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突然なる転移

「ここ……どこだ?」


 俺は確か草原にいた筈なんだが……。


 俺ーーーかがり 陽介ようすけは、薄暗い場所にいた。俺にとっては全く見覚えのない場所であった。


「……どっかトラップに引っ掛かったんかな……」


 転移トラップに引っ掛かった……なんて事があるのか? というか、『GAO』にそんなのあったけ?


 『GAO』ーー通称『グロウアップアドベンチャーオンライン』。VRMMORPGの一種だ。まるでその空間に自分がいるかのような感覚で出来る新しいゲームとして日本全国で人気がある。


 トランスゴーグルを装着することで、脳内の指令を特殊な電波信号として受け取られ、仮想世界内で自分のアバターを動かすことが出来る。その革新的なシステムは発売当初から人気を誇り、今では世界中の人々にプレイされている。


「……取り敢えずメニューを開くか」


 左上にあるメニューアイコンに意識を集中させる。すると、色々なアイコンが表示される。


「マップは…………とあった」


 俺はその中からマップアイコンを見つけタッチする。するとーーー。






◇マップが表示されません







「バグってんのか……?」


 マップが表示されないなんて事はまず無い。どこのステージであってもダンジョンであってもマップは必ず表示される仕組みになっているのだ。


「……ちっ。仕方ない。取り敢えず一回ログアウトしてからもう一回ーー」


 面倒だが、ログアウトしてから入り直せば『エレメント』に戻れる。それでこのバグも直る筈だ。


 『エレメント』というのはGAOにおける始まりの街の名称だ。同時に、蘇生ポイントでもある。


「ーーーログアウトできない……!?」


 メニューアイコンを開いて一番下にログアウトのアイコンがある筈なのだが……。どういうわけだか消滅していた。嘘だろ……!? という思いで何度もログアウトのアイコンがないか探すがーーやはりなかった。


「おいおい……。冗談じゃねえよ」


 ここにいつまでもいるわけにもいかない。せめて『エレメント』に戻れれば……。……そうだ……! あれなら……!


 俺はアイテムのアイコンをタッチする。


「帰還アイテムは…………あった」


 俺は帰還石をアイテムウィンドウから出す。


「帰還、『エレメント』!」


 ーー発動しなかった。


「くそ! 帰還、『エレメント』!!」


 俺は苛立ちながらそう唱えるも、辺りに声が響くだけで、帰還石は一切反応しなかった。


「…………っ。何がどうなってんだ!!」


 俺は反応しない帰還石を地面に思いっきり叩きつけて苛立ちをぶつけた。ーーと。


『あー、あー。聞こえるかな?』


 突如、塔に響き渡る少年らしき声。俺は辺りを見回すも少年らしき人物は見当たらなかった。


「誰だ!!」


『まあ、一回落ち着いて。それも含めてこれから説明するからさ』


 ーー落ち着いてられるか。


 俺は少年らしき声に怒鳴りかけようとしたが、すんでのところで歯を食い縛り耐えた。ここで怒鳴っては聞きたいことが聞けないからな。


『落ち着いてくれたようだね。ありがとう』


 少年らしき声はそう言うと、それじゃあ……と言って話し始めた。


『まず、僕の名前はリエン。この世界ーーヴェイグナルの神さ』


「この世界、というのはこの塔の事か?」


『違うよ。正真正銘ーー君の言う異世界の神さ』


 ……にわかに信じがたいな。本当にこの声の主ーーリエンは神なのか?


『……我は異世界から召喚されし者なり。今こそ汝らの呼び掛けに答えよう……』


「わーーーー!! わかった!! わかったから止めてくれ!!」


 ……あいつ……俺の心の中を読みやがったな。まさか俺の黒歴史が掘り返されそうになるなんてな……。まあ、これを知ってるって事は恐らく神なのだろう。


『信じてもらえたかい?』


「……ああ」


 何か釈然としないが……まあいい。取り敢えず話を進めてもらおう。


『じゃあ、話を戻すけどーー僕はこの世界の神だ。それは理解できたね?次になぜ君がここにいるかだけどーー』


 俺が一番気になってることだ。何故ここにいるのか。何故ログアウト出来ないのか。


『僕が喚んだんだ』






 


 

 

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