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神魔大戦 Hero&Forces  作者: 岸野 遙
スタートフェイズ
27/40

炎&ポーン

 ユニットを召喚した直後は、攻撃を行うことはできない。

 いつも通りターンエンドを宣言し、まずは相手を迎え撃つ。


 さて、何発どつけばこの悪魔を倒せるのかね?

 カードゲーム的に考えるなら、ポーンの攻撃で最低ダメージを蓄積すれば倒せるわけなんだが。現実はどうなのやら。


「? ゴーレムを動かたないでつか?」

「さて、どうだろうな」


 もう一つの気がかりは、次のターン開始のタイミングで迷子の村人たちが戻ってくることだ。

 あいつが村人たちを狙ったりしたら、守れる自信はない。


「んー。ぢゃぁこちらから行くでつよ。

 まづはこのくらいで」


 カードゲームと違って、現実は作戦を待ってくれない。


 屋根の上の悪魔が片手を持ち上げると、その手のひらで赤々とした炎が球体となる。

 周囲の景色を歪めて渦巻く炎は、離れた場所に居ても肌がちりちりするほどの熱気のようだ。


「だいぢょうぶでつ、この炎でちぬことはありまてんから。

 いきまーつ!」

「ポーンでブロック!」


 オレ目掛けて軽い感じで投げられた炎の球を、ポーンが身体を張って受け止める。

 着弾しても爆発するでなく。炎の球体が溶け出すようにポーンに絡みつき、焼き尽くしてポーンと炎が共に消滅する。


『ポーンで敵ユニットの攻撃をブロックしました。

 ポーンは消滅、敵ユニットにダメージはありません』


「やっぱり、ゴーレムはていめいではなかったのでつね。

 魔力値が妙に低いけれど、隠ちていた使い魔ではないと。なるほどなぁるほど」


 今の攻撃に、なんか特殊な効果でもあったんだろうか?

 この炎で死なないとか言ってたし、どうもオレのことを観察しているようだ。


 その油断が命取りだぜ……とか言ってやりたいが。

 この手札や今のレベル1だとどうにもしようがないって気もする。


 敵に対して反撃できず、ダメージも与えられなかった。先制攻撃というより、遠距離攻撃扱いのようだな。

……離れた場所から魔法を撃ち込まれたんだから当然か。


 この状況をなんとかするには、手札というか、強いユニットが足りないな。

 だがこういう時こそ辛抱だ、ひたすら敵の攻撃を凌いで手札を回す。

 毎ターン1枚ポーンを出せれば、理論上はブロックし続けられるんだ、焦ることはない。


『敵ターンの終了を確認。ターン開始です』


 ついに来たか。3ターン、短かったな。

 だが、ターンを進めないわけにはいかない。カードを引き、ユニットを召喚せねば勝ち目はないのだから。


 守り切れるか?

 分からない。自信はない。

 でも、守ろうとすることを投げ出したり、諦めたりしたくない。


 潔癖に、わがままにいこう。

 英雄って柄ではないけれど、子供らしく、オレが納得できるようにいこう。


 腹をくくって。フェイズの進行を宣言する。


「マナチャージ、キープコスト」


 フェイズの宣言にあわせ、消えた時と同じ光とともに、獣人の村人たちが帰ってくる。

 いきなりの状況に驚いたりざわついてるが、説明している余裕はない。すまんが無視だ。


「なっ、なんでつか!?

 とつでん村人が増えたでつ、これもきみの力でつか!」

「ドローフェイズ!」


 悪魔を無視して2枚引く。

 引いたのはポーンが2枚だ、よし!


「サモン、ダブルポーン!」

「また増えたでつ!

 いったいきみは、いくつのぢゅつを同時に扱ってるのでつか!」


 ユニットカードとリザーブカード、持続的なスペルカードの枚数の合計かね?

 もちろんそんなものを教えてやるつもりはない。ターンエンドだ。


「またゴーレムを作るだけでつか。

 何を狙ってるんでつかねぇ……ぢかん稼ぎか、大掛かりな術のぢゅんびか」


 地上から睨み付けた悪魔は、オレの事など眼中にないかのように首を捻り。


「とりあえづ、意図が読めないからぁ。

 村人でも狙ってみまちょう!」


 そう言って今度は、オレの方と縛られた村人たち両方に向かって両手で炎を投じる悪魔。


「ポーン2体でブロック!」

「防御はゆうちゅうでつねぇ。

 でも屋根の上に攻撃はできない……なるほどなぁるほど」


 獣人たちは縛られていて行動ができない。

 せめて逃げてくれれば……いや、決め手がないことには変わりないんだけどさ。



 続くターンも、ポーンを2枚引き、呼びだしてエンド。

 打開策が浮かばない……どうする。


「ぢゃあ次は火の球を増やちてみるでつ」


 オレも村人たちも含め、広い範囲の空中に拳大の火の球が浮かぶ。

 単発の攻撃ではない以上、ポーン2体ではどうやっても防げ―――



 エリート&フォース的に考えた場合。

 これは軍勢に対する範囲攻撃ってことか?

 それとも、相手の特殊能力を発動したってことか?


「さあ、これでどうちまつか?」


 いや、違う。形は違うが、これは相手の通常攻撃なんだ。

 だからポーン1枚でブロックできるはずだ!


「ローラ、相手の攻撃をポーン一体でブロックだ!」


 オレの指示に従い、ポーンが球状の頭を支点にさかさまになった。

 そのまま円錐の胴体部分が急激に広がる!


「お、おお!?」


『ポーンで敵ユニットの攻撃をブロックしました。

 ポーンは消滅、敵ユニットにダメージはありません』


 まさしく傘のように変じたポーンが、炎の雨の全てを受け切り、霞と消える。

 おお、よくやってくれた!


「なんと、あれもあったりと受け止めるとは。

 防御についてだけは、ゴーレムゆうちゅうでつね」

「まぁな」


 敵の攻撃は終わり、オレのターンが始まる。

 なんとかポーン1体が残せた、ここから反撃だ!


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