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禁書読書  作者: アサクラ サトシ
第二章 友人来訪
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友人来訪 その四

友人来訪 その四 です。


よろしくお願いします。

 山本和博と円城了の二人が小冊子を作った。高橋さんは山本和博を追って、僕は小冊子を探す。そして、山本和博と円城了は僕らに危害を加えようとしていないし、小冊子探しの邪魔をするつもりがない。ただし、円城了という男は高橋さんと、その友人を参加させるつもりでいるが、高橋さんにはその気がない。

 現時点に置いて、僕が気になるのは山本和博と円城了についてか。

 この現状を引き起こしたのは山本和博と円城了であることは確かだけれど、彼らが作った小冊子の役目は呪いと解いた時に与えられる報酬の譲渡だけ。高橋さんには道具と話が出来る力を持っているようだけど、山本和博や円城了の居場所まで知っていることは限らない。

 これらを踏まえた上で、高橋さんは今後も小冊子探しに協力するような言い方をするのは何故だろう。

 疑問の解答と行動の確認を求めよう。

「これまでの話でわからないのは、硬い言葉を使いますけど、高橋さんの真意はどこにあります? 今後も小冊子探しをしたとしても、山本和博を見つけ出すことは難しいでしょう。加えて、高橋さんと少なからず因縁があるという円城了を放置するようにも思えない。なにを考えているのか教えてくれますか?」

「小冊子から山本和弘の居場所を知ることはまずないでしょう。でも何をしていたのかはわかる。円城了のことですが、これは私の友人たちに任せます」

「待てや。言っとることがちぐはぐだで。小冊子を探すことはさせんて自分がさっきゆったばかりだがね」

 大人しくしていた桜子ちゃんがここぞとばかりに割り込んできた。自分のわからないことを放置せずに聞くという行為はいいことだ。できればそういうことは、もっと早い段階から行うようにしてほしかった。

「桜子さ。その人にいちいち絡むような言い方、なんとかならない? 私は昔から桜子を知っているからいいけどさ。出会って間もない人にそんな口の聞き方をしたら東京じゃ生きにくいよ?」

「ああもう、直すように心がけるけん、さっさ言えや」

 高橋さんは僕らに向けて人差し指だけを突き立てた。

「井上さんと桜子、私は小冊子探しを」

 そして中指も立たせて、ピースサインを作る。

「あの二人には円城了を追ってもらう。つまり適材適所ってわけ」

 二手に別れて対象を追うというのは理にかなっている。

「井上さん、この小冊子探しの邪魔はさせませんから、友人が円城了を探すことを許してもらえますか」

 口では僕の許しを求めているけれど、本心は違うとわかる。

「許さなくても、僕の知らない所でお友達にいうつもりなのでしょう」

「人の感情などがわかるというのも大変ですね」

 高橋さんは困った顔をしながら心配してくれたけれど、哀れんでいる様子がないのが救だ。

 実はもう一つ、気になっていることがあるのだけど、今の話には関係がないので伏せておいた。

 高橋さんは僕の了承の言葉を待たずに連絡をしてきますと言って、僕らから離れて実際に連絡が取り合えるスマートフォンを取り出して、友達に連絡をし始めた。

「桜子ちゃんは、高橋さんの友達とは面識があるの?」

「いんや。名前は知っちょるけど実際に会ったことはないな。まぁ、変な力を持っちょるのは知っとーけど、どんなんかは知らん」

「話の流れからすれば呪術師ということだけど。まぁ、気にはなるよね。それで、名前はなんていうの?」

「変わった名前だったな。天見風鈴と月森小町つったかいな。なんか偉い身分らしいけど詳しくは理緒も教えてくれんかったけどな」

 それはいいわいな、と桜子ちゃんが言葉を切って僕が持っているオルゴールとしての役目を果たせない物を指さした。

「そんで、二冊目はどげする? オルゴールのドラムをまず探さんといけんのでしょ?」

 そう言われて、僕はオルゴールの蓋を開いて中に入っている地図と言われていた紙切れを取り出した。オルゴールを脇に抱えて紙切れを広げて一瞥して首を傾げた。

「またこういうのか」

 僕の呟きに桜子ちゃんが広げた地図を覗きこんで僕と同じ反応を見せる。

「これは、これでたいぎぃな」

 地図は検索サイトで仕入れてきた代々木公園の全体地図で湖の辺りに赤いペンで☓印が付けられている。左端の辺りには文章が添えられていた。

『湖の畔で狐が音を奏でている。演奏が終わったら探し物があると言えば、狐が道案内をしてくれる』

 文章を読み終えてまたこういった探索をしなければいけないのかと思い、項垂れてしまった。

「まさか本物の狐が何かを音を出しとるって意味ではないわな」

「そんな狐がいたら巨大動物以来の大騒ぎだよ」

「そげだね」

 呪術師の考えていることを意図など考えても仕方がない。狐がいるはずの代々木公園までいけばいいのだ。まだ日は高いし時間にも余裕があるので、このままオルゴールのドラムを見つけて二冊目を読んでしまいたい。

