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雪の花  作者: 九条 洸実
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彼の話

 ***



『先日北の山に登ったんだ。絵の材料とか、保養とか、運動とか兼ねてな。』

『絵の材料とはなによね。・・・で?』

『絵具の材料やら筆代わりの植物だとか・・・で、東に下る獣道の先に北側が崖になっているところがあるんだが。』

『ん。神父様が近付くなと仰せの場所だね。』

『そうなのか?いや、知らない道を通りたくなってな。』

『白い狼が住んでるそうよ。実際、狼は出るみたいだけど。』

『ありがたそうじゃないか。描いてみたいな。』

『異教の神だからね。そんなの描いたら叱られるよ?』

『はは、それもいいな。で。』

『あ、うん。で?』

『そこから北の海を望めるんだが、それがなんとも静謐で。是非描きたいんだが・・・』

『描きなよ。おぼえてるんでしょう?』

『描けないんだ。どうしても記憶と違ってしまう。いや・・・』

『・・・・?』

『記憶が違ってるのか、混ざってるのか、それとも其処がおかしいのか・・・』

『何よ。』

『うん。笑わないでくれよ?』

『場合によるわよ。で?』

『花が咲いてた気がするんだ。』

『は?・・・花?』

『花。』

『花?』

『花。』


 つららが落ちる音。

 石造りにこだまする、嘆きの音。


『・・・・そうかもね。』

『いや、馬鹿な。この冬も盛りに花が咲くか。』

『咲いてもいいんじゃなくて?』

『いや、うーん。』

『・・・確かめに行かない?』

『・・・・は?』


 つららの、音。


 どこかで猫が、一声、鳴いた。


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