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不死議な姉妹の旅物語  作者: 黒い星
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18話 水の竜神エリアス

「ここが笛吹きの洞穴・・・結界が貼ってありますね。」


スフラの町はずれ、海沿いにあった洞穴はかなり大きく中も広くなっているようで、これならば町人も詰めれば全員入っていられるだろうとグラが答える。


町中は通り過ぎる際に遠目で確認したところ、魔物がわんさかいたため思わず背中に背負っていた荷物をうっかり落としてしまったのだが、姉に抱えられたコロンという少女以外、落ちていった荷物自身も含め特に気にする様子もなかったので大丈夫だろう。


「魔法具で貼られているのかしら?竜神が貼ったにしては力が弱いわね。あるいは、このくらいの結界しか貼れないほど弱っているのか。」


竜神には寿命がある。人と比べれば永遠に感じるほどの時間だとしても、それでも老いて力が弱くなることはある。もしかしたら、魔物を召喚している竜神と闘っている可能性もあるため、竜神の戦場を見つけるために空や海を眺めていたら、どこからか手のひらほどの大きさの青い光が現れ近づいてきた。


「何者だ!?ってその子はコロンじゃないの!てことはあなたたちは王都から来た騎士か傭兵かってところね。よかった、間に合ったわね。っていうか、あなたたちルルとリリムよね?」


私たちのことを知っているらしいこの青い光は、ピカピカと輝いて感情を表しているようだ。


「私たちのことを知っているのね。あなたは一体誰なのかしら?」


「私よ!エリアスよ!それより助けてちょうだい!最悪殺してもらうしかないと思っていたのだけど、あなたたちがきたならまだ助かるわ!」


エリアス・・・私たちのことを知っていてその名を冠する者には心当たりがある。水の竜神エリアス。水系統の魔法を極め深海を漂っている彼女は大きな海蛇のような姿を持っていると記憶している。こんな小さな、青い光の塊ではなかったと思うのだが・・・。


「エリアス・・・あなたまた寝てたわね・・・襲撃に気が付けないほど熟睡するなら起床魔法や防御魔法を設置しておきなさいって昔説教した記憶があるのだけれど?」

「うぐっ・・・ち、違うのよ!海底に設置はしていんだけど、な、なんかすっごい海流が襲ってきたみたいで気が付いたらここまで流されちゃってたのよ!」


深海にそれほど強い海流があるのかは知らないが、巨体な竜神が流されるほどの流れなら目が覚めると思うのだが、おそらく寝相が悪く寝返りついでに流されたのだろう。


「ま、まあそんなことは置いておいて、大変なのよ!この先の草原にも、町の中にも魔物がわんさか湧いちゃってるからどうにかしてちょうだい!」

「町中の魔物なら、片付きましたわ。」


振り返るとそこにはエレナ・・・もとい先ほど落とした荷物がいた。そういえば襲撃してきた群れの中には人間もいたと聞いていたが、それらは町中で物色でもしていたのだろうか。火事場泥棒というのはどこにでも、それこそ戦場のど真ん中にすら出現することもあるため、こういった場所にいても不思議ではない。


「人間もいたという話だったのですけれど、おそらく偵察の人が見間違えたのだと思いますわ。町中には人型の魔物もそこそこいましたし。」


人型の魔物は武器を持っていることもあるため、遠目から見たのなら見間違えることもあるかもしれない・・・とのことだ。通常なら王宮の騎士や密偵が見に行くそうなのだが、王宮騎士は他の町村の警護と調査に向かい、王宮で一番優秀な密偵は今ここにたどり着いたばかりなので、冒険者の中から飛翔魔法が使える者が偵察に来ていたようだ。


「あなた、アガレスの魔法神よね?ありがとう!この間も助けてくれたし良い人ね!」

「もしかして、その時の魔物もあなたのせいで現れたのかしら?」

「ギクッ!」


光が弱くなっていった。おそらく余計なことを言ってまた説教されると思いしおれてしまっているのだろう。


だが再び強く光り出し、慌てて説明された現状は想像よりも深刻でさすがの姉も困惑し解決方法を見いだせずににるようだ。


私はあまりこういった考え事が得意ではないので、コロンの頭を撫でながら、恍惚の表情を浮かべる少女と共に傍観していた。

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