バーンズ公爵夫妻
読んでいただきありがとうございます。
「みなさん素晴らしい技術をお持ちですね。自分じゃないみたいです♪ありがとうございます」
「とんでもない。リノア様はもともとお美しいですから。私達も若いお嬢様のお支度は久しぶりで嬉しかったので……。今後もよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
コンコン
ノックの音に振り返るとイオ様がドアのところに立っていた。
イオ様もさっきと違って公爵令息に見える!
「リノア凄く似合っているよ~。綺麗だ」
ピシっと決めたイオ様に、キラキラの笑顔で褒められるとなんだか恥ずかしい。
「侍女の皆さんのおかげです。それにイオ様の方が素敵です!」
イオ様の顔を見上げると、少し頬が赤い、侍女の皆様がニコニコしながらその光景を見ている。
「ゆ 夕食の準備ができたから迎えに来た。父と母にも会ってほしいんだ」
「こんなに良くしていただいて。ご挨拶差し上げたいと思っていました。嬉しいです」
イオ様のエスコートでダイニングルームに向かう。
扉が開くと、公爵夫妻が出迎えてくれる。
「ようこそリノア嬢。会えるのを楽しみにしていたよ」
「お眼にかかれて光栄です。
バーンズ公爵閣下並びにバーンズ公爵夫人。
私、コアナ王国 エバンス伯爵が娘 リノアと申します。この度は身に余るお心遣い痛み入ります」
挨拶とともに、渾身のカーテシーを披露する。
「リノア嬢、頭を上げておくれ畏まらなくてもいいよ」
「そうよ。かわいいお顔を見せて頂戴」
許しを得て顔を上げるとそこには、イオ様によく似ているけど重厚な風采の男性と……。先ほどの!
「先ほどは失礼しました」
私はもう一度頭を下げる。
「もー。いいのよ。頭を上げて」
おずおずと顔を上げると裏庭であったあの女性がニコニコと笑っている。
「まあまあ。私の若いころのドレスなのよ。私より似合うわ~。ねえ貴方」
「そうだな。良く似合っている」
「今回は急だったから仕立てる時間も無かったけれど、リノア嬢にはピンクとかも似合うんじゃないかしら!」
「そうだな、ピンクもいいが深めの青もいいんじゃないか?」
お二人に囲まれておろおろする私の腕をイオ様が引き寄せる。
「父上、母上!リノアは僕の客人ですよ、だいたい母上はどうしてリノアを知ってるんですか?」
イオ様はさらに私を自分の背中に隠す。
「みて貴方!あんなイオを見たことがある?」
「ははは。初めて見たな、それも令嬢の名前を呼んだぞ」
ん?普通は名前を呼ばないの?
そこに白髪の男性が声を掛けてくる。
「皆様、お食事が冷めてしまいますよ」
男性は私の前に立ち礼を取る。
「エバンス伯爵令嬢。ご挨拶が贈れました家令のサムエルでございます。
さあさあ、イオ様も早く令嬢をエスコートして差し上げて下さい」
「そうね、食べながら話しましょう」
テラスに面した半円のテーブルに食事が準備されていた。
「さあ。リノアはここに座って」
半円の端に私、その隣にイオ様その隣にご夫妻が並び裏庭を眺めながらの食事だ。
「あまりに嬉しくてお礼が後になってしまったが、今回はイオとモーガンを助けてくれてありがとう」
公爵様が頭を下げ、続けて夫人も頭を下げる。
「頭をお上げください。当たり前のことをしただけですから」
「ほう。純一無雑なんだね」
「そうね、先ほどの魔力も本当に暖かでピュアだったわ」
「とんでもないです」
「謙遜することは無いよリノア。
リノアの魔法や魔道具は本当にすごい。俺の目の前に舞い降りて来た時は本当に驚いたし、その後の対処もスムーズだった」
「イオ、舞い降りたとは?」
「リノアは魔道具で空を飛ぶんだ。背中に羽が生えたみたいに」
「まあ凄い、今度見せて頂戴」
「はい。是非見てください」
「魔道具に詳しいならルアナ王国の魔道具も是非見てみるといいよ、国によって魔道は違うからね」
「はい。是非見せていただきたいです」
私が目をキラキラして答える。
「父上、魔道具と海は俺が見せてあげる約束をしています」
「まあまあ。じゃあ私とは一緒にお買い物に行きましょう、娘ができたみたいで嬉しいわ。
そうね私もリノアと呼んでもいいかしら?私のことはグレースお母様と呼んで」
「母上!」
「まあ。私だってリノアのことを名前で呼びたいわ、それに私の娘にしたい」
「あのあの、グレース様とお呼びしてもいいでしょうか?」
「ん~。まあ今のところはそれでいいわ。リノアはどのくらいルアナ王国に滞在できる?」
「特別いつまでとは決めていないです。魔道具や文化の違いを知りたいと思い、置手紙だけ残して飛んできてしまったので……。」
「でわ私の方からエバンス伯爵に手紙を出そう。心配しているといけないからね」
「そんな、ご迷惑をお掛けするわけにいきません。ちゃんと明日は宿を探しますし、家にも連絡をしますので」
「駄目よ!リノア。大事なお嬢さんを一人で宿に泊めるわけにはいかないわ、平和が続いていると言え、安全な場所ばかりではないのよ」
グレース様怒ってる。本当にお母様みたい。
「リノア嬢、グレースは言い出すと聴かないからね。こちらにいる間はこの公爵家に滞在しておくれ」
三人が私を見つめる。
「はい……。お世話になります」
そのあとは4人で何度も食後のお茶をお替りし、夜遅くまで魔道具やコアナ王国の話をした。
すっかり夜も更けた頃、イオ様に送ってもらい客室に戻ってきた。
「こんなに遅くまで引き留めてしまってすまないね。でも両親とあんなに笑顔で話をしたのはいつぶりかな~楽しかったよ。リノアのおかげだね」
「私もすごく楽しかったし、勉強になりました。素敵なご家族ですね」
「そうかな~。」
イオ様は照れくさそうに笑った。
「滞在中はリノアの身の回りのことはアンナが担当するからよろしくね」
「アンナさんが担当して下さるんですね。うれしいです♪」
イオ様はおもむろに、私の肩に流した髪を手に取りキスを落とした。
「アンナにまで嫉妬したよ……。」
近距離でイオ様と眼があう。
きっと私の顔からは火が出ているに違いない。
胸もドキドキして心臓が飛び出しそう。どうしたの私!
固まっている私を後ろからアンナさんが助けてくれた。
「イオ様、もう夜も更けておりますので、リノア様を開放してくださいませ、さあリノア様こちらへ」
「アンナめ……。せっかくいい雰囲気だったのに……。」
ぶつぶつ言っているイオ様を残し、部屋に入る。
「イオ様おやすみなさい」
小さく手を振る。
「リノアお休み、また明日」
アンナさんに着替えを手伝ってもらい。ようやくベッドに潜り込んだ。
「ああ~。楽しかったけど疲れたねアルト」
アルトも眠そうだ。
「クワ-」
アルトを抱っこして目を閉じると私は直ぐに眠ってしまった。
誤字脱字などいつもありがとうございます。




