教会広場にて
〜冬の花の意の名を持つ 大切な大切な我が友人へ〜
雪の花
*1*
『おかしいな』
『何が。ほら、冷めるよ?』
うららかな冬の午後。
光に満ちた穏やかな風に、銀色が混じる。
雪の丘は果てしなく、教会の十字にはつららが輝く。
『変なんだよ、あ、これはなかなかうまいな』
『当然よ。・・・何が変?』
『甘薯かなこれは?いや、それはいいんだが・・・』
『南瓜よ。・・・気になるじゃない。何?』
教会の裏の広場。
温かに香るスープの香り。
町の最果てからは山しか見えない。
『南瓜か・・・これは評判いいんじゃないか?』
『貴方のおかげよ。いや、で、何なの』
『いや、金があるかどうかとうまいものとは関係ないさ。』
『そうかしら。・・・私に話せないこと?』
『そうさ。いやそれはそうでもないんだが・・・』
『話してごらんなさいな。あ、コーヒーあるよ?』
教会の子供が二、三人、走り回っているのが見える。
彼らもこのスープを食べたのだろう。
『ありがとう、いまはいいよ。』
『そう。で・・・』
『うん。それがだな・・・』
『・・・・』
本当は短編でもよかったんですが、敢えて連載形式で。