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神魔大戦 Hero&Forces  作者: 岸野 遙
スタートフェイズ
35/40

ローラ&ユニット

「もし、取り消せるとして」

「うん?」

「それでも竜太様は、取り消さない、死ぬような目にあっても自分を貫きますか?」

「……ああ。オレは、意志を、心を貫きたい。

 今は友達ではないけれど、胸を張って友達になって下さいと言いたいんだ」


 たとえ、誰かが悪魔を倒し、ミーネちゃんを助け出してくれても。

 今この場で追いかけないと約束してしまえば、オレはもう、ミーネちゃんの友達にはなれない。

 約束を、守れない。


「ミーネちゃんと、友達に、なりたいんだ」

「命を賭けてでも、そんなに幼女がお好きなのですか?」


 ローラの質問に、ちょっとだけ考える。

 そうなの、かな?


……違うなぁ。


「幼女は好きだけど。

 幼女が好きだから命を賭けるわけじゃない、と思う」

「じゃあ相手が暑苦しいおじさんでも、命を賭けたのですか?」

「分かりません」


 素直に答えたオレに、不満げな気配のローラ。

 顔が怖そうな気がしたので、必死で頭を押さえつけるように撫でました。もうほんとに必死でなでなで。


「はあ……竜太様は大馬鹿な人です」

「すまん」

「叶うなら、私だって、チェンジって言ってやりたいですよ。

 ほんとにもう……」


 あー、なんだか懐かしいな。初めて会った時のことか。


 うん、しっかりと、根に持っていらっしゃるみたいだし。


「でも、コレが竜太様だって、分かりましたから。

 もう大馬鹿につける薬はありません。

―――竜太様のご意志を、受け入れます」


 回された手が、そっと背を撫でる。


「ですから、せめて。

 素直に死んだりせず、最後まで必死で抗ってください」

「いや……でも、このターンの攻撃はもう終了しているし、カードを引けないし、どうしろと?」

「時間も経ち相手が行動していますし、今は相手の攻撃中、それを凌げば竜太様のターンです。

 だから考えて下さい。どう行動するか、決闘者デュエリストとして」


 考えろ、か……ほとんど丸投げじゃねーか。

 だが、考えろ、ね。確かに、決闘者デュエリストとしては、それが一番の戦い方だ。


 そうだ、忘れていた。

 ひたすら、考えるんだ。どうすればこの局面を切り抜けて、相手をなんとかできるか。

 いつだって手はあるし、次に引くカードは分からない。

 今のオレには力があるんだし、何かできることはあるはずだ。



 気づけば、いつの間にか顔を上げていたローラが、至近距離から見つめてくる。


 涙に濡れた瞳が綺麗で、思わず―――いや違うし、オレは今何をしようとしてるんだし!?


「竜太様が、ちょっとだけ素敵なお顔に、なりました」

「……顔は期待しないでくれ、顔は」

「ふふ」


 笑うローラに居心地悪くて、そっと肩を押して離れようとする。

 でも離れてくれなかった。逆に強く抱き着かれて、余計に居心地が悪くなったし!


「ぎゅー」

「ぎゅ、牛じゃねぇし」

「ひょっとして、照れてるんですか?」

「照れてねーし!」


 くすくす笑うのを直視できず、顔を背ける。

 視線は感じたが、今度は首の向きを直されなかった。


「初めて竜太様が私のカードを受け取って下さった時から、見ていましたけれど。

 あなたは、とても駄目でどうしようもなくて変態で、でも芯のしっかりした気高い人なのですね」

「初めて……決勝前に、おばんから説明カードをもらった時か」


 あのカード越しに状況が見えてた、とかなのだろうか?

 そう思って聞いたオレに、しかしローラは首を小さく横に振った。


「いいえ、説明カードそれではないです」

「え?」

「私の魂の宿った、ユニットカードですよ」


 ローラのユニットカード……?


「!

 そ、そうか、そうだったのか!」


 オレの頭に閃くものがあった。


 おばんからもらったカードは、説明カードを含めて3枚。

 説明カードではなくローラのカードということは、つまり―――



「ふわふわの毛玉の精霊が、ローラの本体だったのか!」


「―――な、なんでそうなるんですか!

 恵みの精霊は私じゃないです、毛玉じゃないです!」

「ええっ、そんなバカな!

 だってローラは精霊だって言ってたし、他にもらったカードって言ったらあの毛玉の精霊だろ?」

「違います、もうっ!」


 ???

 ローラは怒ってるし、なんか間違ったようなんだが。


「え、でもあとは幼女しか居ないし、他にカードなんてないじゃん」

「もぉ、ばか」


 ちょ、ちょっとローラさん、背中痛い、背骨痛いです!


 ぎりぎりと力いっぱい締め上げてくる両腕に、たまらずタップしたがギブアップが認められることはなかった。




「レベルアップのお祝いのカードをお渡しします。

 必ず、生き伸びて下さいね。


 何を使い、何を代償にしてでも」


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