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神魔大戦 Hero&Forces  作者: 岸野 遙
スタートフェイズ
37/40

ローラ&リオリ

『未契約の精霊の力を、強制的に解放します』


 頭の中か、耳元か。

 あるいは、オレの背後から。そんな声が響いた。


 それは、ローラの声であり、機械的な音声であり、酷く胸を騒がせる音だった。


「時空障壁展開!」


 今度こそ、はっきり聞こえるローラの声。そして、直後背中にぶつかる強烈な衝撃!


「うわぁっ!」

「おおっとぉ!?」


 何かに跳ね飛ばされるオレ、前方に居た悪魔が慌てて身をかわし地面に落ちて転げる。


 い、いってぇぇぇ、鼻がいてぇ!


 鼻は痛いけど……顔はすりむいてるけど、手足はちょん切られてない!

 チャクラムは食らってない、なんか突き飛ばされて助かっただけっぽい!


「お前は何者……ていれい、でつか!?」


 背中に掛けられる悪魔の声に、手をついて振り向けば。

 そこにはオレに背を向けて立つ、ローラの姿……が?


 あれ? なんだか、ちがくないか?


 青と白のふりふりのゴスロリドレスに、頭の横でひとまとめにした黒髪。

 だが、その姿は馴染んだローラの姿ではなく―――


「竜太様のターンです、早く召喚を!」

「お、おう!」


 いけねぇ、デュエル中だったな!

 跳ね飛ばされた拍子に戒めを解かれた手で、デッキからカードを引く。


 引いたカードはどうでもいい、オレが使うべきカードは分かっている。

 手札を見て―――あ、あれぇ?


「ひ、光ってるんですけど! カードが!」

「ああもう、早くさっきのリザーブカードで、その私のカードを呼んで下さい!」


 この光っているカードが、ローラで、呼ぶ?

 眩しいカードを、もう一度よく見る。


―――そうか、そうだったのか。

 分かった、ならば呼んでやるさ。他でもない、ローラを。


 まずはさっき伏せたカードに触れ、表に。


「リザーブカード【勇者の潜在能力】発動!」


 つい先ほど、レベルアップの祝いに、ローラから手渡されたカード。

 この世界における絶対的な切り札ともいうべきカードを発動する。



【勇者の潜在能力】 レベル1 リザーブ

 発動時に1マナを支払う。次に使用するカード1枚に限り、マナ消費量の上限を無視して使用できる。

 マスターのレベルが1の時にのみ発動することができ、他のいかなる効果も受け付けない。



 このカードは、レベル1の時限定で、マナ消費上限を無制限とするカードだ。

 決勝戦で使った『幼女達の身体測定』と同じ、上限拡張系のカードの最高峰である。


―――とは言え、本来の決闘デュエルであればレベル1でのマナは2しかない。

 発動コストに1支払う以上、上限が拡張されても残りマナは1。

 何らかの手段でマナを増やさなければ意味はないが、決闘デュエル中にレベル1である時間はゲーム開始直後の一瞬だけだ。

 結果として、このカードは『どう頑張っても使えない浪漫カード』と呼ばれる、現実味のないレジェンドとして評価されることとなった。


 もっとも、そんな浪漫溢れるカードだからこそ、何とかしてお互いの戦闘を抑止し経験値を抑え、マナをチャージしてレベル1で高レベルユニットを召喚する浪漫デッキを組む猛者が―――




 こほん。逸れたな、この話は別の機会にしよう。


 ともあれ、そんな使えない浪漫カードなわけだけど、この世界ならば。

 レベル1なのに、マナが6点もあるこの世界ならば!


 2枚ある高レベルユニット。正確に、毛玉ではない方の光を放つカードを手に取る。


 迷ったりなんかしていない。正確に分かっているから迷わない。


 もちろん、今さっき見たんだから間違えないというだけの話だ。

 けして毛玉よりもこっちを三次元に召喚したいから迷わなかったわけじゃねーし。



「我が呼び声に集いて来たれ、我が名の下で力となれ!

【妄想時空のリオリ】召喚!」


 オレの放ったカードが、デュエルフィールドにセットされる。

 それにあわせてローラから光が溢れ、その姿を現実のものへと書き換える。


「―――お待たせしました、竜太様。

 ここからは、私があなたをお守りします!」


 使ったのは、女神おばんからもらっていた、幼女のカード。

 黒髪の愛くるしい幼女、リオリちゃん。

 だが―――


「でも、マスター?

 私の名前はローラです。リオリは私の半分、お間違えにならないで下さいね?」


 カード名はそのまま『妄想時空のリオリ』だが、そのイラストは戦場に立つ勇ましきローラの姿に代わっていた。




【妄想時空のリオリ】 レベル4 光属性 攻撃:★★ 防御:★★★★ 体力:★★★★ 種族『精霊』

 『時空転送』

 『魂のカード』


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