誘拐未遂
読んでいただきありがとうございます。
お買い物をするグレース様は凄い迫力だった。
最初のお店ではドレスに帽子、小物を馬車に積み込めないくらい買っていただき。
次は靴とアクセサリーのお店。グレース様の着せ替え人形となった私は序盤でへとへと。
「さあ。少しお茶にしましょうか?」
あ~。休憩できる♪
「はい。喉がカラカラです」
近くのカフェに立ち寄ると、テラスでもお茶ができる個室に案内された。
「もー。今日はすごく楽しかったわ、娘がいると買い物がこんなに楽しいのね」
「たくさん買っていただいてありがとうございます。どうお返ししたらいいのか。
それとグレース様、その……。娘と言われますと皆さんが誤解されますし、イオ様にもご迷惑になるかと……。」
「なに言ってるの、イオなら私に感謝はしても、迷惑だなんておもわないはずよ」
グレース様はご機嫌にそう話す。
「でも、伯爵家の娘と噂にでもなったら、イオ様の婚姻にご迷惑を……。」
グレース様は盛大なため息をついた。
「あら。イオのアプローチは全然効果がないみたいね、これは分かりやすい作戦に変更が必ようだわ、友達枠にでもされたら大変だもの」
眉間にしわを寄せ、ぶつぶつ小声で話すグレース様の後に見える石畳で馬車が突然脱輪して横転した。
人が集まりだし騒ぎ出している。
「グレース様事故が起きたみたいです」
「そうね、何か助けられる事が無いか見に行きましょう」
グレース様と急いで道に出ると既に馬車の周りは凄い人だかりだった。
人混みに飲まれてグレース様と離れると私は誰かに腕を引かれた。
振り返ると騎士の様な服装の男性に口を塞がれる。
「んん~」
必死に抵抗するが男性の力にはかなわない。
目の端にグレース様が馬車の貴族の方と話しているのが見える。
ここで魔法は人が近すぎる。他の人を巻き込んでしまう。
騎士に抑えられ人並みにも押され、まわりの景色がぐるぐる回り意識が遠のきそうになった時、アルトの魔力がグンと膨れ上がるのを感じた。
「んーーー。」
私は騎士の手に思いきり噛みつく。
「があ。貴様」
「アルト……。大丈夫だから出てきてちゃダメ……。」
騎士が私に拳を振り合上げた途端イオ様がくれたペンダントが柔らかな光を放ち、突然イオ様が現れ拳を受け止め一瞬で騎士をねじ伏せる。
「いあたたた。」
「貴様!何者だ」
イオ様はさらに騎士の腕を締め上げる。
「ぐぅ……。」
イオ様に気がつきグレース様と護衛が駆け付け。モーガン様も道の向こうに見える。
「良かった……。」
皆の顔を見て安心した私は、視界が真っ白になり吸い込まれるように意識を失った。
「リノア! リノア!」
遠くでイオ様の声が聞こえる……。
✿ ✿ ✿
次に目覚めた時は公爵家のベッドの上。
今はもう見慣れたベージュ色の天井と壁を見回す。
「リノア様。眼を覚まされました!」
「あぁリノア様。良かった」
アンナとモーガン様が私を覗き込む。アンナはボロボロと涙を流している。
「心配かけてごめんなさい」
返事をすると私の足元でうつぶせて寝ているグレース様をアンナがゆすっておこす。
「奥様。リノア様がお目覚めになりました」
グレース様はガバっと起き上がり、私を抱きしめボロボロと泣き出した。
「ごめんね。リノア、怖かったでしょ。私が付いていたのに……。ごめんね。ごめんね。」
何度も謝りながら、グレース様は泣き続ける。
あぁ。あたたかくていい匂い。
私のためにこんなに涙を流して……。
私は抱きしめられたまま答える。
「どこも痛くないですし、あの時はみんなの顔を見て安心してしまって……。
だから泣かないで、グレースお母様」
イオ様のことは置いておいて、こんなに大事にしてくれるグレース様は、ルアナ王国での私のお母様だ。
私の言葉に驚いてグレース様の涙はぴたりと止まった。
「キャー。アンナ!お母様って呼んでもらえたわよ~」
「奥様。もう夜中ですからお静かに」
「大丈夫よ~。みんなにもこの喜びを知らせなきゃ」
ギュウギュウとグレース様に抱きしめられる。みんなに笑顔が戻った。
「イオ様にもお礼を言わないと……。ペンダントが私の危機を知らせたんですよね」
モーガン様がすっと膝をつき目線を合わせ、今までの状況を説明してくれた。
馬車の事故は仕組まれてもので私をおびき寄せるためだった。誘拐しようとした犯人は、服装は他家の騎士服を着ていたがジール侯爵家の紋章が入った短剣を所持しており、ジール侯爵が関係している事は確かなようだ、モーガン様も侯爵家でその騎士に似た人物を見たことがあると話してくれた。
ジール侯爵家との関係をさらに調査し正式な抗議をするためにイオ様は動いてる最中で、いつお戻りになるかわからない事も。
「モーガン様。話してくれてありがとうございます。もうだいぶ夜も更けていますし、ご心配をおかけしましたが私は大丈夫ですから、グレースお母様も皆さんも休んでください」
「そうね。みんなが居たらリノアも休めないわね、アンナ、モーガン、一度もどりましょ」
部屋の明かりを落とし、三人が部屋をでる。
「リノア様、私はドアの外におりますので、安心してお休みください」
モーガン様がそう言ってドアを閉めた。
部屋が暗くなり、なんだか闇に飲み込まれてしまいそうな感覚を覚え。
急に寂しくなた。
「イオ様……。顔が見たいな……。」
「クワ-」
アルトが私の頬に頭を擦り付ける。
「ありがとアルト……。一緒に寝よ」
アルトを抱っこして、深い眠りに落ちた。
誤字脱字などいつもありがとうございます。




