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第3話 山田、犬と出会う(その1)

長くなるので分割します。

その2はなるべく早いうちに上げます。

第2話でついに鬼ヶ島へ旅立つことになった、俺こと桃太郎。

全身をmont-bellで包みこれから鬼退治へ向かう。 今は冬だがこれを着ているとあったかい、mont-bellにして正解だったかもしれない。 ……普通の服より防御力も高そうだし。


さて、鬼退治と言ってもいきなり鬼ヶ島に乗り込むわけじゃあない。

いきなり乗り込んで返り討ちじゃあ、笑い話にもならねぇからな。

まずは仲間と情報集め。

俺は桃太郎、慎重な男だ。


 とはいえまだ家から出て1 町(110mぐらい)ほどしか進んでいない。

うちの周りは田んぼや畑ばかりなのでここでブラブラしていても、近所の爺さんや婆さんにしか会えない。 人より牛の方が多い、ここはそんな村だ。 昔から子供も少なくて、俺は友達が少なかった。


 ……い、一応言っておくが、友達が少なかったのは子供自体が少なかったせいであって、俺の人格に問題があったわけじゃないぞ。


 これは思い出話だが、昔友達の少なかった俺は、同年代の話し相手が欲しくて牛(ハナコ雌3歳)との会話を試みたことがある。 ハナコとのウィットに富んだ会話(独り言)に夢中になっていた俺は気付けなかったのだ、婆さんが見ていたことに。 翌日には村中に噂が広まってしまった。 さすがの田舎ネットワーク、広まるのが早すぎる、フレッツ光かよ。 その日から村のみんなが優しい目で俺を見るようになった……。


俺の黒歴史は置いておいて、いずれにせよ鬼ヶ島へ行くのだから、ここに留まっていても仕方ない。 とりあえずは鬼ヶ島のある瀬戸内海方面へ進もう。 そもそも鬼ヶ島ってのは瀬戸内海のどのへんなのか。 名前はよく聞くが、詳しい場所を知らなかった俺はGoogle先生に聞いてみることにした。


――なるほど、女木島ってのが鬼ヶ島のモデルになってんだな、それならそこに向かうとしますか。

女木島ってのはどうも四国の香川県高松市の正面にある島のようだ。 玉野市ってところからが行きやすそうだ。


「玉野か。 途中で岡山に寄れそうだな」


Googleマップを見ながら俺は玉野までの経路を検討する。

俺が今いるのは岡山のど田舎。 ここから中心街の大都会岡山を目指す。 まぁ、大した距離じゃないし徒歩でも余裕だろう。 二、三時間もあれば着く距離だ。 こんなに近いなんて、物語で語られる桃太郎の鬼退治も案外日帰りだったのかもしれないな。

走れメロスの道のりも、最近の高校生の研究によって徒歩でも余裕だったのでは?という疑惑があるぐらいだし。 昔話ってやつは書き手が結構話を盛っているのかもしれない。


さて、俺が出立してから半刻(一時間ぐらい)程がたった。 岡山への道のりの半分といったところである。


「そろそろ、犬と出会ってもおかしくない時間なのだが」


すでに一日の三分の一が経過している。

これから出会うお供が犬、猿、(キジ)の三匹だとするならRPGのキャラクター配置的にもそろそろ遭遇イベントが発生するはずだ。


「そんなに上手くはいかないか? 別に犬、猿、雉のにこだわる必要もないし、ハナコを連れてきてもよかったか」


よくよく考えてみればそうだ、何も犬、猿、雉にこだわる必要はない。 俺のお供が牛、馬、熊だったとして誰が文句を言うというのか。 むしろそっちのほうが強そうじゃないか。 牛はハナコでいいし、熊は金太郎に紹介してもらえる。 後は馬を探すだけの簡単なお仕事だ。


とそんなことを考えていたところで、遠くに獣の集団が見えた。 集団といっても五、六匹だが。 円を作って何かを囲んでいる。


「何だありゃ?」


俺は歩みを止めずに、近づきながら目を細めた。


「ありゃあ、犬か?」


遠くからだと狼か犬かの区別はつかないが、ニホンオオカミは未来の世界で絶滅してしまうぐらい数が少ないはずだし、十中八九犬だろう。 犬達は円の周りを回りつつ、時折中心に向かって地面の砂を蹴っている。


「中心にいるのは人間……か?」


疑問符がついたのはなんてことはない、その中心にいる人間と思われる人物には、本来人間にはないのものが付いていたからだ。


「犬耳に……尻尾……だ、と」


ほほう、なるほどね。お供に普通の犬はないと思っていたが擬人化と来ましたか。ラノベなのに出てくる美少女がウチの婆さん(ロリババア)だけでは心許ない(こころもとない)、というか特殊な人にしか受けない。 一般受けを狙うならやはりヒロインとして美少女が必要だろう。


問題はどうやって助けるかだ。 このまま突っ込んでもいいが、この時代においてあの犬たちが狂犬病予防注射を受けているとはとても思えない。 mont-bellの防御力では若干の不安を覚えた俺は、近くのドラッグストア「ザグザグ」に駆け込んだ。


「――さてと、いきますか」


ドラッグストアで準備を整えた俺は覚悟を決めて、集団へと足を向けた。




ザグザグっていうのは

岡山で有名なドラッグストアみたいです。

関東で言うマツモトキヨシみたいなものでしょうか?



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