたと言っていた。竜神が何を研究しているのかは気になるが、知りたくないという気持ちも若干ある。非常識に慣れて感覚が麻痺してしまうのは恐怖を感じる。今更の話ではあるが・・・。
「僕も一緒に行っていいなら行こうかな。研究所に戻ったところで今の研究が進むこともなさそうだし、それよりせっかくリリムに会えたからね!一緒に行って今度こそ・・・。」
「私は姉様より強い方と結婚すると決めているのですが?」
「一生独身でいるつもりなの!?」
どうやらシールはルルより強くなることを諦めているらしい。ルルより強い者なんてそれこそ神話に出来るような存在だけなのかもしれない。
そんなやり取りをしながら王都への帰路へついた。名残惜しそうにリュフカの町を見つめていたリリムだが、大量に砂糖や甘味菓子を購入したらしく、二人旅だったらしばらくの間食事がお菓子だけの旅になるところだったと、ルルが苦笑いしていた。一方でシールの方も一緒についてくると分かった瞬間、大量の食料を持たされていたらしく、同じように苦笑いしていた。
そして馬車に揺られながら王都へとたどり着き、いつか聞いた台詞をシールが放つ。
「グラっちー。悲報だよー。ルル姉とリリムがいなくなった。」




