表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

天使の使命

「……というわけで、我々天使の使命は人間たちが罪を犯さないよう、無事にこの天国へとやってこられるようにと導くことなのです」


 今日初めて地上へと降りる若い天使に教師役をしていた天使が最後にそう演説をしていた。若い天使はすでに何度となく聞いているその言葉を、半ばうんざりしたような様子で聞いている。


「もう分かってるよ」


 若くやる気に満ちあふれた天使の口から思わずといった調子でそんな文句にも似た言葉がこぼれる。どうやら早く地上に降りてその使命を果たしたいらしい。

 それを感じた教師役の天使は、まだ幾つか言いたいことがないでもなかったが彼を地上へと向かわせることにした。

 きっとやる気に満ちた彼ならばけがれのない清らかな魂をいくつも導いてくれると信じて。



「先生は地上の人たちは罪にまみれているって言ってたけど、案外そうじゃない人たちも多いんだなあ」


 地上に降りた天使は辺りを見回し、けがれのない魂が簡単には数え切れないほどいることに目を輝かせていた。


「これだけの魂を導くことができたら、きっと先生も褒めてくれるぞ」


 腕まくりをして気合を入れた若い天使は、その魂一人一人を天国へと導き始めた。




 それから数時間後。若い天使はたくさんの清らかな魂を連れて天国へと戻ってきた。軽く数えただけでも百は超えるだろうか。

 教師役の天使は思わずその天使を問いただす。すると若い天使はこう答えた。


「はい、地上に降りたら全くけがれのない魂を持った者たちが何人もいたので、それを連れて帰りました。たしか病院とかいう場所だったと思います」


 それを聞いた教師役の天使は、すぐにその魂たちを地上へと戻すようにと怒鳴りつけた。



 それからしばらく経った頃の地上では、多くの赤ん坊が同時に呼吸をしなくなり、そしてまた同時に息を吹き返すという奇妙な現象についての原因の究明が必死になって行われていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