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家族
ふわりと意識が浮上するのを感じてゆっくりと目を開ける。
身体に冷たい床があたっているのを感じ、あぁ、あの後そのまま寝ちゃったんだと理解する。
「からだいたい…」
床で寝たせいで、ずきずきと生を叫んでいる体を無理やり動かし、立ち上がる。
そのままキッチンに行き、水道で顔を洗い、目を覚ますと着替えを始める。
クローゼットを覗くと、 真っ黒の服が3着、いつも通りのすました顔でかけられている。
そのまま視線を下に落とすと、綺麗なガラスケースに大事に入れられたペンダントが目に入る。
そのままペンダント、いや、正確に言えばペンダントにつけられた写真を見つめる。
その写真には、綺麗な女性と小太りの男性が写っていた。
まだ、直接は見たことのない、両親の姿。
「父様、母様…」
また頬に涙が伝う。
それから、私はまたしばらく泣いた。
想っても、逢えない人達を想って泣いた。
「ごめんなさい、殺して、ごめんなさい…っ」
[罪深き私を、どうか、殺してください。]