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禁書読書  作者: アサクラ サトシ
第四章 存在抹消
44/62

存在抹消 その九

存在抹消 その九 です。


よろしくお願いたします。


※ 6/22 午前9時10分 本文修正

 僕らが話していたのは山本和博がどうして三冊目の小冊子を奪いにきた動機を見つけ出したに過ぎない。しかし、これでは三冊目の小冊子を取り返しに来た矛盾は解決されていないのだ。自分で隠しているのなら、僕らが見つけるよりも先に小冊子を回収すれば良い話だ。

 回収しなかったのではなくて回収することが不可能だったとすれば、小冊子を見つけ出した僕らを待ち伏せていた理由にはなるけれど納得は行かない。

 元を正せば円城了と協力して人知を超えた特殊な力を与えようするために三冊の小冊子を作ったはずだ。それなのに山本和博は自分が得た力が不完全だったから、隠していた三冊目の小冊子を手に入れようとするのはおかしい。

 そんなことをするくらいなら初めから三冊の小冊子を作らなければいいし、回収をしなくても協力者である円城了に頼めばいい。

 いくら考えても矛盾しか出てこない。

「これから山本に尋問をするんです。そんなに考え込まなくてもいいと思いますよ。それに元凶は捕まえたので心配されることはないはずです。私にはまだあの男から呪いの道具がいくつあるのかを聞きだして、壊しに周らないといけませんからね」

 余裕がありそうだけれど山本和博を捕まえても、呪術が施されている道具はきっと存在している。元凶を押さえたとしても、付喪神探偵としての仕事はこれから始まったばかりとも言える。

 桜子と高橋さんが繋がっていなければという仮定の話を思い浮かべた。

 まほろば骨董店はいずれ入れていたと思う。二冊目も三冊目も時間は掛けたかもしれないけど、手元に揃えることが出来たという自信はある。

 そして、三冊目を探し終えた後、山本和博が登場したら、どう思っていただろう。

 僕は自分に掛けられている呪いもどきを操ることも出来ずに、山本和博と相対して桜子を救うため三冊目の小冊子を渡していた、はずだ。

 何も知らないままであれば、ここまで疑ったり考えたりもせずに他の方法で呪いを解く方法を探していた。

 と、ここまで高橋さんと出会っていなければの話だ。僕は運良く付喪神探偵と円城了と深い因縁を持ち、また同質の力を持った女性二人と一人の青年と出会った。この出会いがなければ、僕に掛けられた呪いは言葉がフキダシに見えて、相手の感情がわかるだけのものだと片付けていた。

 高橋さんは山本和博が作った呪いが施されている器物を見つけて破壊すること。僕が手に入れた一冊目の小冊子にも呪いが掛かっていた。そこで、桜子の友人であり道具と会話ができる高橋さんの協力を得ることになった。

 小冊子との対話から得た情報を元に、僕らは著者が山本和博で作ったのは円城了だと結論づけた。

「本当に?」

「え? なにがですか?」

 問いかけるつもりは無かったのだが、つい口が滑ってしまった。会話の脈絡もなく主語が抜けているので突然の問いに高橋さんを驚かせてしまった。

「井上さん、考え事しちょらいでしょ。なにかわかったん?」

「その通りなんだけど。色々と確認していこうと思うんだ。僕の頭の中だけで完結させても意味が無いから。事実確認をさせてほしい」

 僕はテーブルの前に座っている女性陣の中から高橋さん一人を的に絞った。再び僕と目を合わせたことで、高橋さんが緊張しているのが手に取るようにわかる。

「高橋さん、表参道のカフェで小冊子と話したのは覚えていますよね。小冊子を作ったのは誰なのか分からないとも言っていました。でも貴女は、あの小冊子を作ったのは山本でだと判断しましたよね?」

「ええ、一番初めに私はそう思ったんですけど……」

「どうして理緒さんを責めるような言い方をするんですか!」

 高橋さんの声を遮るようにして、小林くんが濡れた髪のまま怒鳴りながらリビングに入ってきた。

「井上さん、理緒さんが間違っているとでも言うんですか!」

 小林くんは自分の彼女を守るため、身を挺して僕の前に座り込んだ。肝心なところなのに邪魔をしないで欲しい。

「ぼくの理緒さんを悪く言う……って痛い!」

 いきり立つ小林くんの後頭部に高橋さんが手刀を入れる。自分の彼女を守っているはずなのに、まさかその彼女から攻撃を食らうとは思うまい。

「ちょっと、なにをしてくれるの!」

 小林くんが頭を抑えながら次は高橋さんを避難する。

「あのね、吉行くん。君、ちゃんと会話の流れを読まないでリビングに入ってきたでしょう?」

「そうだけどさー。自分の彼女が責められていたら、いい気分はしないよ」

「僕は高橋さんを責めたりはしていないよ。これは確認なんだ」

「井上さんは私を非難するつもりも、悪くいうつもりでもないの。これは確認。そうですよね?」

 その通りだと僕は頷いてみせたが、小林くんは僕に対する嫌悪感を抱いたままの様子で頬をふくらませている。その怒り方は歳相応ではないので早めに直すように教えたほうがいいだろう。

 小林くんの幼児性はどうでもいいとして、話を元に戻そう。総一がこの場にいないけれど、彼には後で天見さんたちから説明を受けてもらえれば十分なはずだ。

「話の続きです。二週間前のあの日、僕らは表参道のカフェで作者は山本であると決めけました。そして、憶測では小冊子を制作したのは円城了としていた」

「ほら、皮肉を交えて話している所をみると、やっぱり理緒さんの考えが間違えだとか言うつもりなんだよ」

「違う。間違ってはいなかったんだ。むしろ、山本和博が小冊子作りに励んでいた。小冊子手記『白紙双紙』を執筆したのは円城了だ」

最後まで読んでいただき、ありがとうござます。

存在照明 その九 は如何でしたでしょうか。


お詫びです。

今回の投稿ですが、体調を崩してしまったため、

これ以上の執筆が困難だと判断して、

普段よりも2000文字近く少ない状態で投稿しています。

不完全な形で申し訳ありません。

明日の投稿は、書き込めなかった2000字を含めて、

六千文字近くの内容にするつもりです。


明日も投稿いたします。

よろしくお願いいたします。



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