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うねり

作者: 甘い

暴力によって生まれた惨劇を許して良いのか。被害者視点からのお話です♪

暗い、痛い、お腹が減った、熱い、寂しい


僕は目を覚ますと暗闇の中にいた。ひどくツンとしていてでも焼き付けるような痛みによって目を覚ましてしまった。目を開ける前に一つわかったことがある。ここはゴミの溜まり場だ。あまりにもひどい匂いで吐きそうだった。今思い返すと匂いではなく体が食べ物を受け付けなかったんだと思う。飢餓で体をうねらせることぐらいしかできなかったが声を出す余裕はあった。

「誰か助けてよ!お腹が減ったんだ。痛く苦しいよ!」

なんで今死線を彷徨っているのだろうか。だんだんと体力を失う中、誰かが扉を開ける音が聞こえた。その人の言ってることは何も理解できなかったがひどく怯え、今にも逃げ出しそうだった。助けてほしいだけなのになんでこんな目に遭ってんだ。でももう口を動かすほどの余裕すら湧かない。いいから早く助けてくれ。


気を失ってどのくらいの時間が経ったろうか。今度は暗い鉄のゲージの中にいた。幸い僕は目がきくから暗くてもよく見えるけどまるで無機質なようでそれでいて規則的な部屋だった。自分がこの部屋に招かざる存在だとでもいうように全てが見たことのないもので構成されていた。

「なんでこんな扱いを受けなければならない、僕は何もしてないぞ」

叫んだら突如こちらへ向かってくるような気配がした。

「誰が来ても殺してやる」

そう叫ぶとよりその気配は強まり、そういえば体の調子がうんと良くなったと感じてた瞬に数名がこちらへ向かってきた。彼らは僕を見るなり顔に光を当ててきた。

「お前らは誰だ。名を名乗れ!無視をしているんならタダじゃおかないぞ」

でも実際にはずっと無視をし続け、ついに口を開いたかと思うと「グレープズ」と叫び続けていた。しばらくケージの中で暴れ続けていたが、想像以上にケージが硬く、体が良くなったとはいえ痛みはまだひかないので今日のところは大人しくした。


これから数日間ずっと知らない人が僕を押さえつけて針を打って、気づいたらケージに戻されてた。最初は不信感しかなかったが僕の痛みがだんだんとなくなっていったし、ご飯もしっかり出て安全な人達とわかった。

ああ、痛みが治ったらこいつらを丸呑みにしたいな

ある夜、集合住宅のゴミ捨て場にヘビが出たという通報が入ってきた。全長3メートル程度あるメスの個体を捕獲できた。どうやら気絶していたらしい。どうやら口内感染症を患っており、顔や口に大きな火傷傷を覆っていることから「遺棄」されたと予想されているようだ。現在は「グレープズ」と名付けられたこの蛇に抗生物質を打ち込み、口の中を洗浄し懸命な対処をしているようだ。

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