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不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
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23話 アガレス王家

「結局、やるとしたら危険な武器や道具は私たちが回収して渡さないようにするしかないわね。」


半日ほど悩み時刻は昼過ぎになった頃、遺跡に関する情報集めをしていたリリムと合流し、互いにめぼしい成果がないことを伝え溜息交じりに結論付けた。


「報酬の話を持ちだして断る口実を作るというのはどうでしょうか?」


アガレス王国に限らず、世界中殆どの国で傭兵や冒険者はその実力や実績に伴い階級分けされている。駆け出しの7級に始まり、実績を積んで6級・5級、魔物を狩れるようになって4級、3級にもなれば国の戦力としてみなされ報酬も上がり、2級・1級にもなれば相当の実力者であることが伺える。


二人は傭兵所への登録こそ行っていないが、その実力は1級冒険者すら遥かに凌駕する程であり、当然ながら報酬もそれに見合うだけの量が必要とされる。であるならば、とても払いきれないような額を提示しそれを理由に断ることも無理な話ではないのだが、そこらの貴族相手ならばともかく王族に対してどれほど有用な手段かは分からない。下手したら払えてしまう可能性すら有りそれはそれで色々と都合も悪くなる。


「王妃や国王に直接交渉したりは・・・ちょっと怖いし、エレナかグラ辺りに話しをしてみましょう。」


そう言って二人は王宮へと向かい、門番にエレナの下へと案内を依頼した。






「まあ・・・確かにエレナの所へ案内してと言ったし、事実エレナはいたわね・・・。」


衛兵が苦笑いをしながら離宮ではなく本宮へと案内を始め、嫌な予感がしつつも今更引き返すことも出来ずに後ろをついて行ったのだが、途中で第一王子アルマに出会いそのまま案内役が引き継がれ、連れ込まれたのは王宮内の一室。防音や盗聴阻害等の魔法が掛けられているこの部屋は一体何の部屋なのだろうか。


「ここはグラッセオという無粋な輩が快楽と睡眠を貪るためだけに用意したというしょうもない部屋だが、音や振動などが外に漏れることがないのでな。秘密の会合にはうってつけの場所でもある。」


そう説明するのは昨晩宿に訪れた女性、王妃ノエルであった。そして今この部屋にはエレナ・ノエル・グラ・アルマに加えて、とんでもなくいかつく、筋肉質で暑苦しそうな人物がいた。


「貴女らがエレナの師であるルルとリリムか。あぁそんな硬くならんでいい。儂の名はグラッセオ。この国ではちょいと偉い立場ではあるんだがな。夜の主導権は一度も握れたことがないしがないおっさんだよ。」


豪快な笑いとともに二人の女性に脇腹を殴られているこの人物はアガレス王国現国王グラッセオ本人であった。


「陛下、見知らぬ女性の前でいきなり下世話な話をするのはいかがなものかと思いますが?」

「というか、息子の前でもやめてくれ。どういう表情をすればいいか分からん。」

「お前も混ざるか?」

「年増はちょっと・・・。」


今度はエレナの炎弾に加えノエルが身体強化の魔法を掛け熊すら吹っ飛びそうなほどの一撃を入れ二人を吹っ飛ばした。だがそれを食らったグラッセオは何事もなかったかのように椅子に座りなおした。アルマの方はまだ地面に伏したままだった。


「まあ、そんな表情になるのも分かる。僕も正直ここから逃げ出したい。」


グラだけはまともなようで安堵する。だが同時に少しばかり不安にもなった。


「グラさん・・・あなたは本当に王族の血を引いているのでしょうか?この方々と同類だとは思えないのですが・・・。」


リリムのぼやきに誰よりも早く反応したのはグラッセオだった。


「間違いなく儂の子だ。王族の血を引くものしか解くことの出来ない結界が貼られた書庫があってな。そこへ入ることができるのだからな!そして儂はこの二人以外と夜を共にしたことはない!というか、当時はそんな暇もないくらいに毎晩していたからな!」


おかしい・・・私たちは確か遺跡調査の依頼に関して話をしに来たはずなのに何故こんな話を聞かされなければならないのだろうか。相手を混乱させ思考を鈍らせようとしているのか疑いたくなるほどだった。


「まあこの人たちは外面だけはいいから・・・家族だけで話すとき以外はこんな感じにならないから・・・。」

「私たちは部外者なのだけど?」


ルルもリリムも子孫はおろか異性とそういった関係になったことすらないので目の前の人物たちとはまぎれもなく無関係な部外者なのだが、エレナの師であるならば家族も同然だと謎の理論を展開しグラッセオがここへ招待したのだと、虚ろな目をしたグラに説明され、乾いた笑いを出すのが精一杯だった。

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