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作者: 広之新

 むかし、むかし・・・・神様が川のほとりにたくさんの花を植えられました。


 大きな花や小さな花、大きさも形もにおいも様々で色もとりどりでした。


 その花たちはいつ、枯れるかわからない・・・生きていくのに必死でした。


「みんなでがんばろう!」


 花たちはお互いに励まし合い、しっかり地面に根を張っていきました。そのかいもあって花たちは美しく咲いていました。それは、それは美しい風景でした。しかし・・・


 大きな花は思いました。


「これだけ大きい花には十分な栄養が必要だわ。それにはもっと根を張らなくちゃ。」


 しかし周りは他の花たちが根を張っていたので、もう大きな花が根を張るところはありません。


「この大きな花のためにはとなりの小さな花は邪魔だわ。」


 大きな花はそう思って、小さな花が根を張っているところに自分の根を割り込んでいきました。すると小さな花が言いました。


「やめてよ。ここはわたしが根を張っているところよ。」


 しかし大きな花は聞こうともしません。さらに割り込んでいきました。


「やめてよう! くるしいよう!」


 小さな花が泣いています。あまりにもかわいそうなので、周りの花たちが大きな花に言いました。


「ひどいよ。やめなよ!」


 しかし大きな花はやめようとしません。それを見ている他の花たちは思いました。


「小さな花の土地が奪われたら、次は自分の番だ。このままでは大きな花にみんなやられてしまう・・・」


 花たちは団結して、大きな花が侵入した地面に自分たちの根を張って小さな花を助けようとしました。しかしそれで大きな花は怒ってしまいました。


「こうなったら他の花の土地にも根を張ってやる!」


 大きな花は他の花の土地にも根を張っていきました。すると他の花たちもそれに対抗して根を張ります。


「このままでは他の花にやられてしまう・・・」


 危機を感じた大きな花は、近くの赤い花に声をかけました。


「私の味方をして。助けてくれたら分け前を上げるわ。」


 その甘い言葉に赤い花は他の花の土地に根を張りました。それで川のほとりは根ばかり大きく張った花たちでいっぱいになりました。


 それを見た神様は眉をひそめられました。


「美しく咲かす花たちがこんなにみにくくなってしまうとは・・・」


 神様はすべての花を刈り取って川に捨ててしまいました。そこにはもう花はありません。



 むかし、むかし・・・・大きな花と小さな花が並んで咲いていた・・・・


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