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神魔大戦 Hero&Forces  作者: 岸野 遙
スタートフェイズ
24/40

マナ&召喚

 状況を整理しよう。


 手札は8枚。

 ユニットが7枚、そのうちポーンが5枚。

 スペルが1枚。

 スペルはユニットポーン回復のため役に立たない、ユニットの1枚はレベル3のため使えない。

 実際、使えるのはユニットカード5枚だけだ。


 場には、味方ユニットはゼロ。

 リザーブカードが1枚だけだ。


 対する敵は、盗賊が5人。

 全部レベル1だとしたら、ポーン5体でちょうど倒せる。

 だが手札は足りてるけど、村人たちが戻ってくるまであと2ターンだ。

 最後の1ターン、最後の1体をどうするか―――


「サモン、ポーンを2体」


 いつも通りポーンを2体召喚する。

 そこで―――


「竜太様」

「どうした、ローラ?」


 本人が言っていた通り、盗賊たちからは見えないローラ。

 傍から見たら、ぶつぶつ独り言を言ってるやつだよなーと思いつつ問い返す。


「竜太様の戦い方なので、不満があるとかではないのですけれど。

 このまま2体ずつしかユニットを召喚しない場合ですと、敵を殲滅する前に迷子の軍勢の効果が切れてしまうかと思われます」

「……はぁ?」


 いや、だって。


「今のオレはレベル1だから。

 マナは2点だもん、2体ずつしか呼べないだろ?」


 そんなのは、デュエル初心者の小学生でもわかる。

 レベル1の時、マナは2点。一度に使える上限は1マナ。


 今は、ユニット召喚分のマナは回復しないらしいから。2体までしか呼べないな。


「……?

 レベル1だから、1レベルのカードしか使えませんけれど。

 マナがある限り、ポーンを5体とか同時に召喚すればいいですよね?」

「いや、マナが2点しかないから無理だろ?」


 二人の間を、沈黙が横切り。


「あぁっ、そういうことですか!」

「お、おう。そうだよ」


 ローラの勢いに、引き気味で答える。

 そんなオレに詰め寄ると


「マナ上限は2点じゃありません。

 カードゲームのルールではレベル1で2点でしたが、この世界ではもっとマナが多いですよ」

「えっ」


 驚くオレの左手を取り、ずずいと手の甲をオレに向ける。

 ホルダーに収まったデッキ……の下、マスターカード。


 そこには『マナ 4/6』の記載があった。ついでに、攻撃力と防御力も。


「って、6マナ!?」

「そうですよ!

 ルールに書いておいたじゃないですか、マナ=魔力って!

 マスターの状況はマスターカードに表示されるって!」

「見た気はするけど、魔力がマナだとしたって上限が増えてるなんて思わないし!」


 一人で騒ぐオレに向かって注がれる、盗賊たちの怒りと疑惑の眼差し。

 いけないいけない、戦闘中なんだよな。


「きさま、獣人たちをどこへやった!」

「それはさっきも聞かれたから、もう聞き飽きたね」


 いや、聞かれ飽きたというべきかな?

 まあどっちでもいいんだけどね。


 そんなことより!


「ついにレベル1でマナ上限が2点を突破!

 いでよ、トリプルポーン!」


 かざした三枚のカードに導かれて。

 2体のポーンがくるくると回りながら出現し―――


 ぼとっ、と。

 その間に、巨大な魚が落ちた。


「……」

「……」


 えーっと、これは―――


『ユニット ポーン2体とマグロの召喚に成功しました』


 淡々と状況を説明してくれる説明カードローラ

 声の響きがどこか冷たい気がする。

 あと、地面に落ちたマグロが、びちびちしながら冷たい目でこっちを見てる気がする。


 ど、どっちもただの妄想だし!

 ローラに呆れられてもないし、マグロに恨まれてもないし!


「しょ、召喚直後で攻撃できないから、ターンエンドだ!」


 びちびちしてるマグロから目を逸らしつつ、オレはターンエンドを宣言した。


「なんだおい、でけぇ魚が降ってきたぞ……」

「まさか、召喚魔法か!?」

「こんなところで魚を呼ぶ意味ってないと思うんだが」

「それはまぁ」


 なんだか困った盗賊さん達が、それでもオレを囲む用に動いてくる。

 盾を構え、ポーンを周りに配置してそれを迎え撃つ。


 マグロ? 見えないなぁ。


「なんでもいい、やっちまおうぜ。

 魚は終わってから焼いて食えばいい!」

「おお!」


 よく分からないテンションで向かってくる盗賊たち。

 だが敵の数は5人、こちらもポーン4体に加えてオレがいる!


 もちろんマグロはいない。いないったらいない。


「さあ我がポーンユニット達よ、敵を迎え撃て!」


 ポーン4体が、ランス状態になり近場の敵を向く。

 マグロが、びちってした。


 そう、マグロがオレを見て、最後の力を振り絞って跳ねたのだ。

 まるで、俺の屍を越え、先へ進めと言わんばかりに……!


 4人の盗賊に呼応したポーン達が、次々と切り結び。

 最後の一人―――もしかしたら、最初の時にオレに矢を射ってきた奴かもしれない奴が、ポーンの槍衾をかわしてオレへと迫り―――


 ああ、わかったよ、マグロよ。

 オレは硬い背びれと握手をかわし、その遺志を引き継いだ。


 そう、オレはマグロの力を受け継いだのだ―――!



「秘剣・まぐろすらーっしゅ!」


 尻尾を掴んで振り抜いた強烈な一撃に、たやすく吹き飛ぶ盗賊。

 ポーン達が迎え撃った盗賊は、例の如くばたばたと気絶しており。

 オレと盗賊たちとの戦いは、こうして幕を下ろしたのだった。


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