「井の中の蛙大海を知らず」の続き
先日、法事の際にお寺の住職に来ていただきました。その時のお話いただいた事柄に興味を惹かれたので、今回はそのお話をしようと思います。
実はその住職、とてもお話が好きで、「〇〇時から開始です」というと、その30分以上前には到着して、人が集まり次第お経を開始し、残りの時間をお説教に充ててくれます。
(後にお経が始まる前のお話は、お香に火が回るまでの時間、お経が終わった後のお話は、火が消えるまでの時間だと教えていただきました。)
で、毎回
「何か聞きたいことは無いですか?」
と聞いてくれるのですが、お寺関係の事で質問することもわからない様な状態でして、少しの間妙な空気が流れた後、また別のお話をしてくださいます。
しかし、今回は次に回るところがあるということで、早々に話も切り上げてお帰りになる際、家の玄関に姪っ子が飼っている、大きな水槽の中の「亀」を見つけ、
「こんな狭いところで飼ってないで、放して自由にさせてあげたらどうよ?」
と言われました。
ま、亀ちゃんとしても、そりゃ自由になりたいと思うところもあるでしょうが、この亀ちゃん、お家の中や、家の庭(狭いですが)を日光浴を兼ねてお散歩させたりと、姪っ子ちゃんがとても可愛がっている上、外来種になるので、放すということは「違法」になります。
なので、そんな話をすると、住職が教えてくれた言葉がありました。
「【井の中の蛙大海を知らず】のことわざに、次の句があることを知っていますか?」
私は知りませんでした(苦笑)
【されど空の深さ(青さ)を知る】 だそうです。
もともと、【井の中の蛙大海を知らず】という言葉は、中国の「荘子(中国の思想家) 秋水篇」にある言葉でその続きなどなく、意味も
「小さな井戸の中にいる蛙は、大きな海などの井戸の外にある世界のことを知らない」と言う意味から、自分の狭い知識にとらわれてしまい、物事の大局的な判断ができないこと。
とされていました。
それに続きの言葉が生まれたのは、日本のドラマ【大河ドラマの『新選組!』で近藤勇を演じた香取慎吾さんに、脚本を書いた三谷幸喜が言わせた。】と言われています。
次の句が出来たことで、意味もかなり変わってきます。
「狭い世界で一つのことを突き詰めたからこそ、その世界の深いところまで知ることが出来た」
となります。私は、下の句がある方が好きです。
このように、調べてみれば下の句が付けられていることわざが、たくさんあります。
詳しいことはおいといて、最後にいくつか載せておきます♪
●「柔よく剛を制す」⇒「剛よく柔を断つ」
格闘技などで使われることの多い「柔よく剛を制す」という言葉。柔らかさのあるものが固く強靭なものをいなす場合もあるという意味です。しかし実は「剛よく柔を断つ」という「固いものが柔らかいものに打ち勝つ」という意味の続きもあるのです。
●「天は人の上に人を造らず」⇒「人の下に人を造らずといへり」
福沢諭吉の『学問のすゝめ』の最も有名な一節。「天は人の上に人を造らず」は知っていても、「人の下に人を造らずといへり」は知らないという人が意外と多いのではないでしょうか?
●「早起きは三文の徳」⇒「長起きは三百の損」
早起きでは三文ですが、遅く起きると三百もの大きな損をするということ。早起きを推奨する標語のようなものだったのでしょうね。
●「男は度胸、女は愛嬌」⇒「坊主はお経」
「だじゃれか!」と思わず突っ込んでしまいそうになりますが、こうした続きなんだそうです。某トリビア紹介番組でも取り上げられていたので、意外と知っているという人がいるかも?
●「子供は風の子」⇒「大人は火の子」
「子供は寒い風の中でも平気で遊ぶが、大人は寒がって火のそばにずっといる」という意味なんだそうです。まあ確かにそのとおりです(笑)。