 地図を折りたたんでポケットにしまうと、電話をし終えた高橋さんがこちらに戻ってくる。

「お友達はどうでした?」

「円城了の名前を出した瞬間に歓喜していました。やっとリベンジができるって意気込んでいましたよ」

 物騒な女の子ばかりでちょっと嫌になる。もうちょっと大人しくて女の子らしい子はいないものか。

「それと、彼女たちからお願いされたことがあるんですけど、夕方ごろに会ってくれませんか?」

 会う必要があるとは思えないけど、僕の手元には円城了が作ったと思われる小冊子があるので、これを見ておきたいのかもしれない。

 僕の隣にいる桜子ちゃんは「また女が増えるわ」と小言を言ったが、聞こえないふりをして会うことを了承した。

 高橋さんにも地図のことを話しておいた。もしかしたら狐のことを知っているかもしれないと思ったけれど、空振りに終わった。

ひとまず、夕方まで時間はあるので僕らは表参道まで戻って代々木公園を徒歩で目指した。


五月中旬ということもあって、日差しは強くて少し歩くだけでも汗が滲み出てきた。女の子二人を歩かせるのは気が引けたけれど、さすがは柔道経験者ということもあり、歩くことは億劫でもないらしい。それでも若い女性を気遣わないのは男としては駄目な部類に当たるので、座れそうな所があれば一息いれようかと彼女たちに声を掛けたけれど、二人の返事は大丈夫の一言で済まされてしまったが。

 表参道は平日でも人で溢れかえっていた。青山通りも人の往来はそれなりにあったけれど、その比ではない。歩きゆく人々はファッション誌にスナップされていそうなお洒落な人もいれば、スーツ姿の男女が目についた。若年層が多いのはわかるけれど、この通りにサラリーマンが歩いているのをみると、どこか違和感がある。

 ようやく明治通りまでたどり着くと若き女子二人よりも先に僕のほうが歩き疲れてしまっていた。それに小腹も空いてきた。口にしたのもカフェオレだけだし、代々木公園でさらに歩きまわるのはきつそうだ。

「さきに弱音を吐かせてもらうと、どこかで食事でもしない?」

 僕が立ち止まってそう提案すると、女子二人は見つめ合ってくすりと笑った。

「やっと言ってくれたわ。うちもお腹がすいちょったけん。なんか食べーか」

「戦ではありませんけど、腹ごしらえは必要ですからね」

 自分たちからお腹が空いたとは言えずにいたらしい。

 ただ原宿という街は小洒落たお店ばかりで腹の足しになるようなお店があるとは思えないし、無駄に高いところが多かったはずだ。竹下通りの先に行けば牛丼屋もあるけれど、女子大生二人をつれていくようなお店ではない。

「うちはどこでもいいで。小洒落た店で食べたいとかないしな」

「私もそうかな。美味しいのは食べたいけど、別に今日じゃなくてもいいし」

 二人の後押しもあり、結局僕が選んだのは目と鼻の先にあったファミリーレストランだった。いつかこの二人にはちゃんと美味しい所を連れて行こうと思いながら、案内されたテーブル席に腰を下ろした。

「ここは僕がおごるから、好きなモノを食べて」

 臨時収入もあるし、懐事情を心配する必要もない。桜子ちゃんは飛び跳ねるほど喜びそうだったけど、予想外にも大人しくたくさん頼むことはなかった、前に渋谷で食べた中華屋ではたくさん食べられるとか言っていたけど。

 各々の注文を終えてから、僕は円城了と高橋さんの友達である天見風鈴と月森小町について話を聞いてみることにした。会う前に少しでも相手のことは知っておきたい。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

友人來訪 その四 いかがでしたでしょうか。


明日も投稿を予定しています。

よろしくお願いいたします。

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