魔道具と魔石
読んでいただきありがとうございます。
次の日、遅めの朝食をイオ様と一緒にいただき、魔道具を見せてもらうことになった。
イオ様がアンナさんを呼ぶ。
「アンナ、お願いしたもの持ってきて」
「畏まりました」
もどってきたアンナさんがホウキをひとつ私に差し出す。
「これも魔道具なんですよ」
「えぇ。これが?」
どこからどう見てもホウキにしか見えない。
「ここをですね……。開くと」
ホウキの枝の先端がパカっと開き、中から緑の石がころりと出て来た。
「わあ♪ これ魔石ですね。綺麗」
「この魔石があれば、誰が使っても同じように動かせる」
「いいですね。魔力の量や特性に左右されないんですね、どんなふうに動くんですか?」
「ホウキそのものですね」
アンナが魔石を戻しホウキを動かしてくれる。
ホウキはさっさっと左右に揺れて床を掃く。
「ん?そしたら……。掃いたゴミはどこに行くんですか?」
「お部屋の隅です。それを私達が片付けます」
「なるほど……。例えばゴミが回収できればもっと楽ちんですよね、この魔道具はちゃんと組みなおすので一度分解してもいいですか?」
「かまわないが……。」
イオ様が心配そうに私を見る。
「あと、作業場なんかあると嬉しいのですが」
「作業場ならあるぞ!俺が離れをひとつ研究棟に使ってるんだ。そこなら道具もそろっているし、保管している魔道具もある」
「わあ。行ってみたいです、持ってきた作業用のワンピースに着替えてもいいですか?」
「もちろん。着替えたらすぐに行こう」
「「…………。」」
「イオ様!退室していただかないと、リノア様が着替えられません」
イオ様は真っ赤になって立ち上がった。
「す すまない」
大きな声で謝りながらイオ様は部屋を出て行く。
「ふふ。イオ様って面白いですね」
私がそう言うと、アンナが肩をすくめて小さくため息をついた。
✿ ✿ ✿
「ここだよ」
案内された研究棟は思ったより立派で、本邸の西側にあり背の高い木に囲まれた静かな場所だった。
「素敵な建物ですね」
「以前は曾祖父が使っていたんだが、亡くなってからは俺の研究棟で魔力や魔道具の研究をしている」
「いいですね~。私も裏庭に作業場があるんですが、試作に失敗するたびに石造りになっていた壁が崩れてしまって、つい先日床拭きくん2号が残りの石に激突して一面きれいに無くなりまいた」
「大丈夫だったの?」
「はい。大丈夫です。 ああ!研究棟ではそんな激突するようなお試しはしませんから安心してください」
ニコニコしながらイオ様を見上げると、ほっぺをむにーっと引っ張られた。
「心配してるのは、研究棟じゃなくてリノアのことだよ」
「んー。痛いれしゅ、イオしゃま」
イオ様がお腹を抱えて笑い出す。
「ははっはは。リノアはかわいいな、さあ着いたよ中へどうぞ」
「わあ~広いですね。アンティーク調で素敵です」
玄関を入ると広いホールがあり、ガラス窓がある壁で半分仕切られた先に作業場が見える。
ホールには二階に上がる階段があって2階も広そう。
作業場の奥にも廊下が続いている。
「とりあえず、このスペースは作業ができる道具があるからなんでも使っていいよ」
「ありがとうございます」
作業スペースのテーブルにホウキを置いて、二人で椅子に座る。
「でどんな感じにするの?」
「んーそうですね、分解してみないと追加できるかわからないけど、簡単に追加するならゴミやほこりが履いた先に溜まる場所を作るか……。できれば風魔法とかで掃いた先から溜まる場所に風で送る!みたいなのができるといいんですけど見るからにホウキですもんね。バランスが悪くなるかな」
「それなら、ホウキの穂先の動きをある程度制限して一方向にして、少し重心を下にしたらどうかな?」
「でも枝の部分を短くしたら魔石が入る場所がなくなりませんか?」
「見た目をホウキにしてるからこんな形だけど別にこだわらなくてもいいよ」
「でもホウキが動くのがかわいいですよね~」
「はは。リノアにはかわいいことも大切なんだね」
「そうですね、楽しく使えた方がいいじゃないですか」
「あの羽も綺麗な色だもんね」
「そうだ!チンチラとかハムスターとか、きれい好きな動物の形とかころっとまん丸にするのはどうですかね」
「耳やしっぽがついてたらかわいいな」
「いいですね~」
試作の話はどんどん盛り上がり休むのも忘れて作業を進め、吸い取りハムちゃん1号が完成した。
「しまった外が真っ暗だな何時だろう」
「お腹もすきましたね、でもまずは動かしてみましょう」
私は緑色の魔石をハムちゃんの帽子を開けてころりと入れる。
しっぽのスイッチをイオ様が押すとハムちゃんの口が、ガバッと開き短いホウキの穂先が出現、左右にガシガシ動きながら前に進んでいく。
「わあ。動いた」
木くずをハムちゃんの前にパラパラと撒いてみると、穂先に巻き込んだものがハムちゃんの口の中に吸い込まれていく。
「わー。吸い込んでる」
「やった!成功だ」
イオ様と手を取り喜びあう。
「こら!あなたたちこんな時間までご飯も食べないで何をしてるの!」
振り返るとグレース様とアンナが入り口に立っていた。
驚いた拍子にイオ様の足がハムちゃんに当たり進行方向がグレース様達の方に向く。
ガガガッ。ガガッガガガ。大きな音を立ててハムちゃんが二人に突進する。
「キャー大きなネズミ!」
アンナが、そばにあったモップをハムちゃんに振り下ろす。
ぼぉおおおおん!!
暴発音がしてハムちゃんは停止した。
「あーーーー。俺たちの1日の努力が」
イオ様が叫ぶ。ハムちゃんは片耳と帽子は取れてしまったが、万が一のために本体を強化しておいて良かった~爆発するところだった。
「でもイオ様♪動きましたし次は安全機能とかつけましょう」
「そうだな。いい考えだ」
笑顔で話を進める私達の横で、グレース様とアンナが大きなため息をついた。
誤字脱字などいつもありがとうございます。




